【最強モブの努力無双】~ゲームで名前も登場しないようなモブに転生したオレ、一途な努力とゲーム知識で最強になる~

くーねるでぶる(戒め)

文字の大きさ
39 / 117

039 学園へ

しおりを挟む
「ではな! また来る!」
「お世話になりました!」
「また会えるの楽しみにしているよ、ガストン。アベルもいつでも遊びに来てくれ」

 マヨネーズの販売契約も交わし、オレと父上はブラシェール伯爵家からお暇した。

 その際に、ちゃんとシャルリーヌは約束を守ってくれた。

「はい、これ。ちょっと足りなかったけど、エスコートについては合格点をあげるわ。それとあなたとの婚約についても考え直してみる」

 そんな言葉と共に、シャルリーヌから小さくてかわいらしい白い花の植木鉢を貰った。ジャガの花だ。

 ちょっと試しに掘ってみたところ、まだ芋と呼べる状態まで育っていなかったので、このままオレが育てようと思う。

 それと、何と言ってもシャルリーヌがオレとの婚約を考え直すと言ってくれた。

 オレとの婚約を白紙にしたがっていたシャルリーヌだ。異次元の移動性能を誇るヴァネッサの存在を知って、オレとの婚約を続ける気になったのだろう。

 当たり前だけど、今のシャルリーヌにオレへの恋愛感情なんてないと思う。手紙は交わしていたけど、直接会ったのは今日が初めてだからね。恋愛もクソもない。

 まぁ、シャルリーヌとの関係はこれからだね。二人でゆっくりと愛を育んでいけたらと思うよ。オレはもうシャルリーヌにメロメロなのだ。

 ブラシェール伯爵家をお暇した後、オレと父上は一度学園に戻ってきた。オレの入ることになる男子寮の部屋に荷物を置くためだ。

 学園に雇われているメイドや執事に手伝ってもらって部屋を片付けた後、父上はヴァネッサに乗ってヴィアラット領へと帰っていった。

 寮の部屋は、幸運にも一階だった。聞いた話によると、親の爵位によって部屋のグレードが変わって、グレードの高い部屋は上層階の部屋になるらしい。まぁ、楽でいいけどね。

 一階だから最下層のグレードとは言っても、結構広いし落ち着きのある部屋だ。さすが貴族の学園だね。

 オレは一人残された部屋の中で考える。

 明日はいよいよ学園の入学式。ようやくゲームの開始時点まできたな。

 頭の中で思い出せる限りのゲームのイベントを思い出していく。大丈夫だ。オレは上手く立ち回れる。というか、オレは生粋のモブなんだからイベントの方がオレをスルーしていくだろう。

 懸念されるのは、やっぱりシャルリーヌ関連のイベントだな。シャルリーヌにひどいことをしたという婚約者はたぶんオレだ。でも、オレはシャルリーヌにひどいことをするつもりはない。問題は……。

「シャルリーヌが主人公くんに惚れちゃった時か……」

 考えたくはないが、ゲームにおいてシャルリーヌは主人公に惚れている。そうして主人公のハーレムでサブヒロインになるわけだが……。

「くっ! 考えるだけでハゲそうだ!」

 シャルリーヌが自分以外の男と結ばれるなんて、考えるだけで頭を掻き毟りたくなる。

 オレはべつにハーレムを否定するつもりはない。貴族の大多数が複数の妻を持つのも、確実に家を時代に引き継ぐためだというのもわかっている。

 わかってはいるが、それで本当に女性たちは幸せなのだろうかとも考えてしまう。

 シャルリーヌが他の人に本気で惚れてしまったのなら、オレは潔く身を引くべきなのかもしれない。

 だが、主人公ハーレムのサブヒロインなんかになって、本当にシャルリーヌは幸せになれるのか?

 シャルリーヌの幸せをオレが勝手に決めつけるようなことは避けたい。

 しかし、考えてしまう。

「はぁ……。ん?」

 堪らなくなって溜息を吐くと、コンコンコンッとノックの音が飛び込んできた。

「どうぞ」
「アベル・ヴィアラット様、お食事の用意ができました」
「もうそんな時間か」

 思ったよりも時間が経っていたらしい。でも、ブラシェール伯爵家で死ぬほどケーキを食べたからあんまり腹は減ってないんだよなぁ。

 だが、食べないという選択肢はオレにはない。今日はまだタンパク質を全然摂取できてないからな。

 強い肉体というのは一日にしてならず。日々の生活の中でコツコツと創り上げていくものだ。

 オレは最強を目指す者。今日という一日を無駄にはしない。

「わかった。案内を頼む」
「かしこまりました」

 執事服を着た初老の男性に付いて行くと、広い部屋に案内された。たくさんのテーブルと椅子が並べられた空間で格好もさまざまな男の子たちが思い思いに食事を取っていた。

「こちらが食堂でございます。あちらでトレイを受け取り、あちらから順番にご所望の食事を受け取ってください」
「ああ、金はかかるのか?」
「無料でございます」
「なるほど。助かるな」
「席次についてでございますが、食堂ではお気になさらなくても大丈夫でございます。ただ、日当たりのいい場所は上級生の高位貴族のご子息が使うという不文律があるようでございます」
「ほう。感謝する」

 不文律、ね。面倒だが従っておいた方がいいな。

 オレはさっそく木のトレイを持つと、食事を待つ男の子たちの列の最後尾に並んだ。

 貴族の食堂だからもっと高級レストランのような形式を想像していたのだが、なんだか学食のような感じだな。まぁ、人数が多いからいちいち対応していられないのだろう。

 ガヤガヤと聞き取れない声が響き、おいしそうな匂いが充満する空間になんだか懐かしさを覚えた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

転生貴族の移動領地~家族から見捨てられた三子の俺、万能な【スライド】スキルで最強領地とともに旅をする~

名無し
ファンタジー
とある男爵の三子として転生した主人公スラン。美しい海辺の辺境で暮らしていたが、海賊やモンスターを寄せ付けなかった頼りの父が倒れ、意識不明に陥ってしまう。兄姉もまた、スランの得たスキル【スライド】が外れと見るや、彼を見捨ててライバル貴族に寝返る。だが、そこから【スライド】スキルの真価を知ったスランの逆襲が始まるのであった。

念願の異世界転生できましたが、滅亡寸前の辺境伯家の長男、魔力なしでした。

克全
ファンタジー
アルファポリスオンリーです。

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

帰還勇者の盲愛生活〜異世界で失った仲間たちが現代で蘇り、俺を甘やかしてくる~

キョウキョウ
ファンタジー
普通の会社員だった佐藤隼人(さとうはやと)は、ある日突然異世界に招かれる。 異世界で勇者として10年間を旅して過ごしながら魔王との戦いに決着をつけた隼人。 役目を終えて、彼は異世界に旅立った直後の現代に戻ってきた。 隼人の意識では10年間という月日が流れていたが、こちらでは一瞬の出来事だった。 戻ってきたと実感した直後、彼の体に激痛が走る。 異世界での経験と成長が現代の体に統合される過程で、隼人は1ヶ月間寝込むことに。 まるで生まれ変わるかのような激しい体の変化が続き、思うように動けなくなった。 ようやく落ち着いた頃には無断欠勤により会社をクビになり、それを知った恋人から別れを告げられる。 それでも隼人は現代に戻ってきて、生きられることに感謝する。 次の仕事を見つけて、新しい生活を始めようと前向きになった矢先、とある人物が部屋を訪ねてくる。 その人物とは、異世界で戦友だった者の名を口にする女子高生だった。 「ハヤト様。私たちの世界を救ってくれて、本当にありがとう。今度は、私たちがあなたのことを幸せにします!」 ※カクヨムにも掲載中です。

侯爵家三男からはじまる異世界チート冒険録 〜元プログラマー、スキルと現代知識で理想の異世界ライフ満喫中!〜【奨励賞】

のびすけ。
ファンタジー
気づけば侯爵家の三男として異世界に転生していた元プログラマー。 そこはどこか懐かしく、けれど想像以上に自由で――ちょっとだけ危険な世界。 幼い頃、命の危機をきっかけに前世の記憶が蘇り、 “とっておき”のチートで人生を再起動。 剣も魔法も、知識も商才も、全てを武器に少年は静かに準備を進めていく。 そして12歳。ついに彼は“新たなステージ”へと歩み出す。 これは、理想を形にするために動き出した少年の、 少し不思議で、ちょっとだけチートな異世界物語――その始まり。 【なろう掲載】

最低最悪の悪役令息に転生しましたが、神スキル構成を引き当てたので思うままに突き進みます! 〜何やら転生者の勇者から強いヘイトを買っている模様

コレゼン
ファンタジー
「おいおい、嘘だろ」  ある日、目が覚めて鏡を見ると俺はゲーム「ブレイス・オブ・ワールド」の公爵家三男の悪役令息グレイスに転生していた。  幸いにも「ブレイス・オブ・ワールド」は転生前にやりこんだゲームだった。  早速、どんなスキルを授かったのかとステータスを確認してみると―― 「超低確率の神スキル構成、コピースキルとスキル融合の組み合わせを神引きしてるじゃん!!」  やったね! この神スキル構成なら処刑エンドを回避して、かなり有利にゲーム世界を進めることができるはず。  一方で、別の転生者の勇者であり、元エリートで地方自治体の首長でもあったアルフレッドは、 「なんでモブキャラの悪役令息があんなに強力なスキルを複数持ってるんだ! しかも俺が目指してる国王エンドを邪魔するような行動ばかり取りやがって!!」  悪役令息のグレイスに対して日々不満を高まらせていた。  なんか俺、勇者のアルフレッドからものすごいヘイト買ってる?  でもまあ、勇者が最強なのは検証が進む前の攻略情報だから大丈夫っしょ。  というわけで、ゲーム知識と神スキル構成で思うままにこのゲーム世界を突き進んでいきます!

昭和生まれお局様は、異世界転生いたしましたとさ

蒼あかり
ファンタジー
局田舞子(つぼたまいこ)43歳、独身。 とある事故をきっかけに、彼女は異世界へと転生することになった。 どうしてこんなことになったのか、訳もわからぬままに彼女は異世界に一人放り込まれ、辛い日々を過ごしながら苦悩する毎日......。 など送ることもなく、なんとなく順応しながら、それなりの日々を送って行くのでありました。 そんな彼女の異世界生活と、ほんの少しのラブロマンスっぽい何かを織り交ぜながらすすむ、そんな彼女の生活を覗いてみませんか? 毎日投稿はできないと思います。気長に更新をお待ちください。

異世界に転生したら?(改)

まさ
ファンタジー
事故で死んでしまった主人公のマサムネ(奥田 政宗)は41歳、独身、彼女無し、最近の楽しみと言えば、従兄弟から借りて読んだラノベにハマり、今ではアパートの部屋に数十冊の『転生』系小説、通称『ラノベ』がところ狭しと重なっていた。 そして今日も残業の帰り道、脳内で転生したら、あーしよ、こーしよと現実逃避よろしくで想像しながら歩いていた。 物語はまさに、その時に起きる! 横断歩道を歩き目的他のアパートまで、もうすぐ、、、だったのに居眠り運転のトラックに轢かれ、意識を失った。 そして再び意識を取り戻した時、目の前に女神がいた。 ◇ 5年前の作品の改稿板になります。 少し(?)年数があって文章がおかしい所があるかもですが、素人の作品。 生暖かい目で見て下されば幸いです。

処理中です...