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『うえ』から落ちる。『うらみ』も消える。
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ある冬の日、わたしは婚約者と別れた。
悪いがやっていけない。その一言ですべてが終わった。
ぺたんこのお腹を撫でつつ、わたしは出来たばかりのショッピングモールをひとり歩く。周りを行くのは家族連ればかり。その姿が、酷く気に障る。
不意に目眩がして、倒れかけた。二本の足は確かに地面についているはずなのに、まっ逆さまに下へと落ちている気がする。
座り込んだまま一階を眺めていると、誰かがわたしを呼んだ。赤子だ。玩具をねだる泣き顔と、ばたつく小さな手。なるほど、ここへ来たのは間違いではなかったのだ。
光に導かれて、わたしは近くを行く父子を呼び止める。そのまま、幼子を手すりの先へ投げ込んだ。ふわりふわり、ゆっくりと落ちていく。
これで安心だ。ひとりぼっちのあの子も、寂しくないに違いない。
わたしはにっこりと、泣き叫ぶ父親に礼を述べる。わたしの婚約者だった男に。
何の咎もない子どもたちは、仲良く天使になるのだ。
悪いがやっていけない。その一言ですべてが終わった。
ぺたんこのお腹を撫でつつ、わたしは出来たばかりのショッピングモールをひとり歩く。周りを行くのは家族連ればかり。その姿が、酷く気に障る。
不意に目眩がして、倒れかけた。二本の足は確かに地面についているはずなのに、まっ逆さまに下へと落ちている気がする。
座り込んだまま一階を眺めていると、誰かがわたしを呼んだ。赤子だ。玩具をねだる泣き顔と、ばたつく小さな手。なるほど、ここへ来たのは間違いではなかったのだ。
光に導かれて、わたしは近くを行く父子を呼び止める。そのまま、幼子を手すりの先へ投げ込んだ。ふわりふわり、ゆっくりと落ちていく。
これで安心だ。ひとりぼっちのあの子も、寂しくないに違いない。
わたしはにっこりと、泣き叫ぶ父親に礼を述べる。わたしの婚約者だった男に。
何の咎もない子どもたちは、仲良く天使になるのだ。
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