39 / 55
『こうぶつ』には敵わない
しおりを挟む
条件:「こ」「ご」「う」「ふ」「ぷ」「ぶ」「つ」「っ」を使用してはならない。
取引先への手土産を準備しておいてくれ。
会社で買い物を頼まれた。昼休みにデパ地下へ行けば、なぜか和菓子ばかりが目に入る。
もなか。
ゆべし。
いやいや、会社で頼まれたものはとある銘菓。
あちら様が大変お好きな焼菓子だ。和菓子は、買い物リストにはない。
みたらし。
ちまき。
だめだ、頭から離れない。
食費には確かにまだ余りがある。とはいえ、食べ過ぎはよくない。
かしわもち。
すあま。
さらに迫りくる甘味たちに、私は白旗をあげた。
「あのねえ、食べたいのはわかるけれど、時と場所を選んでほしいわ」
帰宅するなり、父の部屋に行く。もちろん、父からの返事はない。やれやれ、お礼くらいちゃんと言いなさいね。
おみやげのぼた餅をあげて部屋を出る。すぐに、ケースを開ける音がした。
娘の話など気にも留めず、その甘さに酔いしれているはずだ。
仕方のないひとだ。
昔から全然変わらない。長年制限されていた甘いものが解禁をむかえたとはいえ、はしゃぎすぎな気がする。
しばらくしたら、下げに戻ればいいかしら。その間に遅めの食事の支度をしておくとするか。また大笑いするしかないほど味が消えたぼた餅が、りんの隣に置かれているにちがいない。
取引先への手土産を準備しておいてくれ。
会社で買い物を頼まれた。昼休みにデパ地下へ行けば、なぜか和菓子ばかりが目に入る。
もなか。
ゆべし。
いやいや、会社で頼まれたものはとある銘菓。
あちら様が大変お好きな焼菓子だ。和菓子は、買い物リストにはない。
みたらし。
ちまき。
だめだ、頭から離れない。
食費には確かにまだ余りがある。とはいえ、食べ過ぎはよくない。
かしわもち。
すあま。
さらに迫りくる甘味たちに、私は白旗をあげた。
「あのねえ、食べたいのはわかるけれど、時と場所を選んでほしいわ」
帰宅するなり、父の部屋に行く。もちろん、父からの返事はない。やれやれ、お礼くらいちゃんと言いなさいね。
おみやげのぼた餅をあげて部屋を出る。すぐに、ケースを開ける音がした。
娘の話など気にも留めず、その甘さに酔いしれているはずだ。
仕方のないひとだ。
昔から全然変わらない。長年制限されていた甘いものが解禁をむかえたとはいえ、はしゃぎすぎな気がする。
しばらくしたら、下げに戻ればいいかしら。その間に遅めの食事の支度をしておくとするか。また大笑いするしかないほど味が消えたぼた餅が、りんの隣に置かれているにちがいない。
0
あなたにおすすめの小説
麗しき未亡人
石田空
現代文学
地方都市の市議の秘書の仕事は慌ただしい。市議の秘書を務めている康隆は、市民の冠婚葬祭をチェックしてはいつも市議代行として出かけている。
そんな中、葬式に参加していて光恵と毎回出会うことに気付く……。
他サイトにも掲載しております。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です
朝陽七彩
恋愛
私は。
「夕鶴、こっちにおいで」
現役の高校生だけど。
「ずっと夕鶴とこうしていたい」
担任の先生と。
「夕鶴を誰にも渡したくない」
付き合っています。
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
神城夕鶴(かみしろ ゆづる)
軽音楽部の絶対的エース
飛鷹隼理(ひだか しゅんり)
アイドル的存在の超イケメン先生
♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡
彼の名前は飛鷹隼理くん。
隼理くんは。
「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」
そう言って……。
「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」
そして隼理くんは……。
……‼
しゅっ……隼理くん……っ。
そんなことをされたら……。
隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。
……だけど……。
え……。
誰……?
誰なの……?
その人はいったい誰なの、隼理くん。
ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。
その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。
でも。
でも訊けない。
隼理くんに直接訊くことなんて。
私にはできない。
私は。
私は、これから先、一体どうすればいいの……?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる