ビッグデータ探偵

なかの

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第21話 瞳と姿

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「うん、そうだったね。実は1000万枚の画像をコンピュータに与える必要はあるんだけど、本当の意味でSNSに上がっている写真1000万枚が必要なわけじゃないんだ」
僕が高崎くんに説明する。
この辺りはかなりエンジニアリングに寄った話になってくる、プログラマーでない高崎くんに説明する為に、認識を擦り合わせていく必要がある。

「え、そうなんですか?」
高崎くんが僕に聞き返す。
1000万枚必要だけど、1000万枚必要ではないとは一体どういう意味なのか、というところに思考を巡らせている。

「うん、まずはそもそも1000万枚集められるのか、という話をしよう。今一番元気のある写真のSNSが世界で10億人、日本で3000万人ユーザがいる」
僕が現状の写真SNSについて説明をする。パッと僕はSNSの数字を出した。今のデータサイエンスに置いて、このあたりの数字を押さえておくのはかなり大事なことと言える。

「え!10億人!!そんなにいるんですか!?」
高崎くんが驚いて僕に聞き返す。
確かにもうよくわからない人数がやっていることになる。とても実感のわく数字ではない。それだけSNSやスマートフォンが身近になっていると言える。

「そう。で、今回の場合出来るだけ日本人がいいだろうし、目と元データが両方写ってるものがいいだろうし、とやっていると、流石に1000万枚はなかなか難しいかもしれない」
僕が説明を続ける。
そう、流石に自撮りばかりの写真があるわけでもないし、かなり限定されていく。

「あれ?」
高崎くんが僕の話を聞いて、不思議そうに呟いた。

「お、気が付いたね?」
と佐々木も楽しそうにしている。

「はい、目と自分の姿が両方同時に映ることなんて、写真のSNSであるんですか?自撮りだと自分の目は写ってもそこに写っているのはカメラと背景ぐらい・・・」
高崎くんは考えながら質問をしていく。
彼女は自分の体を動かしながら想像を膨らましていく。

「あ、わかった!」
高崎くんは自分で質問をしているうちに答えにたどり着いたようだ。

「いいね。そう、やはり物事は問題を作る。問題を明確にすることの方が大変だ。明確になってしまえば答えを出すのはそんなに難しいことじゃない」
佐々木はその場にいる学生に聞こえるように説明をした。そう、こういうディスカッション中にもきちんと教育をしてくのだ。彼は学生たちに思考方法までアドバイスしていく。

「こういう内側のカメラで撮る自撮りじゃなくて、鏡を通して体全体を写す自撮りですね!」
高崎くんはインカメラで自分をとるジェスチャーをしながら答えにたどり着き、にっこり微笑んだ。

「その通り、その鏡越しの自撮り写真だけを集めるんだ!」
僕も微笑みながら言った。
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