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041 初めての教室。誓い
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入学式を居眠りスキップで飛ばしたオレが案内されてやって来たのは、大学の講義室のように奥に向かって高くなる段差の付いている教室の中だった。既に席次は決まっているらしく、机には生徒の名前が書いてあった。
オレの席は廊下側の一番前だ。ここでも親の爵位が影響しているのだろう。高位貴族の子どもたちは後ろの席らしい。
自分の名前が書いてある席に座ると、隣にじゃがい……エロワが座った。その隣にはポールが座る。
「おいおい、見たかよアベル?」
「何かあったか?」
「かあああ! てめえ、枯れてんのか? 女子の制服だよ!」
エロワは小声で叫ぶという器用なマネをしながら女子生徒を指差した。
「あのスカートの短さは犯罪だろ!? あんなのを制服に指定した国王はとんでもない変態だぜ!」
「不敬罪で首が飛ぶぞ?」
まぁ、エロワの言うこともわからんでもないけどさ。
日本の記憶があるオレにとってはミニスカートなんて見飽きたものだが、ロングスカートが一般的なこの国において、ミニスカートは刺激が強すぎるだろう。
「しかも、だ! 足を隠すためにタイツやストッキング履いてるのがもう逆にエロい! しかも、チラチラガーターベルトが見えるんだぜ? ヤベーよ。ちょっとトイレ行ってくる!」
そう言ってエロワは前屈みになって走っていった。
「あれ? エロワくん、どうしたんだーよ?」
「しいて言うなら、思春期、かな」
「ふーん?」
ポールは興味なさそうに首をかしげていた。
◇
「ふぅ、スッキリしたわ」
どこか満たされたような顔をしたエロワが帰ってきたのは、それから三分ほどのことだった。早い。
しばらくエロワに触れたくないなぁ。隣の席にドカッと座ったエロワから心持ち距離を取る。
「そいやあ――――」
何かを言いかけたエロワの言葉が不自然に止まる。その顔は目を見開いて驚愕の表情をしていた。
エロワはどうしたんだ?
エロワの視線をたどると、教室の入口へとたどり着く。そこにいたのは、シャルリーヌと二人の少女だった。
二人の少女の方は誰かわからないな。ということは、オレと同じモブだろう。シャルリーヌと親しげだからお友だちかな?
その時、シャルリーヌと目が合った。
「あら、アベルじゃない」
「よお、シャルリーヌ」
「シャルリーヌ様、お知合いですか?」
シャルリーヌの後ろに控えるように立っていた二人の少女のうち一人がシャルリーヌに尋ねる。なんだかその立ち位置で三人の力関係がわかるな。まぁ、シャルリーヌは伯爵家の令嬢だし、取り巻きくらいいるか。
それにしても、シャルリーヌの美しさは突出しているな。後ろの少女二人も決して不細工というわけじゃない。前世だったら教室で一番かわいい女の子くらいのかわいらしさを持っている。
だがそれでも、そんな二人の少女をもってしてもシャルリーヌの美しさには敵わない。
「アベルはわたくしの婚約者なの」
「「ぶっ!?」」
横から二人分の噴き出すような音が聞こえたけど、聞こえなかったことにする。
オレは椅子から立ち上がると、右手を左胸に当てて軽く頭を下げた。
「アベル・ヴィアラットだ」
「ヴィアラット?」
「知らない名ですね。王都の貴族ではないのかしら?」
不思議そうに首をかしげる二人の少女。シャルリーヌはそんな二人に振り返って、腰に手を当てて胸を振って口を開いた。
「アベルはすごいのよ? 飛空艇を持ってるし、お父様に認められる料理を作ってみせたの!」
「まあ!」
「それはすごいですね!」
どうでもいいけど、シャルリーヌ小っちゃいなぁ。シャルリーヌは女の子の中でも特に小柄な少女だ。シャルリーヌを見る二人の少女も少女に似合わぬ慈愛の瞳でシャルリーヌを見ている気がする。
立場的に偉いのはシャルリーヌの方だけど、精神的な年齢は二人の少女の方が上って感じだな。
二人の少女の視線がオレを捉えた。先ほどまでの慈愛の視線ではなく、オレを探るような値踏みするような視線だ。
「申し遅れました。わたくし、アリソン・ボダンと申します」
「ブリジット・シェロンです」
「ブラシェール伯爵様が選ばれた方ですので大丈夫だとは思いますが……」
「シャルリーヌ様を泣かせたら、承知いたしませんわよ?」
もう睨むようにオレを見る二人の少女。それを見て、オレはなんだか嬉しくなってしまった。
ゲームでは登場しなかったけど、シャルリーヌにも彼女を案じるお友だちが少なくとも二人はいる。そのことが堪らなく嬉しい。
「もー、二人とも何言ってるの?」
ちんまいシャルリーヌが二人の方を見て笑っていた。シャルリーヌから二人への信頼も高いようだ。
「ここで誓おう。オレは、シャルリーヌの嫌がることを絶対にしない。今はまだ無理かもしれないが、いつか必ずシャルリーヌの隣に立つのに相応しい男になってみせる」
「まあ!」
「へえ?」
ただのモブのオレがサブとはいえヒロインに恋をしたんだ。釣り合わないのはわかってる。
だが、オレの目標は世界最強の男だ!
そうなれば、シャルリーヌの隣に立っても笑われることもあるまい。
明日から訓練の数を増やそう。
「もー! アベルも教室で何言ってるのよ!」
シャルリーヌが手をパタパタ上下に振っている。その顔はほんのり赤く染まっていた。
オレの席は廊下側の一番前だ。ここでも親の爵位が影響しているのだろう。高位貴族の子どもたちは後ろの席らしい。
自分の名前が書いてある席に座ると、隣にじゃがい……エロワが座った。その隣にはポールが座る。
「おいおい、見たかよアベル?」
「何かあったか?」
「かあああ! てめえ、枯れてんのか? 女子の制服だよ!」
エロワは小声で叫ぶという器用なマネをしながら女子生徒を指差した。
「あのスカートの短さは犯罪だろ!? あんなのを制服に指定した国王はとんでもない変態だぜ!」
「不敬罪で首が飛ぶぞ?」
まぁ、エロワの言うこともわからんでもないけどさ。
日本の記憶があるオレにとってはミニスカートなんて見飽きたものだが、ロングスカートが一般的なこの国において、ミニスカートは刺激が強すぎるだろう。
「しかも、だ! 足を隠すためにタイツやストッキング履いてるのがもう逆にエロい! しかも、チラチラガーターベルトが見えるんだぜ? ヤベーよ。ちょっとトイレ行ってくる!」
そう言ってエロワは前屈みになって走っていった。
「あれ? エロワくん、どうしたんだーよ?」
「しいて言うなら、思春期、かな」
「ふーん?」
ポールは興味なさそうに首をかしげていた。
◇
「ふぅ、スッキリしたわ」
どこか満たされたような顔をしたエロワが帰ってきたのは、それから三分ほどのことだった。早い。
しばらくエロワに触れたくないなぁ。隣の席にドカッと座ったエロワから心持ち距離を取る。
「そいやあ――――」
何かを言いかけたエロワの言葉が不自然に止まる。その顔は目を見開いて驚愕の表情をしていた。
エロワはどうしたんだ?
エロワの視線をたどると、教室の入口へとたどり着く。そこにいたのは、シャルリーヌと二人の少女だった。
二人の少女の方は誰かわからないな。ということは、オレと同じモブだろう。シャルリーヌと親しげだからお友だちかな?
その時、シャルリーヌと目が合った。
「あら、アベルじゃない」
「よお、シャルリーヌ」
「シャルリーヌ様、お知合いですか?」
シャルリーヌの後ろに控えるように立っていた二人の少女のうち一人がシャルリーヌに尋ねる。なんだかその立ち位置で三人の力関係がわかるな。まぁ、シャルリーヌは伯爵家の令嬢だし、取り巻きくらいいるか。
それにしても、シャルリーヌの美しさは突出しているな。後ろの少女二人も決して不細工というわけじゃない。前世だったら教室で一番かわいい女の子くらいのかわいらしさを持っている。
だがそれでも、そんな二人の少女をもってしてもシャルリーヌの美しさには敵わない。
「アベルはわたくしの婚約者なの」
「「ぶっ!?」」
横から二人分の噴き出すような音が聞こえたけど、聞こえなかったことにする。
オレは椅子から立ち上がると、右手を左胸に当てて軽く頭を下げた。
「アベル・ヴィアラットだ」
「ヴィアラット?」
「知らない名ですね。王都の貴族ではないのかしら?」
不思議そうに首をかしげる二人の少女。シャルリーヌはそんな二人に振り返って、腰に手を当てて胸を振って口を開いた。
「アベルはすごいのよ? 飛空艇を持ってるし、お父様に認められる料理を作ってみせたの!」
「まあ!」
「それはすごいですね!」
どうでもいいけど、シャルリーヌ小っちゃいなぁ。シャルリーヌは女の子の中でも特に小柄な少女だ。シャルリーヌを見る二人の少女も少女に似合わぬ慈愛の瞳でシャルリーヌを見ている気がする。
立場的に偉いのはシャルリーヌの方だけど、精神的な年齢は二人の少女の方が上って感じだな。
二人の少女の視線がオレを捉えた。先ほどまでの慈愛の視線ではなく、オレを探るような値踏みするような視線だ。
「申し遅れました。わたくし、アリソン・ボダンと申します」
「ブリジット・シェロンです」
「ブラシェール伯爵様が選ばれた方ですので大丈夫だとは思いますが……」
「シャルリーヌ様を泣かせたら、承知いたしませんわよ?」
もう睨むようにオレを見る二人の少女。それを見て、オレはなんだか嬉しくなってしまった。
ゲームでは登場しなかったけど、シャルリーヌにも彼女を案じるお友だちが少なくとも二人はいる。そのことが堪らなく嬉しい。
「もー、二人とも何言ってるの?」
ちんまいシャルリーヌが二人の方を見て笑っていた。シャルリーヌから二人への信頼も高いようだ。
「ここで誓おう。オレは、シャルリーヌの嫌がることを絶対にしない。今はまだ無理かもしれないが、いつか必ずシャルリーヌの隣に立つのに相応しい男になってみせる」
「まあ!」
「へえ?」
ただのモブのオレがサブとはいえヒロインに恋をしたんだ。釣り合わないのはわかってる。
だが、オレの目標は世界最強の男だ!
そうなれば、シャルリーヌの隣に立っても笑われることもあるまい。
明日から訓練の数を増やそう。
「もー! アベルも教室で何言ってるのよ!」
シャルリーヌが手をパタパタ上下に振っている。その顔はほんのり赤く染まっていた。
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