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102 引っ越し準備
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「叔父さん、たしかにあたしたちはまだ弱いけど、頼りないかもしれないけど、それでも力になりたいの!」
「そーそー。水臭いぞ、アベるん! アベるんにはあーしたちが付いてるんだから!」
「そうですよぉ。わたくしたちも、微力ながらお手伝いさせていただきますぅ」
「んっ……!」
「お前ら……」
クロエをはじめ、『五花の夢』のメンバーたちが、口々にオレへの協力を申し出てくれる。そうだよな。ただ守られることをよしとするような女の子たちなら、冒険者になんてなっていないだろう。
クロエたちだって、今回の相手が格上であることは理解している。彼女たちのいつにも増して真剣な表情がその証だ。それでも、恐れを抱かずに、全てオレ任せにせずに自分たちのできることをしようとしている。
オレは自分を恥じた。オレは、クロエたちのことを信じることも、頼ることもできていなかったのだ。無意識の内にクロエたちのことを庇護対象として見ていた。対等な仲間とは見ていなかった。
歳が、経験が、技量が、知識が、財力が、オレはこのパーティの中で飛び抜けていたのは確かだ。だが、パーティのリーダーがこれではな。リーダーならば、尚更パーティメンバーを信頼し、託すことが求められるというのに。
「皆、すまなかった。どうかオレに力を貸してほしい。一緒にこの苦難を乗り越えてほしい」
「うんっ!」
「あいよっ!」
「かしこまりました」
「初めからそう言えばいいのよ」
「んっ……!」
クロエたちの元気のいい返事を聞き、オレの心は感動に包まれた気がした。変な話だが、オレはやっとクロエたちと本当のパーティになれた気がしたのだ。
この心の温かさを忘れないでおこう。オレはそう心に固く誓ったのだった。
◇
そこからの流れは速かった。
オレたちはまず、姉貴の説得に動いた。オレの親族ということで、姉貴も『切り裂く闇』に狙われる可能性があったためだ。
姉貴にとって、あの狭い部屋は己で勝ち取った城みたいなものだ。手放すのには難色を示す可能性は大いにあった。それに、姉貴の働き口の問題もある。命の危険があるからと休みを続けていたら、当然だが解雇されてしまうだろう。
オレは、姉貴を『五花の夢』のパーティ拠点の管理人にすることで、姉貴に職を与えることを思い付いた。どうせ管理人を雇うのなら、クロエたちも見知った人間の方がいいだろう。
クロエからの説得が功を奏したのか、最終的に姉貴は頷いてくれた。姉貴にとっては、いきなり住む場所も職も変わってしまう大きな決断だったと思う。それでも、オレやクロエの身の安全を考えて同意してくれた。
本当に、オレは姉貴の世話になりっぱなしだな。この件が片付いたら、積極的に姉貴に孝行していきたいと思っている。
姉貴をなんとか説得できた後は、今度はエレオノールの両親の説得が待っていた。姉貴の時とは違い、こちらはかなり難航した。
エレオノールは、身寄りのないイザベルたちとは違い、中規模の商会の娘だ。当然、両親は健在である。エレオノールの両親は、娘が家を出ることを反対したのだ。
オレとしては、エレオノールは無理にパーティの拠点に誘おうとは思っていなかった。実家が警備の人間を雇っているような商会だったからだ。
しかし、エレオノールはオレたちと一緒にパーティの拠点で暮らすことに強く拘った。自分だけ仲間はずれが嫌だったのか、それとも、元々両親の元から独立したいと考えていたのか、エレオノールは決して譲らなかった。普段、ぽやっとした印象を受けるエレオノールが、人が変わったかのように両親に噛み付く様は、隣で見ていたオレでも、未だに信じられないほどだった。
結局、エレオノールの両親は根負けした。エレオノールが家を出ることを渋々認めたのだ。
それと同時に、オレはエレオノールの両親からいくつも釘を刺されることになったが……。まぁ、エレオノールが喜んでいるからいいか。
それにしても、エレオノールの両親には、オレがエレオノールと交際を狙っていると勘違いされたままなんだが……。どうしたものか。エレオノールに手を出したら絶対に許さないとか言われちまったよ。
それが終われば、今度はパーティの拠点にする家の選定だ。いくつかの不動産屋を巡り、物件を見比べていったのだが……。正直、ここに一番時間がかかったかもしれない。オレは部屋数が七つ以上あればどこでもよかったのだが、姉貴やクロエたちがとにかく拘ったからだ。
やれ浴室が欲しいことの、やれ食堂が欲しいことの、やれ庭が欲しいことの……。皆の意見を聞いていったら、ドデカい屋敷を買うことになってしまった。
まぁそれぐらいの金はあるにはあるんだが、おかげでオレのせっせと貯めてきた金の半分が吹き飛んだことには、もう笑うしかなかったな。
そうして、ようやく前提条件が揃い、次はやっと引っ越しだ。
引っ越しもとても大変だったな。女は荷物が多いなんて言葉もあるが、まさにその通りだった。
「そーそー。水臭いぞ、アベるん! アベるんにはあーしたちが付いてるんだから!」
「そうですよぉ。わたくしたちも、微力ながらお手伝いさせていただきますぅ」
「んっ……!」
「お前ら……」
クロエをはじめ、『五花の夢』のメンバーたちが、口々にオレへの協力を申し出てくれる。そうだよな。ただ守られることをよしとするような女の子たちなら、冒険者になんてなっていないだろう。
クロエたちだって、今回の相手が格上であることは理解している。彼女たちのいつにも増して真剣な表情がその証だ。それでも、恐れを抱かずに、全てオレ任せにせずに自分たちのできることをしようとしている。
オレは自分を恥じた。オレは、クロエたちのことを信じることも、頼ることもできていなかったのだ。無意識の内にクロエたちのことを庇護対象として見ていた。対等な仲間とは見ていなかった。
歳が、経験が、技量が、知識が、財力が、オレはこのパーティの中で飛び抜けていたのは確かだ。だが、パーティのリーダーがこれではな。リーダーならば、尚更パーティメンバーを信頼し、託すことが求められるというのに。
「皆、すまなかった。どうかオレに力を貸してほしい。一緒にこの苦難を乗り越えてほしい」
「うんっ!」
「あいよっ!」
「かしこまりました」
「初めからそう言えばいいのよ」
「んっ……!」
クロエたちの元気のいい返事を聞き、オレの心は感動に包まれた気がした。変な話だが、オレはやっとクロエたちと本当のパーティになれた気がしたのだ。
この心の温かさを忘れないでおこう。オレはそう心に固く誓ったのだった。
◇
そこからの流れは速かった。
オレたちはまず、姉貴の説得に動いた。オレの親族ということで、姉貴も『切り裂く闇』に狙われる可能性があったためだ。
姉貴にとって、あの狭い部屋は己で勝ち取った城みたいなものだ。手放すのには難色を示す可能性は大いにあった。それに、姉貴の働き口の問題もある。命の危険があるからと休みを続けていたら、当然だが解雇されてしまうだろう。
オレは、姉貴を『五花の夢』のパーティ拠点の管理人にすることで、姉貴に職を与えることを思い付いた。どうせ管理人を雇うのなら、クロエたちも見知った人間の方がいいだろう。
クロエからの説得が功を奏したのか、最終的に姉貴は頷いてくれた。姉貴にとっては、いきなり住む場所も職も変わってしまう大きな決断だったと思う。それでも、オレやクロエの身の安全を考えて同意してくれた。
本当に、オレは姉貴の世話になりっぱなしだな。この件が片付いたら、積極的に姉貴に孝行していきたいと思っている。
姉貴をなんとか説得できた後は、今度はエレオノールの両親の説得が待っていた。姉貴の時とは違い、こちらはかなり難航した。
エレオノールは、身寄りのないイザベルたちとは違い、中規模の商会の娘だ。当然、両親は健在である。エレオノールの両親は、娘が家を出ることを反対したのだ。
オレとしては、エレオノールは無理にパーティの拠点に誘おうとは思っていなかった。実家が警備の人間を雇っているような商会だったからだ。
しかし、エレオノールはオレたちと一緒にパーティの拠点で暮らすことに強く拘った。自分だけ仲間はずれが嫌だったのか、それとも、元々両親の元から独立したいと考えていたのか、エレオノールは決して譲らなかった。普段、ぽやっとした印象を受けるエレオノールが、人が変わったかのように両親に噛み付く様は、隣で見ていたオレでも、未だに信じられないほどだった。
結局、エレオノールの両親は根負けした。エレオノールが家を出ることを渋々認めたのだ。
それと同時に、オレはエレオノールの両親からいくつも釘を刺されることになったが……。まぁ、エレオノールが喜んでいるからいいか。
それにしても、エレオノールの両親には、オレがエレオノールと交際を狙っていると勘違いされたままなんだが……。どうしたものか。エレオノールに手を出したら絶対に許さないとか言われちまったよ。
それが終われば、今度はパーティの拠点にする家の選定だ。いくつかの不動産屋を巡り、物件を見比べていったのだが……。正直、ここに一番時間がかかったかもしれない。オレは部屋数が七つ以上あればどこでもよかったのだが、姉貴やクロエたちがとにかく拘ったからだ。
やれ浴室が欲しいことの、やれ食堂が欲しいことの、やれ庭が欲しいことの……。皆の意見を聞いていったら、ドデカい屋敷を買うことになってしまった。
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