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113 アイギス
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「はぁー……。なんとかなったか……」
気が付けば、オレは野太い溜息を吐いていた。
緑色の壁のように見渡す限りいたゴブリンたちはもういない。エロワ、ポール、シャルリーヌ、アリソン、ブリジットの活躍によって、そのすべてを殲滅した。
オレ? オレは武器が壊れちゃったからね。あまり活躍したとは言い難い。みんなには迷惑をかけてしまったなぁ……。
オレは、地面に光るものを見つけて拾い上げる。
「あぁ……」
思わず口から情けない声が漏れる。
拾い上げたのは、ゴブリンたちのドロップアイテムではない。折れた片手剣の刀身だ。
「はぁ……」
折れてしまった以上、もうこの片手剣は死んだも同然だ。仮にくっ付けたとしても、また同じ所で折れてしまう弱い片手剣にしかならない。
もうなんの役にも立たない物だが、それでもオレにとっては大切な物だ。
無性に父上と母上に申し訳なくなった。
「アベル、大丈夫だった?」
「ああ……。オレは大丈夫だけど、武器がな……」
「そう……」
シャルリーヌはオレの剣と盾が両親からの贈り物だと話したことはない。それでもなにか感じるものがあったのか、シャルリーヌも悲しそうな顔でオレの手の中の折れた片手剣を見ていた。
「無事かよ?」
「大丈夫なんだなー?」
気が付けば、エロワ、ポールも集まってきた。
「すまん、武器が折れた。迷惑をかけたな……」
「んなことはいいんだよ。武器かぁ。そいつは悲しいよなぁ……」
「元気出すんだなー」
エロワはうんうん頷き、ポールはオレの背中を撫でる。二人とも辺境の出だから、オレの片手剣への思い入れの深さがわかるのかもしれない。
「オレは大丈夫だ。心配かけたな。これからどうするかだが……」
自分でもカラ元気だとわかるが、でも、いつまでも悲しみに暮れていても仕方がない。今回のダンジョン攻略はテストの一環なのだ。ここで帰還するわけにもいかない。
「オレはこれで戦うよ」
オレが拾い上げたのは、安っぽい棍棒だった。ゴブリンのドロップアイテムだな。
「そんなのでいいのか?」
「ああ」
手に持った棍棒を振ると、ブオンと鈍く風を切る音が起こった。
オレは片手剣の技量ばかり磨いてきた。片手剣ならいくつかスキルが使えるが、棍棒は残念ながら片手棍に分類される。技量としてはまったく磨けてないし、スキルも使えない。大幅な戦力ダウンは否めないが、今回は仕方がない。
慣れるために棍棒をブンブン振ってみる。やっぱり片手剣と比べると違和感がすごいな。でも、慣れるしかない。
「見てください! こんな物が入ってましたよ!」
ブリジットの大声に振り向くと、ブリジットの前にはカラフルな羽で飾り付けられた野性味溢れる大剣が転がっていた。
「あれは……」
フォレストファング(大剣)?
そうか。ボスドロップか。そうだった。ここのボスドロップでは、フォレストシリーズの武器がドロップするんだった。
それにしても大剣か……。どうせなら片手剣の方がよかったんだが、贅沢は言ってられないな。
その後、ポールに許可を貰って、フォレストファングはオレが貰った。
棍棒と迷ったが、フォレストファングの方が基礎攻撃力が何倍も高い。どうせ片手棍も大剣も技量レベルはゼロなんだ。それなら、基礎攻撃力の高いフォレストファングにした方がいい。
「あら? 盾も外しちゃうの?」
「ああ」
オレはシャルリーヌに答えると、左腕に装備していた盾を外す。かなり無茶な使い方をしたからな。これもかなりボロボロだ。このままムキになって使って壊してしまうより、今ここで外してしまった方がいい。
オレは盾を丁寧にマジックバッグに仕舞う。
「でも、盾がないと大変じゃない?」
「ああ、それなら大丈夫。起動」
オレが左手の銀色の腕輪に命じると、一瞬にして銀色に輝く盾が展開した。
「えっ!?」
「なんだこりゃ!?」
「驚いたんだなー!?」
「これは……盾、でしょうか?」
「かっこいい……」
シャルリーヌ、エロワ、ポール、アリソン、ブリジットがそれぞれ驚いた顔をしてオレの盾を見ていた。
「アイギス。オレの持つ最強の盾だ」
アイギスを装備した瞬間から、オレは体が軽くなったのを感じた。アイギスの装備効果によって身体能力が強化されたのだ。
できれば、オレはアイギスを使いたくなかった。アイギスはたしかに強い装備だ。作中に登場する盾の中でぶっちぎりの性能を持っている。
だが、今のオレはまだまだ未熟だ。この状態で使えば、アイギスの能力に頼りっぱなしになってしまう。それは避けたい。
オレは最強の力が欲しいのではない。最強になりたいのだ。
「まぁ、大剣を使うから、こいつの出番はそんなにないだろうけどね」
ゲームでは、当たり前だが両手武器と盾の併用はできなかった。
でもアイギスは軽いし、使いようによっては大剣を使いながら使えそうだ。ゲームではできなかったことができる。オレの心は確かにわくわくしていた。
気が付けば、オレは野太い溜息を吐いていた。
緑色の壁のように見渡す限りいたゴブリンたちはもういない。エロワ、ポール、シャルリーヌ、アリソン、ブリジットの活躍によって、そのすべてを殲滅した。
オレ? オレは武器が壊れちゃったからね。あまり活躍したとは言い難い。みんなには迷惑をかけてしまったなぁ……。
オレは、地面に光るものを見つけて拾い上げる。
「あぁ……」
思わず口から情けない声が漏れる。
拾い上げたのは、ゴブリンたちのドロップアイテムではない。折れた片手剣の刀身だ。
「はぁ……」
折れてしまった以上、もうこの片手剣は死んだも同然だ。仮にくっ付けたとしても、また同じ所で折れてしまう弱い片手剣にしかならない。
もうなんの役にも立たない物だが、それでもオレにとっては大切な物だ。
無性に父上と母上に申し訳なくなった。
「アベル、大丈夫だった?」
「ああ……。オレは大丈夫だけど、武器がな……」
「そう……」
シャルリーヌはオレの剣と盾が両親からの贈り物だと話したことはない。それでもなにか感じるものがあったのか、シャルリーヌも悲しそうな顔でオレの手の中の折れた片手剣を見ていた。
「無事かよ?」
「大丈夫なんだなー?」
気が付けば、エロワ、ポールも集まってきた。
「すまん、武器が折れた。迷惑をかけたな……」
「んなことはいいんだよ。武器かぁ。そいつは悲しいよなぁ……」
「元気出すんだなー」
エロワはうんうん頷き、ポールはオレの背中を撫でる。二人とも辺境の出だから、オレの片手剣への思い入れの深さがわかるのかもしれない。
「オレは大丈夫だ。心配かけたな。これからどうするかだが……」
自分でもカラ元気だとわかるが、でも、いつまでも悲しみに暮れていても仕方がない。今回のダンジョン攻略はテストの一環なのだ。ここで帰還するわけにもいかない。
「オレはこれで戦うよ」
オレが拾い上げたのは、安っぽい棍棒だった。ゴブリンのドロップアイテムだな。
「そんなのでいいのか?」
「ああ」
手に持った棍棒を振ると、ブオンと鈍く風を切る音が起こった。
オレは片手剣の技量ばかり磨いてきた。片手剣ならいくつかスキルが使えるが、棍棒は残念ながら片手棍に分類される。技量としてはまったく磨けてないし、スキルも使えない。大幅な戦力ダウンは否めないが、今回は仕方がない。
慣れるために棍棒をブンブン振ってみる。やっぱり片手剣と比べると違和感がすごいな。でも、慣れるしかない。
「見てください! こんな物が入ってましたよ!」
ブリジットの大声に振り向くと、ブリジットの前にはカラフルな羽で飾り付けられた野性味溢れる大剣が転がっていた。
「あれは……」
フォレストファング(大剣)?
そうか。ボスドロップか。そうだった。ここのボスドロップでは、フォレストシリーズの武器がドロップするんだった。
それにしても大剣か……。どうせなら片手剣の方がよかったんだが、贅沢は言ってられないな。
その後、ポールに許可を貰って、フォレストファングはオレが貰った。
棍棒と迷ったが、フォレストファングの方が基礎攻撃力が何倍も高い。どうせ片手棍も大剣も技量レベルはゼロなんだ。それなら、基礎攻撃力の高いフォレストファングにした方がいい。
「あら? 盾も外しちゃうの?」
「ああ」
オレはシャルリーヌに答えると、左腕に装備していた盾を外す。かなり無茶な使い方をしたからな。これもかなりボロボロだ。このままムキになって使って壊してしまうより、今ここで外してしまった方がいい。
オレは盾を丁寧にマジックバッグに仕舞う。
「でも、盾がないと大変じゃない?」
「ああ、それなら大丈夫。起動」
オレが左手の銀色の腕輪に命じると、一瞬にして銀色に輝く盾が展開した。
「えっ!?」
「なんだこりゃ!?」
「驚いたんだなー!?」
「これは……盾、でしょうか?」
「かっこいい……」
シャルリーヌ、エロワ、ポール、アリソン、ブリジットがそれぞれ驚いた顔をしてオレの盾を見ていた。
「アイギス。オレの持つ最強の盾だ」
アイギスを装備した瞬間から、オレは体が軽くなったのを感じた。アイギスの装備効果によって身体能力が強化されたのだ。
できれば、オレはアイギスを使いたくなかった。アイギスはたしかに強い装備だ。作中に登場する盾の中でぶっちぎりの性能を持っている。
だが、今のオレはまだまだ未熟だ。この状態で使えば、アイギスの能力に頼りっぱなしになってしまう。それは避けたい。
オレは最強の力が欲しいのではない。最強になりたいのだ。
「まぁ、大剣を使うから、こいつの出番はそんなにないだろうけどね」
ゲームでは、当たり前だが両手武器と盾の併用はできなかった。
でもアイギスは軽いし、使いようによっては大剣を使いながら使えそうだ。ゲームではできなかったことができる。オレの心は確かにわくわくしていた。
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