【世界最強の炎魔法使い】~主人公に何度も負けてすべてを失うデブモブに転生したオレ、一途に愛するヒロインを救うために無双する~

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
45 / 53

045 買い物④

しおりを挟む
「これなんかセリアにいいんじゃないか?」

 オレは一つの首飾りを手に取ってセリアに見せる。それはドングリのような木の実を象ったネックレスだった。

「そちらですか?」

 セリアがコテンと首をかしげて言う。もーかわいいなーもー!

「うん。ちょっとダサいと思うかもしれないけど、MPが増える装備だから。できれば着けてほしいんだけど……」
「そんなこと思いませんよ。せっかくレオンハルト様が選んでくださったネックレスですもの。大事にさせていただきます」
「ありがとう。店主、これも追加だ」
「かしこまりました」

 オレはネックレスを店主に渡す。店主はニコニコ顔でゆっくり歩いてカウンターへと向かう。けっこう買ってるからね。太客だと思われてるんだろう。

 オレは俊敏性が上がる靴や装備を中心にいいものに買い換えたし、セリアもMPをアップする装備を中心に買い換えた。二人ともさらにパワーアップだ。

 さすが王都だけあって品揃えがいいんだよなぁ。ついつい買い過ぎてしまった。

 でも、どれも最強の装備ってわけじゃないんだよなぁ。まだまだ上位互換が普通にある装備ばかりだ。

「店主、この店の装備はダンジョンの三十から四十階層の装備が多いが、なにか理由があるのか?」
「驚きましたな。そこまでお分かりになるとは……。実はそれにはわけがあるのです」

 店主の男が白髪の目立つ頭を撫でながら口を開く。

「この店ではなるべくいいものを買い取ってお客様に提供しておりますが、実は悔しながら一線級の装備とは言えないのです。今、一線級の冒険者パーティはだいたい六十階層を攻略しておりますが、彼らは有用な装備は自分たちが使いますからな。そして、そうした有用な装備は、次の代に受け継がれる場合が多い。なので、店で扱えるのは彼らにとって二線級の第四十階層ほどの装備になるというわけです」
「なるほどな」

 たしかに、いい装備が手に入ったら店に売らずに自分たちで使うよな。

 それよりも気になる単語があった。

「次の代に受け継がれるというのはどういうことだ?」
「はて?」

 店主の男がコテンと首をかしげた。そんなことをしてもかわいくないぞ。

「お客様はてっきりご存じかと思っておりましたので……。冒険者のパーティというのは、代々受け継がれていくものなのです。中には百年以上続く冒険者パーティもありますよ」
「へえ……」

 ゲームではなかった情報だ。そういうものなのか。

「そうした老舗の冒険者パーティは資金面でも装備面でも恵まれていますので人気ですね。メンバーの募集があれば、隣国からも人が集まるほどだとか」
「…………」

 隣国という単語が出た時、セリアの眉がピクリと動いたのをオレは見逃さなかった。

 やはり、セリアの中ではルクレール王国のことはふっ切れるような事柄じゃないのだろう。

 その後、オレたちはさまざまなものを買いながら学園の男子寮の自室へと帰ってきた。

 自分用の指輪、ネックレス、耳飾りなどなども買ったよ。オレみたいなデブが着けても似合わないことはわかっているけど、これらは常に着けておこうと思う。

 もういつXデーが来てもおかしくはないからな。備えておく必要がある。今日の買い物でも使い切れなかった金貨はミスリル貨に両替し、できるだけ身軽にしておく。

「レオンハルト様」
「どうしたの、セリア?」

 セリアを見ると、セリアは今日買った木の実を模した飾りがついた首飾りを持っていた。

「それ……」

 やっぱり気に入らなかったのかな……?

「着けてくださいますか?」
「え?」

 オレがこの首飾りをセリアに着けるってことか?

「いいけど……」
「お願いします」

 セリアから首飾りを受け取ると、セリアはオレに背を向けてその肩口で切りそろえられた銀の髪をゆっくりとかき上げる。オレの目の前には、セリアの細いうなじが姿を現した。

「……ッ」

 なぜかオレの喉がゴクリと鳴り、一気に緊張してしまう。

 後れ毛がなんだか見てはいけないものを見ているような気分にさせた。

 セリアも緊張しているのか、それとも恥ずかしいのか、白いうなじが少しずつ淡いピンクに染まっていく。

「つ、つけるよ……?」
「はい……」

 オレは緊張で震えてしまいそうな手を鋼の意思で抑え込み、セリアに触れないように細心の注意を払って首飾りを着けていく。

 まずは、セリアの頭の上を通して首飾りをセリアの首元に持っていく。その姿は、傍から見ればオレがセリアを後ろから抱きしめているように見えたかもしれない。

 その後、セリアのうなじで首飾りを留める。

「ふぅ……」

 そこでオレは息を止めていることに気が付いた。久しぶりに吸った空気は、なんだか甘い気がした。

「ありがとうございます、レオン様」
「ああ……」

 セリアが振り返り、オレを見る。その顔は少しだけ赤くなっているような気がした。

「似合いますか?」

 オレはセリアの問いかけにコクコクと頷くことしかできなかった。
しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~

シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。 目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。 『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。 カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。 ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。 ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。

ボッチになった僕がうっかり寄り道してダンジョンに入った結果

安佐ゆう
ファンタジー
第一の人生で心残りがあった者は、異世界に転生して未練を解消する。 そこは「第二の人生」と呼ばれる世界。 煩わしい人間関係から遠ざかり、のんびり過ごしたいと願う少年コイル。 学校を卒業したのち、とりあえず幼馴染たちとパーティーを組んで冒険者になる。だが、コイルのもつギフトが原因で、幼馴染たちのパーティーから追い出されてしまう。 ボッチになったコイルだったが、これ幸いと本来の目的「のんびり自給自足」を果たすため、町を出るのだった。 ロバのポックルとのんびり二人旅。ゴールと決めた森の傍まで来て、何気なくフラっとダンジョンに立ち寄った。そこでコイルを待つ運命は…… 基本的には、ほのぼのです。 設定を間違えなければ、毎日12時、18時、22時に更新の予定です。

【完結】転生したら最強の魔法使いでした~元ブラック企業OLの異世界無双~

きゅちゃん
ファンタジー
過労死寸前のブラック企業OL・田中美咲(28歳)が、残業中に倒れて異世界に転生。転生先では「セリア・アルクライト」という名前で、なんと世界最強クラスの魔法使いとして生まれ変わる。 前世で我慢し続けた鬱憤を晴らすかのように、理不尽な権力者たちを魔法でバッサバッサと成敗し、困っている人々を助けていく。持ち前の社会人経験と常識、そして圧倒的な魔法力で、この世界の様々な問題を解決していく痛快ストーリー。

ダンジョン発生から20年。いきなり玄関の前でゴブリンに遭遇してフリーズ中←今ココ

高遠まもる
ファンタジー
カクヨム、なろうにも掲載中。 タイトルまんまの状況から始まる現代ファンタジーです。 ダンジョンが有る状況に慣れてしまった現代社会にある日、異変が……。 本編完結済み。 外伝、後日譚はカクヨムに載せていく予定です。

回復力が低いからと追放された回復術師、規格外の回復能力を持っていた。

名無し
ファンタジー
回復術師ピッケルは、20歳の誕生日、パーティーリーダーの部屋に呼び出されると追放を言い渡された。みぐるみを剥がされ、泣く泣く部屋をあとにするピッケル。しかし、この時点では仲間はもちろん本人さえも知らなかった。ピッケルの回復術師としての能力は、想像を遥かに超えるものだと。

異世界召喚に巻き込まれたのでダンジョンマスターにしてもらいました

まったりー
ファンタジー
何処にでもいるような平凡な社会人の主人公がある日、宝くじを当てた。 ウキウキしながら銀行に手続きをして家に帰る為、いつもは乗らないバスに乗ってしばらくしたら変な空間にいました。 変な空間にいたのは主人公だけ、そこに現れた青年に説明され異世界召喚に巻き込まれ、もう戻れないことを告げられます。 その青年の計らいで恩恵を貰うことになりましたが、主人公のやりたいことと言うのがゲームで良くやっていたダンジョン物と牧場経営くらいでした。 恩恵はダンジョンマスターにしてもらうことにし、ダンジョンを作りますが普通の物でなくゲームの中にあった、中に入ると構造を変えるダンジョンを作れないかと模索し作る事に成功します。

帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~

キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。 異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。 役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。 隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。 戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。 異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。 まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。 ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。 それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。 次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。 その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。 「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」 ※カクヨムにも掲載中です。

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

処理中です...