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第4章 終幕戦編

第59話 厄災がやってきた

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 あの後、落ち着いてから昨日の僕について聞いた。どうやら、皆を空き家に案内した後の帰り道で倒れたらしい。というか、小石に躓いてこけた後にまさかの横になったその流れで眠りについてしまったらしい。自分で思うのもあれだけれど、やっぱり最近は忙しくて疲れていたみたいだ。

「いやぁ~それにしてもあの時はびっくりしたよ。ナイパーさんとかボクが『眠かったら運ぼうか?』って言っても『あぁ大丈夫………』って言ったあとそのまま倒れちゃうんだもん」
「ご、ごめんなさい………」
「しょうがないよ、クライト。突然領主様になって大変だったよね」
「本当に、まだ若い年齢でよくそこまでテキパキと仕事を進められるものですね。流石の一言に尽きます」
「よ、横になってください。ま、マッサージしますから」

 言われた通りにまたベッドにうつ伏せで横になる。少ししてから、キュールの手が僕の腰当たりに添えられる。ギュッギュッと腰から肩にかけてマッサージをしてくれる。凝り固まった背面をマッサージしてくれるのは非常にありがたい。マッサージなんてもう何年もされてなかったし。いや、前世を含めたら30年くらいかも。

「ありがとうねぇ………僕もあとで3人にやってあげるよ」
「いやいや、私は大丈夫だよ!」
「ボクも全然凝ってないから大丈夫!」
「私めも恐れ多いので止めておきます」
「もう、皆!遠慮しないで」

 皆が大丈夫って言っても後でやってあげよう。嫌だったら勿論やらないけれど。別に嫌そうでは無いし。

「それにしても、クライトが泣いてたのは驚いたなぁ」
「なっ!ぼ、僕だって恥ずかしかったよ………」
「恥ずかしがる必要はありません。ストレスを解消するのに泣くという行為は効果的ですから。お坊ちゃまは過労によるストレスが溜まっていたのでしょう。まだ領主様になって間もないですし、最近はどう考えても異常業務が多いですからね」
「わ、私達出来ることはいつでも言ってください!」
「皆………ありがとう。それじゃあ僕、お風呂に行ってくるね!お風呂から上がったら仕事に戻ろうと思う!」

 よく見たら昨日来ていた洋服のままだ。あぁ、布団が少し土で汚れている。

「というか。二人ともゴメン、僕昨日倒れたまま布団に入れて貰ったみたいであんまり綺麗な状態じゃないのに抱きしめて貰っちゃったから………その、二人ともお風呂入った方が良いと思う。僕のせいでごめんね」
「大丈夫!ボクはそれ分かってたし!だって布団に寝かせたのボクとナイパーさんだし!それにキュールもボク達が運んできたの見てるからね!」
「はい、なので分かっててその………ギュってしました。だからクライトは気にしなくて大丈夫です………!!!」
「ささ、お坊ちゃまはどうぞお風呂にお入りになられてください。布団とシーツの方は私めが洗っておきます。お二人も、入浴しないまでもお洋服に土埃が付いておりますのでお着替え下さい。幸い、洋服はありますので」
「「はい!」」

 なんか、僕のせいで申し訳ないな。

 三人に謝ってお風呂に直行する。

 立ち止まっていても何も始まらない。課題は、解決したところでまたやって来るのだから。なんなら、前回よりも増えている。

☆★☆★☆

【メアside】

「父上っ!」
「分かっておる!!!」

 お父様が危険視されていた魔人による侵攻が遂に現実となってしまいました。敵の数およそ10万人。そして個人差あれど王国内の直ぐに戦うことのできる戦力が3万人弱。とても………とても危険な状況です。

「既に騎士団には連絡を入れてある!!!!!連絡が届き次第出陣するだろう、そしてヨーダン王国立能養成学園に所属及び在籍している者に対しても教師は全員出撃、そして生徒でも戦闘可能な者は全員出撃せよという旨の連絡をしてある!!!!!」
「それならっ!私も出撃します!」
「何を言っておるか!!!駄目に決まっておろうが!!!」
「でも!私は学園戦技祭で3位も取っていますし………」
「その様な問題ではない!!! 最悪、我が死ぬ分には良いんだ!!! だがな、お前やキラナが死ぬとなったらこの王国は滅びるのだぞ!!! それを分かって言っているのか!!!???」
「で、でも………!!!」
「でも………ではない!!! 良いか、国というのは感情で成り立っているのではない。秩序と全てのルートに置いての安牌を取る事で成り立っているのだ!!!!! お前は世間的にはまだ幼いかもしれないが、我もキラナも死んだ場合!!! 我の子供の中で2番目に優秀であるお前が王座を継ぐ事になるのだぞ!!! そんな調子でどうするのだ!!!!!」

 ………お父様の言う事はその通りです。お父様やお兄様が戦線に出る中で、まだ幼い弟のグリスと妹のモーガンが今の王国を統制できるかというと、恐らくできません。私はお父様みたいに、臨機応変な対応は取れませんが学園では勉学においても戦闘においても成績トップに位置しています。

 お兄様は私よりも優秀ですが、このような臨時に出撃しないとなると国民からの不満を買うに決まっているという事で出撃されます。きっと亡くなるようなことはないと思いますが………もし、万が一の事があった場合。その時に私まで前線に出て戦った末に死んでしまったら、王国は破綻してしまいます。

 ここは、何もお役にたてないことが悔しいですけれど………お父様の言うとおりにするしかありません。

「………分かりました。出撃はしません」
「それで良い。お前が出撃しても良い方向には繋がらないからな。王立騎士団や学園の教師陣。それから、勅令依頼を出しておいたSランク冒険者の方がお前よりも遥かに強いのだからな。もし、それでも歯が立たなかったら………その時は仕方が無いが。兎にも角にも、お前が一人出撃して何か戦況が変わることはない。むしろ王国の状況が悪化するだけだ」

 思わず下唇を噛みます。私にもっと力があれば………学園で最も強かったなら………国民の皆を救う力になれるのに………!!!

 そう思っていると、勢いよくこの部屋の扉が開け放たれました。許諾も無しに、こんなことが出来るのは私を除いて一人しかいません。

「父上!!!そろそろ出陣しますよ!!!」
「そうだな。それではメア、行ってくる」
「あぁ、メア。久しぶり。絶対に勝ってくるからな!安心していてくれ」
「父上………兄上………」

 私は、何が出来るんでしょうか………

 必死に考えて、ある一つの事が思い浮かびました。
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