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039 ユリアンとの決闘②
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「約束の金貨二百枚だ。セリア嬢を賭けて決闘してもらうぞ」
「はぁ……」
なんだかいい気分が台無しだ。せっかくセリアといい雰囲気でおいしく食事を食べていたのに……。この代償は高くつくぞ?
だが、オレの想像以上にユリアンとエンゲルブレヒトの動きが早い。いかに伯爵家の嫡子だとしても、もう少し資金集めには時間がかかると思ったのだが……。
どうやらあてが外れたらしい。
約束通り金貨を持ってきた以上、決闘しなくてはならないのだが……。なんだかセリアを賭けの対象にしているので罪悪感がハンパない。
セリアは心配そうにオレを見ているし……。
「大丈夫だよ、セリア。こいつらなんてすぐに片付けちゃうから」
「はい……」
オレの言葉にムッとしたようにユリアンが一歩前に出た。
「それは俺のセリフだっての! この前は後れを取ったが、今度こそはそうはいかねえぞ!」
「また決闘ですの?」
その時、こちらに近づいてくる人影が見えた。後ろに三人の女生徒を引き連れたアンネリーエだ。
王族には専用の食堂があるので滅多に顔を出さないはずなのだが……。なんでこんな所にいるんだ?
「その決闘、わたくしが預かりました!」
「えー……?」
こいつ、急に出てきてなにを言ってるんだ?
だが、こんなのでもこの国のお姫様だ。お姫様が預かるとか言い出したら、オレたちは従うしかない。のだが……。
まっ先に食って掛かりそうなユリアンが大人しくしているのはなんでだ?
こいつなら地位とか関係なく文句を言いそうなものだが……。
「それではアンネリーエ殿下、この決闘どうするおつもりですか?」
エンゲルブレヒトがアンネリーエに問うが、そこには必死なものが見えない。金貨二百枚もの大金を賭けた決闘に茶々を入れられたんだぞ? 普通は焦りそうなものだが……。
「ここでは皆さんにご迷惑がかかるでしょう? これからわたくしが指定する場所で決闘してもらいます」
「俺はそれでいいぜ!」
アンネリーエとユリアンがオレを見てくる。決して逃がさないという構えだ。
「わかった。オレもそれでいい」
「では行きましょう。こちらですわ」
アンネリーエに案内されたのは、グラウンドの中央だった。
まぁ、魔法を使うかもしれないし、場所としてはいいだろう。だが……。
「また決闘か」
「エンゲルブレヒトは諦めるつもりはなさそうだな」
「デブもさっさと奴隷を開放すりゃいいのに……」
「勝てば金貨二百枚だぜ? 開放するわけがないさ」
「でも、あの方は火属性しか使えないのでしょう?」
「いつかの授業では驚かされましたが、あれはトリック。手品師としての腕前は良くても魔法使いとしてはどうかしら?」
なんでクラスメイトたちが集められているのだろう?
まるで、あらかじめ決闘が予定されていたことのように用意が周到だ。
いや、まぁ、うん……。
ここまでされれば、いくら鈍いオレだってこいつらがグルだってことはわかる。
元々、アンネリーエはメインヒロインだしな。きっとユリアンに同調しているのだろう。もしかしたら、アンネリーエがユリアンと接点を持つためにオレとの決闘を利用しているのかもな。
そんな憶測まで浮かんでしまうほどだ。
「ここでいいでしょう。審判はわたくしがしますわ」
なんだろう。この姫様、もうノリノリである。ドヤ顔でそう宣言した。
「いいぜ! おい、デブ! 勝負だ!」
「はぁ……。いいだろう……」
「ほら、腰のものを抜けよ。それぐらい待ってやる」
「必要ない」
オレは腰に二本の剣を差している。だが、ユリアン相手に使う必要もない。
「そうかよ。じゃあ、負けても文句言うなよ!」
「ああ……」
「よろしいですか? では……。始め!」
「ウォーターショット!」
アンネリーエの開始の合図と共に、ユリアンが魔法を使う。
『ウォーターショット』。威力が低いが、その発動スピードは早い水属性の魔法だ。
まずはジャブ。そんなところだろう。
だが――――。
ジュウッ! ジュウッ! ジュウッ!
ユリアンの『ウォーターショット』は、オレの体に届く前に消えた。
「な? はあ!? どうなってる!?」
「どういうことだ!?」
「なにが起こっているの!?」
「え? は? え?」
「嘘だろ……?」
ユリアン、エンゲルブレヒトに続き、クラスメイトたちが驚きの声をあげるが、べつになにもおかしなことはない。
「知らないのか? 水は蒸発するんだよ?」
「ふざけるな! ウォーターボール!」
「ほう?」
ユリアンが続けて魔法を放つ。まさか、この短期間で『ウォーターボール』を習得したのか? やるじゃないか。さすが、主人公。
だが――――意味はない。
ジュワッ!
「嘘、だろ……?」
ユリアンの『ウォーターボール』も、オレの体に届く前に蒸発して消えた。
「くそっ! ウォーターボール! ストーンショット! シャドーボール!」
ユリアンがヤケクソになったのか、次々と魔法を使う。だが、そのどれもがオレに届く前に威力を失った。
「はぁ……。はぁ……。はぁ……。くそっ!」
しかし、それも長くは続かない。ユリアンは荒い息を上げて悪態をつく。おそらくもうMPが枯渇したのだろう。
まぁ、主人公と言っても今はまだこの程度だな……。
オレはそれを確認すると、ユリアンのズボンの尻部分に火を着けた。せっかくだから、ハート型に燃やしてやろう。頭にも着火してボンバーヘッドだ。
「あっつ、あっつい! 尻!? 頭も!?」
本当ならオレだってユリアンの腕でも足でも燃やしてしまいたいところだが、こいつらにはゲーム通りに世界のために働いてもらわなくちゃいけない。
面倒だが、殺すどころか、後に残るような傷さえも付けれない。だから余計にナメられるのだろう。くそっ。歯痒いなぁ……。
「触んじゃねえ! 触ると髪が崩れてハゲるんだよ!」
次の日。頭をチリチリにしたユリアンの悲痛な叫びが教室に響いていた。
「はぁ……」
なんだかいい気分が台無しだ。せっかくセリアといい雰囲気でおいしく食事を食べていたのに……。この代償は高くつくぞ?
だが、オレの想像以上にユリアンとエンゲルブレヒトの動きが早い。いかに伯爵家の嫡子だとしても、もう少し資金集めには時間がかかると思ったのだが……。
どうやらあてが外れたらしい。
約束通り金貨を持ってきた以上、決闘しなくてはならないのだが……。なんだかセリアを賭けの対象にしているので罪悪感がハンパない。
セリアは心配そうにオレを見ているし……。
「大丈夫だよ、セリア。こいつらなんてすぐに片付けちゃうから」
「はい……」
オレの言葉にムッとしたようにユリアンが一歩前に出た。
「それは俺のセリフだっての! この前は後れを取ったが、今度こそはそうはいかねえぞ!」
「また決闘ですの?」
その時、こちらに近づいてくる人影が見えた。後ろに三人の女生徒を引き連れたアンネリーエだ。
王族には専用の食堂があるので滅多に顔を出さないはずなのだが……。なんでこんな所にいるんだ?
「その決闘、わたくしが預かりました!」
「えー……?」
こいつ、急に出てきてなにを言ってるんだ?
だが、こんなのでもこの国のお姫様だ。お姫様が預かるとか言い出したら、オレたちは従うしかない。のだが……。
まっ先に食って掛かりそうなユリアンが大人しくしているのはなんでだ?
こいつなら地位とか関係なく文句を言いそうなものだが……。
「それではアンネリーエ殿下、この決闘どうするおつもりですか?」
エンゲルブレヒトがアンネリーエに問うが、そこには必死なものが見えない。金貨二百枚もの大金を賭けた決闘に茶々を入れられたんだぞ? 普通は焦りそうなものだが……。
「ここでは皆さんにご迷惑がかかるでしょう? これからわたくしが指定する場所で決闘してもらいます」
「俺はそれでいいぜ!」
アンネリーエとユリアンがオレを見てくる。決して逃がさないという構えだ。
「わかった。オレもそれでいい」
「では行きましょう。こちらですわ」
アンネリーエに案内されたのは、グラウンドの中央だった。
まぁ、魔法を使うかもしれないし、場所としてはいいだろう。だが……。
「また決闘か」
「エンゲルブレヒトは諦めるつもりはなさそうだな」
「デブもさっさと奴隷を開放すりゃいいのに……」
「勝てば金貨二百枚だぜ? 開放するわけがないさ」
「でも、あの方は火属性しか使えないのでしょう?」
「いつかの授業では驚かされましたが、あれはトリック。手品師としての腕前は良くても魔法使いとしてはどうかしら?」
なんでクラスメイトたちが集められているのだろう?
まるで、あらかじめ決闘が予定されていたことのように用意が周到だ。
いや、まぁ、うん……。
ここまでされれば、いくら鈍いオレだってこいつらがグルだってことはわかる。
元々、アンネリーエはメインヒロインだしな。きっとユリアンに同調しているのだろう。もしかしたら、アンネリーエがユリアンと接点を持つためにオレとの決闘を利用しているのかもな。
そんな憶測まで浮かんでしまうほどだ。
「ここでいいでしょう。審判はわたくしがしますわ」
なんだろう。この姫様、もうノリノリである。ドヤ顔でそう宣言した。
「いいぜ! おい、デブ! 勝負だ!」
「はぁ……。いいだろう……」
「ほら、腰のものを抜けよ。それぐらい待ってやる」
「必要ない」
オレは腰に二本の剣を差している。だが、ユリアン相手に使う必要もない。
「そうかよ。じゃあ、負けても文句言うなよ!」
「ああ……」
「よろしいですか? では……。始め!」
「ウォーターショット!」
アンネリーエの開始の合図と共に、ユリアンが魔法を使う。
『ウォーターショット』。威力が低いが、その発動スピードは早い水属性の魔法だ。
まずはジャブ。そんなところだろう。
だが――――。
ジュウッ! ジュウッ! ジュウッ!
ユリアンの『ウォーターショット』は、オレの体に届く前に消えた。
「な? はあ!? どうなってる!?」
「どういうことだ!?」
「なにが起こっているの!?」
「え? は? え?」
「嘘だろ……?」
ユリアン、エンゲルブレヒトに続き、クラスメイトたちが驚きの声をあげるが、べつになにもおかしなことはない。
「知らないのか? 水は蒸発するんだよ?」
「ふざけるな! ウォーターボール!」
「ほう?」
ユリアンが続けて魔法を放つ。まさか、この短期間で『ウォーターボール』を習得したのか? やるじゃないか。さすが、主人公。
だが――――意味はない。
ジュワッ!
「嘘、だろ……?」
ユリアンの『ウォーターボール』も、オレの体に届く前に蒸発して消えた。
「くそっ! ウォーターボール! ストーンショット! シャドーボール!」
ユリアンがヤケクソになったのか、次々と魔法を使う。だが、そのどれもがオレに届く前に威力を失った。
「はぁ……。はぁ……。はぁ……。くそっ!」
しかし、それも長くは続かない。ユリアンは荒い息を上げて悪態をつく。おそらくもうMPが枯渇したのだろう。
まぁ、主人公と言っても今はまだこの程度だな……。
オレはそれを確認すると、ユリアンのズボンの尻部分に火を着けた。せっかくだから、ハート型に燃やしてやろう。頭にも着火してボンバーヘッドだ。
「あっつ、あっつい! 尻!? 頭も!?」
本当ならオレだってユリアンの腕でも足でも燃やしてしまいたいところだが、こいつらにはゲーム通りに世界のために働いてもらわなくちゃいけない。
面倒だが、殺すどころか、後に残るような傷さえも付けれない。だから余計にナメられるのだろう。くそっ。歯痒いなぁ……。
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