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第2章 『対・四天王①』編
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しおりを挟む《四天王》の攻撃を受ける・流す・避けるを繰り返しながら、私はうんうんと考える。
魔法で眠らせるのがリスキーなら、えーとえーと……。
あ、そっか。もっと単純に考えれば良かったのか。
なーんで気づかないかな、私。やれやれ、だぜ☆
「……決めた。縛っちゃおうか」
よし、まずは……ちょっと距離をとろう。
なら、《四天王》が向かってくるタイミングで、突進を受け流しながら、前に向かって──くるりんっ!そんで、避けた勢いを利用して振り返って、《異空間収納》からあるアイテムを取り出す。
そして、それに、魔力を込めて───振りかぶる。
「滅べぇ!ストォーカアァァァーッ!!」
あ、間違えた☆
……いや、間違えてないか?まぁ、当たれば何でも……って、ちと待て?今、時速いくつ出てたよ??
………ほーん、時速175㎞、ねぇ。さすがチートスペック((遠い目
ん、あれ?コレ……当たりどころ悪けりゃ死ぬんじゃね?
え、ちょっ……マズくねっ!?
うわはあぁぁぁっ!頼むから、死んでくれるな!アシルお兄さんんーっ!
……あ、冷静に考えれば、問題ないわ。
だって、投げたの──『スライム【氷】の欠片』だもの。
ここでもう一度、今回使用したアイテムについて、おさらいしてみよう!
スライム【氷】の欠片…何だかプルンプルンしてる。魔力を込めて投げつけると、当たった対象を氷で捕縛する。
ここで注目したいのは、このアイテムの主な効能は《氷で捕縛》にある、と言うこと。
前にも魔法について少し話したと思うけど、魔法はイメージが全て。発動した時点で、結果は決まっている。
故に、その現象を起こす為に、不要な要素はあらかじめ切られるのだ。
例えば、爆弾の導線に火を着けた状態で、誰かに投げつけるとする。
その時、途中で火薬に引火するか、落とした衝撃で爆発してしまうのがフツーの爆弾である。
でも、魔法の場合は違う。魔法なら、決められた対象に当たらない限り火薬が燃えようと、強い衝撃が与えられようと、爆発はしない。……別の現象が起こることはあるが。それは魔法の失敗、と呼ばれている。
つまり、何が言いたいのかと言うと、私がどんな馬鹿力で叩きつk──じゃなかった、投げようとも、優先されるのは《氷で捕縛》なので、アシルお兄さんがグロいことになることはないのだ。
単に投げただけなら完全にアウト案件だが、今回はアイテムに魔力を込めていたので、魔法の一種と見なされる。
……いや、属性に当てはまらないから、実質スキル《投擲》かもしれないけど。
あー、でも。元はスキルも魔法だったらしいしなぁ……ま、この辺りは追々語っていくとしよう。
取り敢えず、上手く当たったようで《四天王》は地面に転がっている。芋虫状態ですね、はい。なお、捕縛の衝撃で《獣化体》は解けた模様。肉体主のアシルお兄さんも人型に戻ってますねー。
そして、もしもの時の為に【土】魔法で捕縛を補強。……砂浜で女体盛させられてるヤツみたいだ。ちょーど仰向けだし。
(コレで、よし。周りにも……うん、移れる対象はいないな!)
あ、もちろん『樹角鹿』は避難させたよ。私の作った【土】魔法のドーム内に。
さぁてと、やっと準備ができた……ね。
「今度こそ、覚悟しろよ?《四天王》」
そして、私は《四天王》の入ったアシルお兄さんの頭を鷲掴みにし──【邪】魔法を使った。
[───我、魔の流れを知り、淀みを正す者。神に選ばれし、聖なる乙女なり。
我に応えよ、《四天王》。汝が司りしは、何か?]
触れた瞬間、私は悟る。
この力の使い方を。……この魔法の詠唱を。
聖女は誰にも教えられずとも、《神術》を使えると聞いたけど、コレはきっと一種の本能なんだ。イリオスのシステムによって、生まれる前に植え付けられた知識。
((聖女よ。我が賜りし力は───))
私の問いに《四天王》……いや、《魔王珠》は答える。
((───怒り。我、《嚇怒》なり!))
その真名を聞いたと同時に私は《魔王珠》を引き抜き、自分の中に移植する。そして、【邪】魔法でそのまま封印を施した。
……コレで、この《魔王珠》は他のところには移れない。一件落着だ。
胸の奥で、火のように熱い何かが、ボゥッと灯る気配がした。コレが、《嚇怒》の《魔王珠》の気配、か。
はぁ~さて、一時はどうなるかと思ったけど、と り あ え ず ☆
「最初の《四天王》、討伐完了~!」
あー、疲れた!
と、思うと疲労がドドッと押し寄せてきて、一気に身体が怠くなる。
この世界に来て、コレまでで一番身体を動かしたよ。
コレでも前世より運動量は上がってるけどさぁ。もー、動きたくない。眠い。
……ホントは、まだ戦えるけど。
(少しくらい、寝てもいいかな……?)
うん、いいよね?危険もないし。
だって、この森最強は《四天王》含めて下せたんだもの。【風】魔法で防御すれば、安全に眠れるよねー。
「少しだけ……寝る!」
有言実行!
寝──る前に、『樹角鹿』とアシルお兄さんにかけた【土】魔法は解除。んで、【水】魔法の結界を張っておこう。コレで、睡眠&気絶中に襲撃されても、よほどの相手じゃなければ大丈夫だろ。わはは。
ちなみに、外からは入れないけど、中から出ることはできる仕様だ。
だって、起きたとき「閉じ込められてる!?」とか、パニックになられるとメンドい。だから【土】魔法解除したんだし。
……あ、でも。空気循環は必要か。
両方とも、生物だしなー。なら、酸素・二酸化炭素は例外にしよう。死なれたら困る。
……んー、よし。準備できた。
じゃ、改めて。オヤスm……Zzz
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