異世界で勇者兼聖女なりました!……が、現在ドラゴンにストーカーされてます!?

嘉藤 静狗

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番外編

恐ろしき厄日の話 ※前書き

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 ===*前書き*===*===*===
 アイディアを探していた時、たまたま目の前に緑のスプレー缶(=殺虫剤)があったので、思いついた話。……なお、本来の用途とは、異なる目的で使われていた模様。
 別名・黒き凶星頭文字Gのアレと遭遇した日
 ……ヤツが苦手な方、あるいは虫NGな人はこの話を避けてください。読まなくても、今後の展開に特に問題はありません。
 ===*===*===*===*===


(注・第2章読了後推奨。時系列的には、第1章の後)



 ……決して、油断しているつもりはなかった。

 ここは、ヴァストークの森。
 駆け出し冒険者が基礎を磨くレベルの──いわゆるRPGで言う、初期ダンジョン的ポジションにある場所だ。
 ゆえに、チートスペック所有者たる私にとっては、簡単でよゆー過ぎる界隈。正直、《魔王》だか《四天王》だかの気配を感じなければ、立ち寄ることすらなかったと思う。

 だが、そんな私の慢心を悟ってか。はたまた、イリオスのおちゃめな采配か。

 ──突如として、は現れたのだ。
 私の目の前に、この上なく分かりやすい絶望の形をとって。

 ……前者は私の自業自得だが、後者ならイリオスは有罪ギルティ確定だ。マジ許さん。


 それは、その時受けていた依頼を終え、そろそろ帰ろうか……としていた時のコト。
 ふいに背筋に、ぞわっと悪寒が走ったのだ。

 元々、危険察知のためにスキル《探索》(←第0章ー3参照)を常時展開してる。……けど、私の《探索》で分かるのは、あくまで。ヒト・《魔獣》・《魔物》の区別はついても、結局それが何であるかまでは分からんのだ!
 例に挙げると、《探索》の及ぶ範囲にヒトがいたとして、ヒトがいるのは分かっても、その種族が何なのかは分からない、とか。

 そんなこんなで、近づいてきているのが《魔獣》─それも、私に近づいてくるから虫型か、《魔力狂化》してるか─なのは分かっていたのだ。
 そして、愚かにも私は、「ま、よゆーでしょ!」などと思い、あろうことか接近してくるヤツをそのままにしてしまった。

 敢えて、もう一度言おう。
 ……決して、油断しているつもりはなかったのだ。
 なぜなら、理論上は私のチートスペックで、問題なく対処できるレベルの相手だったのだから。
 しかし、ジャンケンでグー・チョキ・パーに優劣があるように、物事には相性があるのだ。


 その時、私は思い出した。

 ヤツらに(家の中を)支配されていた恐怖を……
 鳥籠トイレの中(=逃げ場)に囚われていた屈辱を…………

(巨大な人型の怪物と、カッターみたいな双剣で戦う漫画さん。台詞をお借りしました!すみません!!)


「ぴ、ぴぃやあああぁぁぁぁぁっっ!!」

 だからこそ、ただ、絶叫することしか出来なかった。



 私は知っている。

 ヤツは──一匹見かけたら、その家には百匹いるコトを。

 ヤツは──切断されても頭部だけで二週間は、生き延びるコトを。

 ヤツは──髪の毛一本で、一ヶ月は生きられるコトを。

 ヤツは──コンクリートさえ、餌に出来てしまうコトを。

 そして、ヤツは──もしメスが絶滅しても、残ったオスの半数がメスになれるコトを。


 黒い悪魔、G、次郎さん……その他様々な呼び名を持つ、ヤツの正体。それは──

「ご、ゴキッ……Т"Пзшーーー!」

(注・作者には、正式名称を出す勇気がありませんでした。……なぜなら、呼んだら出てきそうな気がしたのでorz)

 せめてもの救いは、前世日本でよく見ていたとほぼ同じサイズであるコト。……もっとも、ファンタジーでありがちな、超☆巨大昆虫じゃないだけマシってだけである。私はヤツが、フツーに嫌いだ。
 ……ヤツを見るとなんで、こんなにも生理的嫌悪感が沸くんだろう?


「って!ね、ちょ待て?
 ……こっち、来んなあああっ」

 ブブブブブ……と、全身が粟立つような気味の悪い羽音を立てて、真っ直ぐこちらに飛んでくる。
 どうやら《魔力狂化》を起こしているらしい。私の魔圧も何のその、まったく気にも留めてない。

 かつては、私でもゴキジ○ットなどの殺虫剤さえあれば、ヤツと戦うことが出来ていた。……しかし、それはこの世界には存在しない。
 いや、殺虫剤そのものは存在するだろう。だが、あそこまで強力なものはない。たぶん。

(どーするどーするどーする!?)

 双剣で斬り殺す──のは、ダメだ。ヤツは切っても死なない可能性がある。第一、ヤツで武器が汚れるのはイヤだ!
 じゃあ、魔法で燃やす?──それは、周囲が木で囲まれてるこのフィールドじゃ悪手か。引火するかも。
 えぇとなら……なら?あ、そうだ!

 ……この時もっと冷静なら、他にも適切な処理方法を思いついたかもしれない。が、ヤツとエンカウントしたことで、頭の中がアッパラパーになっていた私にはそんな余裕はなかった。

そして、思いついたのは──

「凍らせてしまえばいいんだ(←混乱中)」

 ──と言う、微妙なものだった。

 ……きっと一瞬、「ヤツは寒さに弱いハズだあはははは」とかよぎったせいだと思う。


 対象は私の拳サイズ。機動力は抜群なので、広範囲に拡散するために【風】属性を。そして、凍らせるのは【氷】属性で。
 そうして生まれたのが、

[顕現、《雪華嵐セッカラン》───!]

 桜の花弁の如く舞い踊る、氷雪の華の魔法だった。



 その後、ヤツを凍らせた私は、そこでようやく「水没させてから土に埋めればよかったんじゃん!」(←残酷と言うなかれ、前世日本ではトイレに流していたのだ)と思い至った。
 一応!素材アイテムにはなるので、持ち帰ることも考えなかったワケじゃないが……やはり気持ち悪いので、却下した。てか、二度と会いたくねぇ。


 結局、私は凍ったヤツをその場でぱぱっと埋めると、本来の依頼を完遂し、さっさとギルドへと戻ったのだった。
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