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023 第五階層
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「せや!」
「ファイアボール!」
オレのポイズンソードがゴブリンの首を刎ね、セリアの『ファイアボール』がスライムを焼き尽くす。
ダンジョンの第五階層。オレたちは順調にダンジョンを攻略していた。
「おつかれさま、セリア」
「レオン様もおつかれさまです」
「魔力はどう?」
「大丈夫です。まだ余裕があります」
やっぱりMPブースト装備がいい仕事をしているのか、セリアのMPにも余裕がある。MPの最大値が増えれば、時間で回復するMPの量も増えるからね。いい感じだ。
モンスターの強さ的にもオレたちの脅威となるモンスターもいない。オレたちならもっと奥に潜れるはずだ。
ダンジョンの奥に潜れば、それだけ敵は強くなるが、見返りも大きい。ドロップアイテムや宝箱から発見されるアイテムなどのグレードが上がっていく。
現に冒険者は、ダンジョンのより深くに潜ってアイテムを持ち帰ることを至上としているしね。
中にはそこいらの貴族以上に裕福な暮らしをしている冒険者もいるようだ。
オレは大きく減らされたとはいえ、一応まだ歳費を貰えている。だが、家族に見放されたから、それもこの先どうなるかはわからない。自分で稼げるようになった方がいい。
そんなわけで自分とセリアの強化とお金稼ぎを兼ねてダンジョンの奥を目指しているのだが、そんなオレたちには越えなければならない試練がある。
それが五階層ごとにあるボス部屋だ。
「ここがボスいるお部屋なんですね……」
大きな両開きの扉を前にセリアが震えた声で呟く。体も小刻みに震え、その顔は真剣そのものだ。どうやらかなり緊張しているらしい。
まぁ、セリアにとって初めてのボス戦だし、仕方がないかもね。
セリアの肩に手を置くと、ビクリッと体が跳ねたのがわかった。
「セリア、そんなに心配しないで。ボスはホブゴブリン三体だけだよ。ちょっと普通のゴブリンとは見た目が違うから驚くかもしれないけど、それでも三体だけだ。心配いらないよ。オレがいる」
「レオン様……。はい!」
セリアの体から力が抜けていくのがわかる。少しは安心してくれたみたいだ。
「じゃあ、行こうか」
「はい……!」
オレはボス部屋の扉をバーンと勢いよく開ける。
敵はホブゴブリン三体。オレは両腰の剣を抜くと、駆け出した。
「セリア! 作戦通りに!」
「はい! ファイアランス!」
オレの横を通り過ぎるようにセリアの放った『ファイアランス』が追い抜き、一番右のホブゴブリンの腹に突き刺さる。
ドーンッ!!!
その瞬間、『ファイアランス』が爆発してホブゴブリンが木っ端微塵に吹き飛んだ。まずは一体。
残った二体のホブゴブリンは仲間の惨状には目もくれずに駆け出す。その行く先はセリアだ。
そして、それに立ちはだかるのがオレである。
「燃えろ」
オレの呟きに応じるように左のホブゴブリンが火炎に包まれて崩れ去っていく。これで残ったホブゴブリンは棍棒を持った中央の一体のみ。
こいつは剣技で倒そう。
ホブゴブリンは横を走っていた仲間がいきなり燃え上がったというのに動揺した様子がない。
ダンジョンのモンスターって何なんだろうな?
倒せば煙となって消えてしまうから純粋な生物じゃないのだろう。
そして、その心の動きも読めない。
普通、仲間がいきなり燃え上がったら動揺するだろ?
そのありようは、まるでそうプログラムされたから動いているロボットみたいだ。
まぁ、モンスターが何者でも倒すんだけどさ。
そんなことを思いながらオレはホブゴブリンの棍棒の振り下ろしを左へのサイドステップで避ける。
「双爪双牙!」
そして、両腕の剣でホブゴブリンを斬り付け、ホブゴブリンに両剣を突き立てる。
双剣スキル『双爪』と『双牙』のコンボだ。
ホブゴブリンに突き立てた剣を捻ることでダメージを拡大させると、ホブゴブリンがビクッと体を震わせ、白い煙となって消えていく。これで三体。戦闘終了だ。
「ふぅ……」
「レオン様! ご無事ですか?」
「うん。大丈夫だよ」
「よかったです……。ホブゴブリンの棍棒が振り下ろされた時はもうダメかと……」
セリアは安心したようにホッと息を吐いた。
オレとして余裕を持って避けたつもりだったんだけど、セリアには危なそうに見えたようだ。
たしかに、後衛は前衛の戦闘を見守るしかない場面というのはどうしてもある。当たれば大怪我確定な攻撃を避ける場面は、見ている側にすればハラハラするかもしれない。
「オレは大丈夫だよ、セリア。もし攻撃が当たってもポーションもあるし、大丈夫さ」
「そうかもしれませんけど……でも……。やっぱり心配です」
「ごめんね。こればかりは慣れてもらうしかないよ。それより見て、宝箱だ! 開けてみようよ」
オレとセリアは大きな宝箱の前に立つ。
「セリア、開けてみて」
「はい……!」
セリアが大きな宝箱を開けると、中には豪華な装飾の付いた立派な槍が入っていた。
「グングンニールかぁ……」
大して強くない。聖槍グングニールのニセモノである。槍だし、これは売却だな。
「ファイアボール!」
オレのポイズンソードがゴブリンの首を刎ね、セリアの『ファイアボール』がスライムを焼き尽くす。
ダンジョンの第五階層。オレたちは順調にダンジョンを攻略していた。
「おつかれさま、セリア」
「レオン様もおつかれさまです」
「魔力はどう?」
「大丈夫です。まだ余裕があります」
やっぱりMPブースト装備がいい仕事をしているのか、セリアのMPにも余裕がある。MPの最大値が増えれば、時間で回復するMPの量も増えるからね。いい感じだ。
モンスターの強さ的にもオレたちの脅威となるモンスターもいない。オレたちならもっと奥に潜れるはずだ。
ダンジョンの奥に潜れば、それだけ敵は強くなるが、見返りも大きい。ドロップアイテムや宝箱から発見されるアイテムなどのグレードが上がっていく。
現に冒険者は、ダンジョンのより深くに潜ってアイテムを持ち帰ることを至上としているしね。
中にはそこいらの貴族以上に裕福な暮らしをしている冒険者もいるようだ。
オレは大きく減らされたとはいえ、一応まだ歳費を貰えている。だが、家族に見放されたから、それもこの先どうなるかはわからない。自分で稼げるようになった方がいい。
そんなわけで自分とセリアの強化とお金稼ぎを兼ねてダンジョンの奥を目指しているのだが、そんなオレたちには越えなければならない試練がある。
それが五階層ごとにあるボス部屋だ。
「ここがボスいるお部屋なんですね……」
大きな両開きの扉を前にセリアが震えた声で呟く。体も小刻みに震え、その顔は真剣そのものだ。どうやらかなり緊張しているらしい。
まぁ、セリアにとって初めてのボス戦だし、仕方がないかもね。
セリアの肩に手を置くと、ビクリッと体が跳ねたのがわかった。
「セリア、そんなに心配しないで。ボスはホブゴブリン三体だけだよ。ちょっと普通のゴブリンとは見た目が違うから驚くかもしれないけど、それでも三体だけだ。心配いらないよ。オレがいる」
「レオン様……。はい!」
セリアの体から力が抜けていくのがわかる。少しは安心してくれたみたいだ。
「じゃあ、行こうか」
「はい……!」
オレはボス部屋の扉をバーンと勢いよく開ける。
敵はホブゴブリン三体。オレは両腰の剣を抜くと、駆け出した。
「セリア! 作戦通りに!」
「はい! ファイアランス!」
オレの横を通り過ぎるようにセリアの放った『ファイアランス』が追い抜き、一番右のホブゴブリンの腹に突き刺さる。
ドーンッ!!!
その瞬間、『ファイアランス』が爆発してホブゴブリンが木っ端微塵に吹き飛んだ。まずは一体。
残った二体のホブゴブリンは仲間の惨状には目もくれずに駆け出す。その行く先はセリアだ。
そして、それに立ちはだかるのがオレである。
「燃えろ」
オレの呟きに応じるように左のホブゴブリンが火炎に包まれて崩れ去っていく。これで残ったホブゴブリンは棍棒を持った中央の一体のみ。
こいつは剣技で倒そう。
ホブゴブリンは横を走っていた仲間がいきなり燃え上がったというのに動揺した様子がない。
ダンジョンのモンスターって何なんだろうな?
倒せば煙となって消えてしまうから純粋な生物じゃないのだろう。
そして、その心の動きも読めない。
普通、仲間がいきなり燃え上がったら動揺するだろ?
そのありようは、まるでそうプログラムされたから動いているロボットみたいだ。
まぁ、モンスターが何者でも倒すんだけどさ。
そんなことを思いながらオレはホブゴブリンの棍棒の振り下ろしを左へのサイドステップで避ける。
「双爪双牙!」
そして、両腕の剣でホブゴブリンを斬り付け、ホブゴブリンに両剣を突き立てる。
双剣スキル『双爪』と『双牙』のコンボだ。
ホブゴブリンに突き立てた剣を捻ることでダメージを拡大させると、ホブゴブリンがビクッと体を震わせ、白い煙となって消えていく。これで三体。戦闘終了だ。
「ふぅ……」
「レオン様! ご無事ですか?」
「うん。大丈夫だよ」
「よかったです……。ホブゴブリンの棍棒が振り下ろされた時はもうダメかと……」
セリアは安心したようにホッと息を吐いた。
オレとして余裕を持って避けたつもりだったんだけど、セリアには危なそうに見えたようだ。
たしかに、後衛は前衛の戦闘を見守るしかない場面というのはどうしてもある。当たれば大怪我確定な攻撃を避ける場面は、見ている側にすればハラハラするかもしれない。
「オレは大丈夫だよ、セリア。もし攻撃が当たってもポーションもあるし、大丈夫さ」
「そうかもしれませんけど……でも……。やっぱり心配です」
「ごめんね。こればかりは慣れてもらうしかないよ。それより見て、宝箱だ! 開けてみようよ」
オレとセリアは大きな宝箱の前に立つ。
「セリア、開けてみて」
「はい……!」
セリアが大きな宝箱を開けると、中には豪華な装飾の付いた立派な槍が入っていた。
「グングンニールかぁ……」
大して強くない。聖槍グングニールのニセモノである。槍だし、これは売却だな。
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