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106 訓練
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「よし、全員揃ったな?」
「「「「「はい」」」」」
オレの目の前には、完全武装した『五花の夢』のメンバーたちが居る。ここは拠点にしている屋敷の舞踏会場。広く、そして天井も高い。武器を振るうには十分なスペースだ。
屋敷に舞踏会ができるような会場があるなんて驚きだよな。さすが、高かっただけはある。
オレは、舞踏会場のシャンデリアなどのいらない設備や家具を売っ払った。舞踏会なんてやる予定は無いからな。ここは舞踏会場ではなく、道場として運用することにしたのだ。
オレは、ここでクロエたちを鍛えようと思っている。時間が少ないから大したことは教えられないだろうが、まぁ、やらないよりましだな。最近は屋敷の中に籠ってばっかりだったし、体が鈍らないようにするためにも訓練は必須だろう。
「んじゃあ、今回は対人戦の訓練だ」
オレは盾や長剣、ダガー、ナックルダスターなどを床に広げてみせた。
「こいつらが、敵の使ってくる武器だな。盾持ちと長剣、ダガー、ナックルダスター。『ゴブリン洞窟』のボス、ホブゴブリンを相手にした時を思い出せ」
対人戦の訓練は、今までも折を見てやってきた。過去にホブゴブリンを相手にした経験が、クロエたちの成長に一役買っている。やはり『ゴブリン洞窟』を何度も攻略したことは無駄ではなかった。
オレは、盾と片手剣を拾うと、調子を確かめるように一振りする。
ブンッと片手剣が空気を切り裂き、鈍い音を立てた。
「今から、オレが敵の特徴やクセを真似しながら戦う。お前たちは、オレと一対一をしながら、相手のクセを学び取るんだ。できるか?」
「「「「「はい」」」」」
「よろしい」
クロエたちの元気な返事を聞いて、オレは一つ頷いた。
「んじゃ、最初はエルからいくか」
「はい」
「残りの奴らは、今日は見学だ。外から見た方が分かりやすいだろうからな」
オレは、白銀の装備を身に纏ったエレオノールと向かい合う。ピカピカに磨かれた白銀の鎧は、キラキラと輝き、眩しいくらいだ。
「じゃあ、いくぞ。最初は一手譲る。全力で来い」
「はい!」
エレオノールに向かって左手のカイトシールドを構えると、エレオノールもラウンドシールドをこちらに構える。盾を前に出し、半身に構えたエレオノール。盾がエレオノールの上半身を隠し、右手に持っているはずのショートソードまで隠している。
タンクとしては基本の構えだが、実際に相手にすると厄介だな。盾のどこからショートソードが飛び出してくるのか分からない。
タンクの盾は、ただ身を護るための道具ではない。その広い面で、体や得物を隠す目隠しのような働きもある。オレは、エレオノールの構えを真似するように、カイトシールドの裏に片手剣を隠した。
「…………」
一手エレオノールに譲ったのだから、先手はエレオノールからになる。だが、動かない。攻めあぐねているのだろう。エレオノールは、敵の攻撃を受け流すのは上手くなったが、攻めはあまり得意じゃないからな。
「来い、エル。来ねぇならこっちから行くぞ?」
「ッ! やぁあああああああ!」
オレの声に弾かれたようにエレオノールが突撃してくる。ラウンドシールドを前に構え、体当たりを仕掛けるつもりだろう。エレオノールの最初の手としては、よく見るパターンだ。だが……。
オレは腰を低く落とすと、エレオノールを待ち構える。
ガギィンッ!!
金属同士のぶつかる音が響き、ついにエレオノールの勢いの乗った体がぶつかってきた。エレオノールの全体重の乗った突進だ。女性の体重について思いをはせるのはアレだが、重い一撃だ。左手一本では受け止めることができず、右手に握った片手剣の先をカイトシールドに押し付けて受け止める。
「くっ!?」
完全に勢いの殺されたエレオノール。その体を思いっきり盾で押し返した。
「ッ!?」
途端に体幹が崩れるエレオノールの体。オレとエレオノールじゃあ、体重も腕力もオレの方が上だ。じっくり構えれば、ぶつかり合いはオレが勝つのが道理。
後ろに崩れたエレオノールの体。エレオノールは、バックステップすることで転倒を回避しようとするが、そうはさせない。
オレは前傾姿勢のまま盾を前に構えエレオノールへと突撃する。更にエレオノールの体勢を崩すつもりだ。
「せやっ!」
このままではマズイと感じたのだろう。エレオノールがショートソードを振るう。オレの動きを牽制するつもりだ。しかし――――。
ガキンッ!
オレはエレオノールの剣を盾で受けて、そのまま更に前へと足を運ぶ。そんな腰の入っていない腕の力だけで振るわれた剣など、なにも怖くない。剣に惑わされることなく、オレはエレオノールの盾にシールバッシュを叩き込んだ。
ゴギンッ!!
「あっ」
盾同士が激しくぶつかる金属音を奏で、エレオノールの体が決定的に崩れる。両足が床を離れ、エレオノールの体は最早、死に体だ。どうにでも料理することができる。自分の敗北を悟ったのだろう。エレオノールは悔しげに表情を歪め、床へと倒れた。
「「「「「はい」」」」」
オレの目の前には、完全武装した『五花の夢』のメンバーたちが居る。ここは拠点にしている屋敷の舞踏会場。広く、そして天井も高い。武器を振るうには十分なスペースだ。
屋敷に舞踏会ができるような会場があるなんて驚きだよな。さすが、高かっただけはある。
オレは、舞踏会場のシャンデリアなどのいらない設備や家具を売っ払った。舞踏会なんてやる予定は無いからな。ここは舞踏会場ではなく、道場として運用することにしたのだ。
オレは、ここでクロエたちを鍛えようと思っている。時間が少ないから大したことは教えられないだろうが、まぁ、やらないよりましだな。最近は屋敷の中に籠ってばっかりだったし、体が鈍らないようにするためにも訓練は必須だろう。
「んじゃあ、今回は対人戦の訓練だ」
オレは盾や長剣、ダガー、ナックルダスターなどを床に広げてみせた。
「こいつらが、敵の使ってくる武器だな。盾持ちと長剣、ダガー、ナックルダスター。『ゴブリン洞窟』のボス、ホブゴブリンを相手にした時を思い出せ」
対人戦の訓練は、今までも折を見てやってきた。過去にホブゴブリンを相手にした経験が、クロエたちの成長に一役買っている。やはり『ゴブリン洞窟』を何度も攻略したことは無駄ではなかった。
オレは、盾と片手剣を拾うと、調子を確かめるように一振りする。
ブンッと片手剣が空気を切り裂き、鈍い音を立てた。
「今から、オレが敵の特徴やクセを真似しながら戦う。お前たちは、オレと一対一をしながら、相手のクセを学び取るんだ。できるか?」
「「「「「はい」」」」」
「よろしい」
クロエたちの元気な返事を聞いて、オレは一つ頷いた。
「んじゃ、最初はエルからいくか」
「はい」
「残りの奴らは、今日は見学だ。外から見た方が分かりやすいだろうからな」
オレは、白銀の装備を身に纏ったエレオノールと向かい合う。ピカピカに磨かれた白銀の鎧は、キラキラと輝き、眩しいくらいだ。
「じゃあ、いくぞ。最初は一手譲る。全力で来い」
「はい!」
エレオノールに向かって左手のカイトシールドを構えると、エレオノールもラウンドシールドをこちらに構える。盾を前に出し、半身に構えたエレオノール。盾がエレオノールの上半身を隠し、右手に持っているはずのショートソードまで隠している。
タンクとしては基本の構えだが、実際に相手にすると厄介だな。盾のどこからショートソードが飛び出してくるのか分からない。
タンクの盾は、ただ身を護るための道具ではない。その広い面で、体や得物を隠す目隠しのような働きもある。オレは、エレオノールの構えを真似するように、カイトシールドの裏に片手剣を隠した。
「…………」
一手エレオノールに譲ったのだから、先手はエレオノールからになる。だが、動かない。攻めあぐねているのだろう。エレオノールは、敵の攻撃を受け流すのは上手くなったが、攻めはあまり得意じゃないからな。
「来い、エル。来ねぇならこっちから行くぞ?」
「ッ! やぁあああああああ!」
オレの声に弾かれたようにエレオノールが突撃してくる。ラウンドシールドを前に構え、体当たりを仕掛けるつもりだろう。エレオノールの最初の手としては、よく見るパターンだ。だが……。
オレは腰を低く落とすと、エレオノールを待ち構える。
ガギィンッ!!
金属同士のぶつかる音が響き、ついにエレオノールの勢いの乗った体がぶつかってきた。エレオノールの全体重の乗った突進だ。女性の体重について思いをはせるのはアレだが、重い一撃だ。左手一本では受け止めることができず、右手に握った片手剣の先をカイトシールドに押し付けて受け止める。
「くっ!?」
完全に勢いの殺されたエレオノール。その体を思いっきり盾で押し返した。
「ッ!?」
途端に体幹が崩れるエレオノールの体。オレとエレオノールじゃあ、体重も腕力もオレの方が上だ。じっくり構えれば、ぶつかり合いはオレが勝つのが道理。
後ろに崩れたエレオノールの体。エレオノールは、バックステップすることで転倒を回避しようとするが、そうはさせない。
オレは前傾姿勢のまま盾を前に構えエレオノールへと突撃する。更にエレオノールの体勢を崩すつもりだ。
「せやっ!」
このままではマズイと感じたのだろう。エレオノールがショートソードを振るう。オレの動きを牽制するつもりだ。しかし――――。
ガキンッ!
オレはエレオノールの剣を盾で受けて、そのまま更に前へと足を運ぶ。そんな腰の入っていない腕の力だけで振るわれた剣など、なにも怖くない。剣に惑わされることなく、オレはエレオノールの盾にシールバッシュを叩き込んだ。
ゴギンッ!!
「あっ」
盾同士が激しくぶつかる金属音を奏で、エレオノールの体が決定的に崩れる。両足が床を離れ、エレオノールの体は最早、死に体だ。どうにでも料理することができる。自分の敗北を悟ったのだろう。エレオノールは悔しげに表情を歪め、床へと倒れた。
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