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「イヴ、考え直してくれないか。僕たちは、もう一度やり直せると思うんだ」

 夫であるエリックに切り出されたイヴは、頬を赤く染め感極まったように目を潤ませた。

「まあ、本当ですか。私、その言葉を待ち望んでおりましたの」

 社交界では冷血女とまで言われたイヴがまるで少女のようにドレスの裾を翻し、腕を大きく広げたエリックに向かって駆け出した。
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