ビッグデータ探偵

なかの

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第96話 研究費

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「すごい!佐鳥先生何者なんですか?」
高崎くんが聞く。
高いサーバ代をスポンサードによって獲得しているという話をしたからだ。サーバ会社は人工知能に使えることを示したいので、割と僕らに提供してくれたりするのだ。

「何者でもない公務員だと思うけどね」
僕は言う。
そう、僕はただの大学教員。
少しプログラムがかけるだけだ。

「ノーベル賞をとった超大型水チェレンコフ光検出装置だって、800億円ぐらいかかってるしね。科学を進めるためにはそのぐらいのお金がかかるんだよね」
僕は言う。
そう、そのぐらいかけないと新しい発見はできない。
歴史に残るような発明にはそのぐらいのお金がかかる。

僕らはそのレベルのものを求められている。

「優秀な研究者になるかどうかは、お金をどう集めるかによってきたりするからね」
佐々木が言う。
もちろん佐々木は最年少教授だけあってその能力が高い。
テレビに出ているのもその一環だ。企業からの共同研究の申し出も人一倍多いはずだ。

「みんなずっと科研費の申請書、書いてるもんね。あれほんと良くないよね」
僕は言う。
研究する時間を大幅に圧縮している。
もっと研究だけできる仕組みが欲しい。

「ぼくもずっと書いてるよ」
佐々木が言う。
さらさらっと文字をかくジェスチャをする。
確かに佐々木ならたくさん書いているだろう。

「佐々木は通るからいいと思うけど、その時間で研究できる仕組みがあるといいんだけどなぁ」
僕が言う。
彼は大きな実績がたくさんあるので、書いた分だけ通るけど、若手だとそうは行かない。
実績を出さないと通らない、けれどもお金がないと実績は出にくい。

「まあ、そうだな、まずはうちとか佐鳥のところにきてもらうしかないな」
佐々木が言う。
彼の研究室は外国からもたくさん受け入れているし、有名なので優秀な学生が集まっている。そして、潤沢な研究費を割り振ることができている。

「先生たちそんなにすごいんですね!」
高崎くんが驚いていてる。
そう僕たちは大学教員としてはかなり若い。
それでもこう言う面白い研究に関われているのはそれなりに工夫したと言えるだろう。

「すごくはないんだけどさ、そういうのを考えなきゃいけない年齢だよね」
僕は言う。
そう何も考えずに研究だけしているとより良い研究をすることは難しい。

「ヒカルちゃん世代につないでいかなきゃいけないってことですね」
高崎くんが言う。

「さすが!その通り!」
佐々木が言う。

「で、つぎはなんだっけ?超解像、顔認識ときて」
佐々木が聞く。

「そう、最後は歩様認識だね」
僕が言う。

「あ、それは面白いね。昔やってたやつだ」
佐々木は言う。彼は昔のバージョンも見ていた。なんなら歩行をキャプチャさせてもらっていた。そしてそれを見て喜んでいた。

「そそ、ディープラーニング版ね」
僕は言う。
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