ビッグデータ探偵

なかの

文字の大きさ
4 / 100

第4話 撮影者

しおりを挟む
すっと車を止めて、僕達は降りる。

そして、目的地に向かって少し歩く。
「ここですね。映っていたのは」
と彼女は立ち止まる。
ここはこの学校の中でもわりと有名な場所で海外のカフェのチェーン店が日本で初めて大学に入ったということで有名になった場所だ。

「うちの研究室の近くじゃないか。」
そう、僕が所属する研究室の近くのカフェだった。
僕も利用したことが当然ある。
もしかしたら、知っている学生かもしれない。

「じゃあ、先生、あれを見ながらポーズを取ってください」
と、彼女は指指しながら言う。
さらりとポーズを取れという高崎くん。
しかし、彼女の趣味という理由ではない。
あながち意味が無いことではなかった。

「さすがにポーズはムリだよ」
と僕が言う。
ポーズとは、地下アイドルがとる決めポーズのことだ、さすがにそれはちょっと難しい。
しかし、顔の向きは、この実験には必要なので、しっかりとやることにした。

「えー、しょうが無いなぁ。じゃあ、視線だけで許して上げます。」
と彼女は言った。
僕はきちんと、それを見つめた。
そう、この大学の特色の時計台だ。

これが地下アイドルのブログの写真にバッチリ映っていたのだ。
犯人はこれを拡大して、この場所を特定したのだろう。

「やっぱり綺麗に映ってますね」
と、彼女が僕の瞳を拡大して、表示する。
そう、しっかりと時計台が移っていた。

「そして、君もしっかり写っているね」
と僕が言う。
そう、それが今回の事件のトリガーだ。
撮影者が写っていることが問題だったのだ。

「はい、私。つまり、撮影者がしっかり映ってますね。この写真と同様に」
ともともとの地下アイドルの写真を出して言う。
そして、彼女は拡大する。
そこには男性が映って見える。

「この人が彼氏に見えたんですよね・・・きっと」
と彼女が言う。
そう、この事件のトリガーは、アイドルの瞳に映る、彼氏らしき人物の存在だった。

普通だったら、そんなことにはならない。
男性がとるのはわりと普通だからだ
マネージャが撮ることはよくあることだろう。

ただし今回はそうはいかなかった。

「ブログにウソなんて書くから・・・」
と彼女は言う。
そう、地下アイドルはウソを書いてしまったのだ。
そのウソがこの、瞳の画像によって判明してしまったのだ。

「なんて書いてあったんだっけ?」
と僕が聞く。

「アイドルのかれんちゃんと来てまーす!かれんちゃんがとってくれてます。ピース!」
と彼女は感情を込めて言った。

「です」
と、間をおいて冷静になった彼女は言った。
無駄に演技力がある。

「うん、ウソになるよね。この瞳に映るおじさまが『かれんちゃん』じゃない限りは」
もちろん、それは『かれんちゃん』ではなかった。
中年のおじさんだ。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...