ビッグデータ探偵

なかの

文字の大きさ
95 / 100

第95話 お金

しおりを挟む
「でも、デフォルトの機能でそんなに綺麗に撮れた?」
佐々木が言う。
相田きらりさんが使っていた、デフォルトの顔認識機能だと、満足する認識率を得ることができないことは、実際に動かしている佐々木は把握しているのだろう。

「あ、すごい、やっぱりその話になるんですね!」
高崎くんが驚く。
そう僕らは綺麗に取れないのがわかっていたので、何回も作り直した。そのことを説明する前に佐々木が聞いたので高崎くんが驚いたのだ。

「工夫したのか、検出器を作り直した?」
佐々木が言う。高崎くんのリアクションを見て僕らがやったことを推測した。このように一流の研究者は、今できる限界の技術を把握し、どうすればもう一歩先にいけるのかを考えている。

「そうだね、まずはデフォルトでやっておいて、次に角度対応、その次に口を隠した場合の対応したね」
僕が言う。
一般的な画像認識だと、正面しか取れないことに対して、工夫したあと、口がないものも対応した。今までの仕組みだと顔だと認識してもらえないような顔を認識できる技術を作り出した。

「へー、口隠し対応は難しそう」
佐々木が言う。
良い、考察だった。
彼は、どのように顔認識が行われるのかの原理がわかっているからだ。

「え、なんでですか?」
高崎くんが驚く。
彼女からすると全て難しいことに見えるが、佐々木は特定の理由で、これを難しいことと判断した。そのロジックが何かありそうだと高崎くんは気がついた。

「顔認識は一般的には目の位置と口の位置がこの辺りにあったら顔、と認識してるからね」
佐々木が言う。
彼はさすがに手を動かしているのでよくわかっている。
実はあのアルゴリズムだと。そう言う位置が黒くなっている背景だけでも顔と認識してしまったりする。

「そうなんですね!」
高崎くんが驚く。
色々な技術に得意な部分と苦手な部分があってそれをうまく組み合わせているということがあるということに気がついたようだった。
「だから横向いちゃうと目が一つしか映らなかったりするので、同じモデルでは認識できないんだね」
佐々木が言う。

「そう、今回は多少重くなってもいいから、複数の検出器を走らせた」
僕が説明した。

「なるほど、サーバパワーで解決したのか、それは佐鳥にしか出来ない方法だな」
佐々木が言う。

「え!?そうなんですか?」
高崎くんが聞く。

「うん、そう。そのサーバー代結構信じられない価格になってるよ、多分」
佐々木が言う。
彼はさすがによくわかっていた。
人工知能開発が難しいもう一つの理由。

「ええ??」
高崎くんが驚く。

「わかりやすくいうとその囲碁のAIとか30億円ってサーバー代がかかってるんだけど、サーバ屋さんがスポンサードしてたからできたという話があって、佐鳥のもそんな感じだね」
佐々木が説明する。
そう人工知能開発には大きなお金がかかる。

「そう、そこは特別にスポーサードされてるんだ」
僕は言った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

あるフィギュアスケーターの性事情

蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。 しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。 何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。 この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。 そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。 この物語はフィクションです。 実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。

敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される

clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。 状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。

JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――

のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」 高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。 そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。 でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。 昼間は生徒会長、夜は…ご主人様? しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。 「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」 手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。 なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。 怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。 だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって―― 「…ほんとは、ずっと前から、私…」 ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。 恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。

復讐のための五つの方法

炭田おと
恋愛
 皇后として皇帝カエキリウスのもとに嫁いだイネスは、カエキリウスに愛人ルジェナがいることを知った。皇宮ではルジェナが権威を誇示していて、イネスは肩身が狭い思いをすることになる。  それでも耐えていたイネスだったが、父親に反逆の罪を着せられ、家族も、彼女自身も、処断されることが決まった。  グレゴリウス卿の手を借りて、一人生き残ったイネスは復讐を誓う。  72話で完結です。

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

処理中です...