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聖女が偽聖女と呼ばれる理由(4)
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とはいえである。これを一生の仕事としてよいものか。正直おばあさんになってしまう前に、平凡でも幸せな家庭を築きたい。そしてその願いゆえに、キャシーは巡礼の旅を続けるよりほかなかったのである。
「はあ、今回こそ運命の相手は見つかるかしら」
「キャシー、大丈夫ですよ。きっとあなた好みの理想の王子さまが見つかります」
「げ、王子さま?」
「キャシーは王子さまは嫌いですか」
「王子さまが嫌いっていうか、ろくな王族や皇族がいなかったからなあ。神託を受けた後に、潔く私を外に出してくれた国ってないじゃない? 最初は清廉潔白に見えても、最終的にぐだぐだになって茶番劇を演じる羽目になるし。いくら国のためとはいえ、ちょっと信用できないのよね」
聖女は純潔である限り、歳をとっても聖女のまま。聖女を辞めるには、寿退職するより他に方法がない。
その上、国から国へ巡礼の旅を続ける聖女には、「鉄の処女」と呼ばれる女神の加護がかけられている。他人から危害を加えられることはない代わりに、唯一の運命の相手を見つけない限り、ゆきずりの相手と肌を重ねることも許されないのだった。すでに嫁き遅れとなって久しい彼女は、ため息をつく。
「王子さまってさ、結婚して聖女としての力を失ったら、理由をつけて処刑してきそう。あるいは、白い結婚を貫き通して、国のお抱え聖女として都合よく囲うとかさ……。やだなあ、王子さま怖い……。まあ、王子さまもそれくらいのメリットがなけりゃ、こんな年増を口説いたりしないもんね」
「おいたわしや。すっかりすれてしまわれて……」
「絶対に裏切らず、何があっても私を守ってくれるような相手が理想なんだけれど、そんな相手がこの世にいるわけないよねえ」
「大丈夫です。キャシー、あなたは世界で一番素敵な女の子です。自信を持ってください」
「とうがたちすぎた女の子だけどね。ふふふ、慰めてくれてどうもありがとう。大好きよ」
そうしてひとりと1匹は、次の国へと足を踏み入れたのであった。
「はあ、今回こそ運命の相手は見つかるかしら」
「キャシー、大丈夫ですよ。きっとあなた好みの理想の王子さまが見つかります」
「げ、王子さま?」
「キャシーは王子さまは嫌いですか」
「王子さまが嫌いっていうか、ろくな王族や皇族がいなかったからなあ。神託を受けた後に、潔く私を外に出してくれた国ってないじゃない? 最初は清廉潔白に見えても、最終的にぐだぐだになって茶番劇を演じる羽目になるし。いくら国のためとはいえ、ちょっと信用できないのよね」
聖女は純潔である限り、歳をとっても聖女のまま。聖女を辞めるには、寿退職するより他に方法がない。
その上、国から国へ巡礼の旅を続ける聖女には、「鉄の処女」と呼ばれる女神の加護がかけられている。他人から危害を加えられることはない代わりに、唯一の運命の相手を見つけない限り、ゆきずりの相手と肌を重ねることも許されないのだった。すでに嫁き遅れとなって久しい彼女は、ため息をつく。
「王子さまってさ、結婚して聖女としての力を失ったら、理由をつけて処刑してきそう。あるいは、白い結婚を貫き通して、国のお抱え聖女として都合よく囲うとかさ……。やだなあ、王子さま怖い……。まあ、王子さまもそれくらいのメリットがなけりゃ、こんな年増を口説いたりしないもんね」
「おいたわしや。すっかりすれてしまわれて……」
「絶対に裏切らず、何があっても私を守ってくれるような相手が理想なんだけれど、そんな相手がこの世にいるわけないよねえ」
「大丈夫です。キャシー、あなたは世界で一番素敵な女の子です。自信を持ってください」
「とうがたちすぎた女の子だけどね。ふふふ、慰めてくれてどうもありがとう。大好きよ」
そうしてひとりと1匹は、次の国へと足を踏み入れたのであった。
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