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第六十八話『冥府の神 ハーデス』

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「ごめんじゃないわい!!私を誰だと思っているのじゃ・・・私の名は・・・」
と魔王が名乗ろうとしたので、僕が遮った。
「わかってるよ!ハーデスちゃんだろ?」
と僕は微笑んだ。

そう、その美少女魔王はハーデスだったのだ。
「ええええええ!!」カナデが驚く
「なんと」キョウちゃんが渋く驚く。
「え!?」とヒビキさんが驚く。

これだけ驚いてくれるとなかなか楽しい。
推理した甲斐があったというものだ。
名探偵の皆さんはいつもこんな気持なのだろうか。
これは楽しいかもしれない。

「なんでわかったんじゃ!!」
と、美少女魔王、改めハーデスちゃんが言う。
じっと上目遣いでこちらを見ている。
いちいち、動きが可愛い。

「まあ、わかるよね!ヒントめっちゃ出てるしね!」
「ぬぬ、ヒントとな??」
と、美少女魔王のハーデスちゃんが考える。
うーむ、出てたかのぉ、と考え込んでいる。
頬に手を当てて考え込む、やっぱり可愛らしい。

「その、解決編をやる前に、みなさん・・・」
と推理モノの解決編直前のように振る舞う。
ここで、扉が閉じて、CMに入るところだ。
ギィーン、バタン、という音が脳内に響く。

「お茶にしませんか??」
と僕が皆に提案する。
そう、立ち話もなんだしね。
魔王もいきなり危害を加えてくる感じじゃなさそうだ。

場合によっては攻撃してくるのだろうから警戒は一応怠らない。美少女とはいえ、曲がりなりにも魔王なのだ。この子は。

「え!?!?魔王とお茶!!」カナデが驚く。
「そう、お茶。みんなでヒビキさんのおいしいお茶を飲もう!」
そういって、皆で円を作るように座った。

「これが・・・お茶・・・」
と、珍しそうに見る美少女魔王のハーデスちゃん。
コップょくるくる回しながら、これがあのお茶・・・。
とぼそぼそと言っている。人間の文化に興味があるのかもしれない。

「熱いから気をつけてね!この『冷めない水筒』のおかげで、熱いままなんだ」と僕が説明する。
「なんと、面妖な・・・」とハーデスちゃんが驚いている。
「さすがに言葉遣いが古い!」と笑う僕。

そして、ふぅふぅしながら、お茶を口にする美少女魔王のハーデスちゃん。
「あちちちち!」というハーデスちゃん。
「だからいったじゃーん!!」と僕が笑う。

「なにこのほのぼの雰囲気・・・」とカナデが笑う。
「その子ホントに魔王なの?」とカナデ。
「そうだよ!」と即答する僕。

「どうして、私がハーデスだとわかったんじゃ?」
とハーデスちゃん。

「え、だって、それは『ハーデスの槍』でしょ、二又の槍、バイデント」とバイデントを指差して、証拠を持っているハーデスちゃんを笑った。

「そう、いかにもこれは『バイデント』じゃ!そんなに有名じゃったか」
と、おいてあったバイデントを持ち、トン、と地面にたてて、嬉しそうに微笑む。

ハーデスちゃん。この子が悪い子だとは思えないんだよなぁ。

「他にも気づいた理由はあるよ!」
と僕が言う。解決編の始まりだ。
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