3 / 43
番外編
初めての魔獣戦の話 後編 ※前書き
しおりを挟む
===*前書き*===*===*===
皆さん、明けましておめでとうございます!
今年も、よろしくお願いします!
大晦日&元日、二日連続公開SP!その②
(注・前編に引き続き、年明けらしさは皆無です。やっぱり、シリアス?)
===*===*===*===*===
(注・第2章読了後推奨)
グダグダと悩んでる間にも、『豚象』は縦横無尽に暴れまわり、私はそれをちょちょいと避けていく。
こんなとき、優柔不断な自分がイヤになるよ。
まったく、もう。
「あー、何とか正常に治せないかなぁ……っ、と!」
すれ違い様に足蹴をくらうとこだった、あぶね。……当たってもダメージになるかは、一旦置いておこうか。
んー……《世界事典》には、《魔力狂化》を治す方法は載ってないね。なら、やっぱりムリっぽい。
うぅ、なら戦うっきゃないか。あー、憂鬱。
「さぁって、と……覚悟、しようか」
……実は、五キロ圏内の街道にヒトが近づいてきてんだよね。おそらく行商団かな?人数とヒトの配置、あと動くスピード的にそうだと思う。
万が一『豚象』が、そっちに興味持ったらマズい。大荷物持った集団が、このロケットみたいな魔獣に対抗できるとは思えないから。
護衛はいるだろうけど、ヒトを守りながらコイツの相手は難しいだろうなぁ。
だから、私が殺るしかないんだよ。
だって、生き物は好きだけど……ヒトの命と天秤にかけたら、どうしてもヒトに比重が寄る。コレは私がヒトだからこその、エゴなんだ。
「っ、ふ───……」
集中。
決めるなら、一撃を、一瞬で。
ムダに苦しませるのは、良くない。命に対しても、品質上でも。
最も効率的な殺傷方法は──
[───顕現《風刃》]
──それは、頭を落とすこと。
何故なら、首は太い血管が多い。頭を落として逆さに吊り上げれば、血抜きが楽だ。おまけに頭部には食べられる部位は少ない。つまり、頭を残すには旨味が少ないのだ。『豚象』には牙があって、それはギルドに持ち込めば金になるけど、それも首が繋がっている必要はないワケで。
つまり……あぁ、もう何だ。何を言っても、全部言い訳っぽいな。
でも、コレがわたしに出来る最善だったんだ。……他には、思いつかなかった。
「恨みはない。……でも、謝れないよ」
私が殺したんだ。謝るのは、この《魔獣》に失礼だ。
……願わくば、次の生はより良いものでありますように。
そう祈ることしか、出来ない。
頭を落とす、と言えば。
その昔、見世物のように大々的に行われていたギロチン処刑は、首と頭が離れてから、約三秒間は意識があるって聞いたことがある。理由は脳に血液が残るから、だったかな?……そのことを思い出したせいかな、切り落とされた『豚象』とほんの一瞬、目が合った気がした。
動物らしい感情が分かりにくい黒目がちな双眸は、凪いでいて、そのくせ真っ直ぐにこっちを見てるように見えた。……それが少し、怖い。
悪いとは思いつつ、ふっと目を逸らして、近くの木に体をぶら下げ、血抜きをする。この時、血が落ちる場所に穴を掘ることを忘れないのが重要だ。
(決して、ムダにはしないよ……)
血が抜けるのを待つ間、辺りに飛び散った血や、戦闘跡─大抵は『豚象』が突進するときに抉れた地面─の始末を仕上げる。作業自体は、魔法を使えばすぐに終わった。……逆にキレイになりすぎて、少々怪しい気もする。が、仕方ない。
待つこと約一時間、そろそろ血が抜けたかな?確認すると、頃合いかなぁと思う。もう血が滴る様子はないから。
覚悟を決めて、木から『豚象』の体を下ろす。それから、両手を合わせて数秒、黙祷を捧げる。……個人的に、「いただきます」は大事だと思うの。
それからスキル《解体》を使って、部位を的確に仕分けては、《異空間収納》へと仕舞っていった。
正直、《異空間収納》内は時間が停止してる……と言うより、時間の概念がない。なので、一度仕舞えば永遠に同じ状態のまま保管できる。生肉は腐らないし、骨は劣化しない。ぶっちゃけ、血が抜けたらそのまま入れてしまってもいいぐらいだ。
それでも、丸ごと入れると料理には使いづらいし、ギルドで全部売ったとしても、最終的に解体手数料が取られる。だから、自前で解体した方が手間はかかるが、安上がりなのだ。
……もちろん、前世じゃ生粋の都会っ子かつ平凡なOLだった私には、解体の知識なんぞ微塵もない。
精々が、川魚を捌くか、加工済みの肉の筋きりか。それくらいだ。
このスキル《解体》は、そんな私のためにイリオスが用意してくれたものだ。だって、綺麗に解体できた方がいっぱい美味しい部位を食べられるもんね。……それに食べ物じゃなくても、綺麗な方が市場価値は高いハズ。
このスキルを使うと、触れている対象が自動的にバラけるのだ。そりゃもう、ほどけるみたいに、一瞬だ。
ただ、ストッパーとして、ヒトと、あと生きている物には使えないように設定されている。……生きてる物に使えたら、即死魔法より怖いと思うよ。
惨殺死体、待ったなしだもの。
「収納よし、後処理よし。……周囲、何もなし」
……うん。
さてさて、準備は完了だ。目的地があるワケじゃないけど、もう出発しなくちゃ、ね。いつまでもグズグズしてらんないもの。
……でも、今日のことは一生忘れないつもりだ。
初めて、自分の意思で生き物の命を刈り取ったのだから。
「さぁ───進もう、か」
この世界の空は、今日もひどく青い。
皆さん、明けましておめでとうございます!
今年も、よろしくお願いします!
大晦日&元日、二日連続公開SP!その②
(注・前編に引き続き、年明けらしさは皆無です。やっぱり、シリアス?)
===*===*===*===*===
(注・第2章読了後推奨)
グダグダと悩んでる間にも、『豚象』は縦横無尽に暴れまわり、私はそれをちょちょいと避けていく。
こんなとき、優柔不断な自分がイヤになるよ。
まったく、もう。
「あー、何とか正常に治せないかなぁ……っ、と!」
すれ違い様に足蹴をくらうとこだった、あぶね。……当たってもダメージになるかは、一旦置いておこうか。
んー……《世界事典》には、《魔力狂化》を治す方法は載ってないね。なら、やっぱりムリっぽい。
うぅ、なら戦うっきゃないか。あー、憂鬱。
「さぁって、と……覚悟、しようか」
……実は、五キロ圏内の街道にヒトが近づいてきてんだよね。おそらく行商団かな?人数とヒトの配置、あと動くスピード的にそうだと思う。
万が一『豚象』が、そっちに興味持ったらマズい。大荷物持った集団が、このロケットみたいな魔獣に対抗できるとは思えないから。
護衛はいるだろうけど、ヒトを守りながらコイツの相手は難しいだろうなぁ。
だから、私が殺るしかないんだよ。
だって、生き物は好きだけど……ヒトの命と天秤にかけたら、どうしてもヒトに比重が寄る。コレは私がヒトだからこその、エゴなんだ。
「っ、ふ───……」
集中。
決めるなら、一撃を、一瞬で。
ムダに苦しませるのは、良くない。命に対しても、品質上でも。
最も効率的な殺傷方法は──
[───顕現《風刃》]
──それは、頭を落とすこと。
何故なら、首は太い血管が多い。頭を落として逆さに吊り上げれば、血抜きが楽だ。おまけに頭部には食べられる部位は少ない。つまり、頭を残すには旨味が少ないのだ。『豚象』には牙があって、それはギルドに持ち込めば金になるけど、それも首が繋がっている必要はないワケで。
つまり……あぁ、もう何だ。何を言っても、全部言い訳っぽいな。
でも、コレがわたしに出来る最善だったんだ。……他には、思いつかなかった。
「恨みはない。……でも、謝れないよ」
私が殺したんだ。謝るのは、この《魔獣》に失礼だ。
……願わくば、次の生はより良いものでありますように。
そう祈ることしか、出来ない。
頭を落とす、と言えば。
その昔、見世物のように大々的に行われていたギロチン処刑は、首と頭が離れてから、約三秒間は意識があるって聞いたことがある。理由は脳に血液が残るから、だったかな?……そのことを思い出したせいかな、切り落とされた『豚象』とほんの一瞬、目が合った気がした。
動物らしい感情が分かりにくい黒目がちな双眸は、凪いでいて、そのくせ真っ直ぐにこっちを見てるように見えた。……それが少し、怖い。
悪いとは思いつつ、ふっと目を逸らして、近くの木に体をぶら下げ、血抜きをする。この時、血が落ちる場所に穴を掘ることを忘れないのが重要だ。
(決して、ムダにはしないよ……)
血が抜けるのを待つ間、辺りに飛び散った血や、戦闘跡─大抵は『豚象』が突進するときに抉れた地面─の始末を仕上げる。作業自体は、魔法を使えばすぐに終わった。……逆にキレイになりすぎて、少々怪しい気もする。が、仕方ない。
待つこと約一時間、そろそろ血が抜けたかな?確認すると、頃合いかなぁと思う。もう血が滴る様子はないから。
覚悟を決めて、木から『豚象』の体を下ろす。それから、両手を合わせて数秒、黙祷を捧げる。……個人的に、「いただきます」は大事だと思うの。
それからスキル《解体》を使って、部位を的確に仕分けては、《異空間収納》へと仕舞っていった。
正直、《異空間収納》内は時間が停止してる……と言うより、時間の概念がない。なので、一度仕舞えば永遠に同じ状態のまま保管できる。生肉は腐らないし、骨は劣化しない。ぶっちゃけ、血が抜けたらそのまま入れてしまってもいいぐらいだ。
それでも、丸ごと入れると料理には使いづらいし、ギルドで全部売ったとしても、最終的に解体手数料が取られる。だから、自前で解体した方が手間はかかるが、安上がりなのだ。
……もちろん、前世じゃ生粋の都会っ子かつ平凡なOLだった私には、解体の知識なんぞ微塵もない。
精々が、川魚を捌くか、加工済みの肉の筋きりか。それくらいだ。
このスキル《解体》は、そんな私のためにイリオスが用意してくれたものだ。だって、綺麗に解体できた方がいっぱい美味しい部位を食べられるもんね。……それに食べ物じゃなくても、綺麗な方が市場価値は高いハズ。
このスキルを使うと、触れている対象が自動的にバラけるのだ。そりゃもう、ほどけるみたいに、一瞬だ。
ただ、ストッパーとして、ヒトと、あと生きている物には使えないように設定されている。……生きてる物に使えたら、即死魔法より怖いと思うよ。
惨殺死体、待ったなしだもの。
「収納よし、後処理よし。……周囲、何もなし」
……うん。
さてさて、準備は完了だ。目的地があるワケじゃないけど、もう出発しなくちゃ、ね。いつまでもグズグズしてらんないもの。
……でも、今日のことは一生忘れないつもりだ。
初めて、自分の意思で生き物の命を刈り取ったのだから。
「さぁ───進もう、か」
この世界の空は、今日もひどく青い。
0
あなたにおすすめの小説
アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身
にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。
姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。
【完結】異世界で神の元カノのゴミ屋敷を片付けたら世界の秘密が出てきました
小豆缶
ファンタジー
父の遺したゴミ屋敷を片付けていたはずが、気づけば異世界に転移していた私・飛鳥。
しかも、神の元カノと顔がそっくりという理由で、いきなり死刑寸前!?
助けてくれた太陽神ソラリクスから頼まれた仕事は、
「500年前に別れた元恋人のゴミ屋敷を片付けてほしい」というとんでもない依頼だった。
幽霊になった元神、罠だらけの屋敷、歪んだ世界のシステム。
ポンコツだけど諦めの悪い主人公が、ゴミ屋敷を片付けながら異世界の謎を暴いていく!
ほのぼのお仕事×異世界コメディ×世界の秘密解明ファンタジー
世界一簡単にレベルアップ ~魔物を倒すだけでレベルが上がる能力を得た俺は、弱小の魔物を倒しまくって異世界でハーレム作る事にしました~
きよらかなこころ
ファンタジー
シンゴはある日、事故で死んだ。
どうやら、神の手違いで間違って死んでしまったシンゴは異世界に転生することになる。
転生する際にオマケに『魔物を倒すだけでレベルが上がる』能力を貰ったシンゴ。
弱小の魔物を倒してレベルを上げ、異世界でハーレムを作る事を企むのだった。
バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します
namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。
マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。
その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。
「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。
しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。
「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」
公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。
前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。
これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。
神による異世界転生〜転生した私の異世界ライフ〜
シュガーコクーン
ファンタジー
女神のうっかりで死んでしまったOLが一人。そのOLは、女神によって幼女に戻って異世界転生させてもらうことに。
その幼女の新たな名前はリティア。リティアの繰り広げる異世界ファンタジーが今始まる!
「こんな話をいれて欲しい!」そんな要望も是非下さい!出来る限り書きたいと思います。
素人のつたない作品ですが、よければリティアの異世界ライフをお楽しみ下さい╰(*´︶`*)╯
旧題「神による異世界転生〜転生幼女の異世界ライフ〜」
現在、小説家になろうでこの作品のリメイクを連載しています!そちらも是非覗いてみてください。
追放された聖女は旅をする
織人文
ファンタジー
聖女によって国の豊かさが守られる西方世界。
その中の一国、エーリカの聖女が「役立たず」として追放された。
国を出た聖女は、出身地である東方世界の国イーリスに向けて旅を始める――。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる