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第3章 領改善編
第44話 償いの一つ
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「嫌ぁああああっ!!!!!」
目の前には数多もの魔人がこのレンメル領内に入り込んでいた。私達みたいな貧弱な市民では戦えるはずもない強大な相手がそれは沢山。もう、自分は死ぬのだと思った。自分以外の人もきっと死ぬ。
でも、これで良かったのかもしれない。レンメル領での生活は本当に辛くて、上がり続ける税のせいで食料もまともに買えない。商売だって上がったりだからお金のある人達はどんどん別の領に行くし、自分だって働くところが店じまいするしかなかった。
旦那は今は病気で寝込んでる、娘も成長期だろうに身長も体重も伸びていかない。私だって、それを養うために働くところを転々としながらなんとか食いつないできた。そんな苦しい生活をきっと魔人達は救い出してくれるんだ。
「乗り込め!!!!!」
「あぁ、神よ………」
結局、神なんていなかったな………
「領民共は抵抗しない限り生かしておけ!!!奴隷として今後役に立つはずだ!!!だが、疾患持っている奴と子供は殺せ!!!奴隷にすらならん!!!」
「………っ!!!」
魔人の言葉を聞いた瞬間に深い絶望に陥る。私の旦那と娘………絶対に殺される。それなのに、私だけ生かされるの?………そんなの、もっと救いが無いじゃない。だったら………
「う、うわぁぁぁあああああああ!!!!!」
「あ?なんだ?」
半狂乱になりながら、魔人に突撃する。武器は何もない。魔法も打てない。鍛えてすらいない。
「おい!歯向かってきた奴は殺していいんだな!?」
「あぁ、いいぞ!そう言う奴は奴隷にしたところで面倒事を起こすだけだ!!!」
「分かった、馬鹿な奴だなぁ!!!」
これで、良かったんだ。良かったんだよ………
カキィン
「………え?」
「良かった、間に合いました」
「は?坊主、死にたいようだなぁ!!!」
誰?誰なの………?
ねぇ、何で私が生きたい時は生かしてくれないのに、死にたいときは死なせてくれないの?ねぇ、なんでなのよ………
☆★☆★☆
「だ、れ?」
目の前に居る瘦せこけた女性と魔人の間に入って、魔人に剣を向ける。助けた女性を見ると、その目には光が無かった。いや、憎しみの黒い視線が僕の姿を突き刺していた。
「………」
下手に答えることはしない。せめて、そうだな。
「僕はただ、魔人を討伐するだけです」
なんていう、的外れな回答でもしておこうか。
「おいおい、ガキがあんま調子乗ってんじゃねぇぞ!!!」
「黙れ」
魔人の方へ向き直ると同時に、剣を薙いで首の中心くらいで剣が止まる。筋肉が人間よりも固くて飛ばしきれない。幸い、魔人は息絶えていたけれど。
倒れた魔人の首から剣を抜くと他の魔人が僕を敵と認識したようだ。
後ろに居る女性に声をかける。
「逃げてください」
「なんっ、なんで私を助けるのっ!?私は、わたしはぁあっ!!!」
「………なんでって、夢見が悪いじゃないですか」
別に明確な理由なんてない。レンメル領に住む人たちへの、僕からのせめてもの償いをここでもさせてもらうだけ。
「おいおい、このガキがロットを倒したのか!?」
「マジかよ!おい、かかれ!!!」
魔人達がブワっと僕の方へ押し寄せて来る。いや、後ろの方では5人がかりで魔法の詠唱をしている様だ。さっさと倒さないといけないね。
「死ねぇぇええい!!!」
「………土葬」
「っがああぁあああ!!!!!」
「ぐぁあああああああ!!!!!」
「ふぐがっぁああ!?」
前方の約1000平方メートルの中に居る魔人達が次々に土に心臓や脳天を貫かれていく。
土葬。土魔法の最上位魔法。地面から、数多もの10メートルもあろうかという土の突起物が敵をランダムに貫く。ただ、ランダムと言っても下にある土がびっしりと空間を貫く故に逃げ場はない。あるといえば上空くらいか。
「はっ?」
「………お体をお大事に。明日からレンメル領別邸で昼食を配布しますので。では」
「えっ?ちょ、ちょっと!」
言いたいことを言った後は、座り込んだままの女性を無視して魔人達を残らず討伐する為に走り出す。死臭をなるべく減らすために魔人達の屍を火炎で焼きながら。出会う魔人達を剣で薙ぎ払い、魔法で処理していると、クレジアントも合流してきた。僕がクレジアントの方向を向くと、クレジアントはそっぽを向く。耳が赤かった。
「ありがとうクレジアント」
「………べ、別に。クライトの為じゃなくて、魔人を討伐する為だから!」
「それ、僕の為になってるよ。ありがとう」
「ち、違うから!!!とにかく行くよクライト!!!」
顔は見せてくれないけれど、きっと怒っては無いだろう。それだけで、今の僕にとってどれだけ救いになるか。しかも、それが本来僕を死に追いやるクレジアントという事が今はとても安心できる要素として確かにあった。
「クソがァアアアアアアアアア!!!!!」
「煩い」
「ガァァアアアァアアア!!!!!」
自分の領内くらいは、自分で守ってみせる。
敵が魔人であっても、父であっても。
☆★☆★☆
「どうだ?順調そうか?」
「まぁ負けるわけがないでしょう。こんな辺境地なんて、どうせ男爵とか子爵とか、その中でも更にクソみたいな人間が支配してるんでしょうから。領民は非力、領主も非力。それに加えて王国の主力である化け物騎士団の人間も、化け物学園教師の人間も居ませんからね。現に隣にあるマロ領は征服できたみたいですよ?」
「まぁそうか。流石にこんな雑魚領地の弱小種族共に我ら魔人が負ける訳がないな」
今回の作戦は失敗することが許されない。でも、彼の心には余裕があった。理由は単純明白。相手が、弱すぎる。弱小領なんて百回戦って百回勝てる。そのくらいの訓練はしているし、自身の強さがそう言っていた。
だが、幾ら経っても前線からの報告が来ない。どうしたものか。
「おい、何しているんだ?この領は大分広いか?」
「いや、別にそんなに広いかと言われれば………」
「じゃあなんなんだ?まるで全員死んでいるようじゃないか!」
「そうですね………自分、少し外を確認してきます」
そう言って、付きの奴が簡易テントの外へ行く。全く、こっちは時間が無いっていうのに………
なんだか、少し寒いな。
目の前には数多もの魔人がこのレンメル領内に入り込んでいた。私達みたいな貧弱な市民では戦えるはずもない強大な相手がそれは沢山。もう、自分は死ぬのだと思った。自分以外の人もきっと死ぬ。
でも、これで良かったのかもしれない。レンメル領での生活は本当に辛くて、上がり続ける税のせいで食料もまともに買えない。商売だって上がったりだからお金のある人達はどんどん別の領に行くし、自分だって働くところが店じまいするしかなかった。
旦那は今は病気で寝込んでる、娘も成長期だろうに身長も体重も伸びていかない。私だって、それを養うために働くところを転々としながらなんとか食いつないできた。そんな苦しい生活をきっと魔人達は救い出してくれるんだ。
「乗り込め!!!!!」
「あぁ、神よ………」
結局、神なんていなかったな………
「領民共は抵抗しない限り生かしておけ!!!奴隷として今後役に立つはずだ!!!だが、疾患持っている奴と子供は殺せ!!!奴隷にすらならん!!!」
「………っ!!!」
魔人の言葉を聞いた瞬間に深い絶望に陥る。私の旦那と娘………絶対に殺される。それなのに、私だけ生かされるの?………そんなの、もっと救いが無いじゃない。だったら………
「う、うわぁぁぁあああああああ!!!!!」
「あ?なんだ?」
半狂乱になりながら、魔人に突撃する。武器は何もない。魔法も打てない。鍛えてすらいない。
「おい!歯向かってきた奴は殺していいんだな!?」
「あぁ、いいぞ!そう言う奴は奴隷にしたところで面倒事を起こすだけだ!!!」
「分かった、馬鹿な奴だなぁ!!!」
これで、良かったんだ。良かったんだよ………
カキィン
「………え?」
「良かった、間に合いました」
「は?坊主、死にたいようだなぁ!!!」
誰?誰なの………?
ねぇ、何で私が生きたい時は生かしてくれないのに、死にたいときは死なせてくれないの?ねぇ、なんでなのよ………
☆★☆★☆
「だ、れ?」
目の前に居る瘦せこけた女性と魔人の間に入って、魔人に剣を向ける。助けた女性を見ると、その目には光が無かった。いや、憎しみの黒い視線が僕の姿を突き刺していた。
「………」
下手に答えることはしない。せめて、そうだな。
「僕はただ、魔人を討伐するだけです」
なんていう、的外れな回答でもしておこうか。
「おいおい、ガキがあんま調子乗ってんじゃねぇぞ!!!」
「黙れ」
魔人の方へ向き直ると同時に、剣を薙いで首の中心くらいで剣が止まる。筋肉が人間よりも固くて飛ばしきれない。幸い、魔人は息絶えていたけれど。
倒れた魔人の首から剣を抜くと他の魔人が僕を敵と認識したようだ。
後ろに居る女性に声をかける。
「逃げてください」
「なんっ、なんで私を助けるのっ!?私は、わたしはぁあっ!!!」
「………なんでって、夢見が悪いじゃないですか」
別に明確な理由なんてない。レンメル領に住む人たちへの、僕からのせめてもの償いをここでもさせてもらうだけ。
「おいおい、このガキがロットを倒したのか!?」
「マジかよ!おい、かかれ!!!」
魔人達がブワっと僕の方へ押し寄せて来る。いや、後ろの方では5人がかりで魔法の詠唱をしている様だ。さっさと倒さないといけないね。
「死ねぇぇええい!!!」
「………土葬」
「っがああぁあああ!!!!!」
「ぐぁあああああああ!!!!!」
「ふぐがっぁああ!?」
前方の約1000平方メートルの中に居る魔人達が次々に土に心臓や脳天を貫かれていく。
土葬。土魔法の最上位魔法。地面から、数多もの10メートルもあろうかという土の突起物が敵をランダムに貫く。ただ、ランダムと言っても下にある土がびっしりと空間を貫く故に逃げ場はない。あるといえば上空くらいか。
「はっ?」
「………お体をお大事に。明日からレンメル領別邸で昼食を配布しますので。では」
「えっ?ちょ、ちょっと!」
言いたいことを言った後は、座り込んだままの女性を無視して魔人達を残らず討伐する為に走り出す。死臭をなるべく減らすために魔人達の屍を火炎で焼きながら。出会う魔人達を剣で薙ぎ払い、魔法で処理していると、クレジアントも合流してきた。僕がクレジアントの方向を向くと、クレジアントはそっぽを向く。耳が赤かった。
「ありがとうクレジアント」
「………べ、別に。クライトの為じゃなくて、魔人を討伐する為だから!」
「それ、僕の為になってるよ。ありがとう」
「ち、違うから!!!とにかく行くよクライト!!!」
顔は見せてくれないけれど、きっと怒っては無いだろう。それだけで、今の僕にとってどれだけ救いになるか。しかも、それが本来僕を死に追いやるクレジアントという事が今はとても安心できる要素として確かにあった。
「クソがァアアアアアアアアア!!!!!」
「煩い」
「ガァァアアアァアアア!!!!!」
自分の領内くらいは、自分で守ってみせる。
敵が魔人であっても、父であっても。
☆★☆★☆
「どうだ?順調そうか?」
「まぁ負けるわけがないでしょう。こんな辺境地なんて、どうせ男爵とか子爵とか、その中でも更にクソみたいな人間が支配してるんでしょうから。領民は非力、領主も非力。それに加えて王国の主力である化け物騎士団の人間も、化け物学園教師の人間も居ませんからね。現に隣にあるマロ領は征服できたみたいですよ?」
「まぁそうか。流石にこんな雑魚領地の弱小種族共に我ら魔人が負ける訳がないな」
今回の作戦は失敗することが許されない。でも、彼の心には余裕があった。理由は単純明白。相手が、弱すぎる。弱小領なんて百回戦って百回勝てる。そのくらいの訓練はしているし、自身の強さがそう言っていた。
だが、幾ら経っても前線からの報告が来ない。どうしたものか。
「おい、何しているんだ?この領は大分広いか?」
「いや、別にそんなに広いかと言われれば………」
「じゃあなんなんだ?まるで全員死んでいるようじゃないか!」
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