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パーティーに行くまでに?

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 考えても王家の考えが分かる訳も無く、私はなんとも言えない心境でパーティー当日を迎える事になった。
 王都に存在しているラーズシュタイン家は喧騒の中にあった。
 王家主催のパーティーなのだから仕方ないけど。
 公爵家としてそれなりにしなければいけないって事だったりする。
 よくよく見るとドレスも見た事の無いモノで、今日のために設えられた物だと思う。
 青味の強い銀色のドレスは多分キースダーリエの外見にはマッチしているはずだ。
 自画自賛になるからかなり虚しいけど、キースダーリエは見目麗しい少女なんだからドレスに負ける事はないはずである。

「(あー此処で真っ赤なドレスとかじゃなくて良かった)」

 何となく真っ赤なドレスって嫌い……と言うか私-キースダーリエ-が真っ赤なドレスを着る事に拒否感を感じると言うか。
 微妙な所なんだけど、感覚な事だから何とも言い表しずらい気分に陥るから赤いドレスはあまり好ましくない。
 そも私の銀色の髪に真っ赤なドレスは似合わない気がするし、着る事はないと思うけど。
 曖昧な感覚を理由に断らなくても良いのは単純に良かったなぁと思ってる。
 
 それにしても微妙に憂鬱だ。
 私は目の前の銀色達を見ながらため息をつく。
 けどそんな憂鬱な私を見て何故か黒いのがため息をついたのが聞こえた。

「お前な。ナイフ並べてため息つくなよ。こえぇよ」
「五月蠅いよ、黒いの」

 一番右にあるナイフを手に取りつつ私は黒いの言葉を一蹴する。
 いやまぁ言いたくなる気持ちは分かるんだけどね?
 ナイフ見ている事とため息の原因は別だから、そこを同一に見られて突っ込まれて意味が無いし。
 ナイフから視線を外す事無く会話を続ける私に黒いのがついたため息の音が聞こえてくるのだった。

「確かこれから行くのはパーティーだよな?」
「ええ。第二王子サマ主催のね」
「御貴族サマ特有のお遊びの狩りとかじゃねぇよな?」
「貴族女性は基本的に狩りに参加しないね。ってかドレスでお遊びの狩りとか出来ないし」
「……じゃあ何でテメェはナイフを検分してんだよ!」

 黒いのの心からの叫びに私は検分していたナイフから視線を黒いのへ移す。
 黒いのは思い切り顔を顰めて全身で「意味が分からん」と表していた。
 
「何でって……パーティーに持っていくため?」
「物騒だな、おい」
「まぁ否定は出来ないけど、仕方ないかなぁと思ってる」
「お前、どんだけの修羅場想定してんだよ。たかがパーティーに」
「修羅場って……いや、基本的には貴族の公パーティーなんて二面性のオンパレードだと思ってるんだけどさ」

 確かに表面上微笑みながら、内心は政敵の蹴落とし方を百は考えているのが貴族だと思ってますよ。
 幾ら社交界に出ていない子供だとしても、嫌いな相手を蹴落とす事ぐらいは考えてながらニッコリ笑えると思うよ?
 けどそれが貴族に産まれた子供って奴でしょ?

「其処まで殺伐としてんのかよ!」
「フェルシュルグだってパーティーに参加した事ぐらいあんでしょ? あの時だって水面下でどんだけ殺伐としてたと思ってんのさ」

 私達はフェルシュルグを捕獲する罠を張り巡らし、相手側は少しでもラーズシュタイン家の弱みを握るため粗探しをしていた。
 あれを友好的なパーティーだったとは口が裂けても言えないって。
 
 私の言葉に思う所があったのか、黒いのが神妙な顔になる。
 フェルシュルグは平民だった訳だし私とは別の意味で殺伐とした空気にさらされていただろうしね。
 思う所がない訳が無い。

「……確かにな。あのゴシソクサマの自称取り巻きであるウゼェ奴等も散々テメェの事を馬鹿にしていたしな」
「そんな事だろうと思ってたよ。一応家格はウチが上なんだけどねぇ。主催したのもウチだし、場所だってウチが提供していた訳だし」
「基本的に敵しかしないであろう場所であれは愚かだと思ったな。まぁコイツ等長生きできねぇだろうなぁとは思ってた、バカ過ぎて」
「私もその場にいたら同じような事考えそうだわ」

 ってか家共々自滅コースだと思う、そこまで馬鹿だと。
 優秀な弟妹にご期待?
 いや、親が同類なら無理でしょ、それ。
 つまり救いがないって事だよね。
 お父様が手を差し伸べる訳ないし、自分達が罵っていた令嬢本人に助けを求める程厚顔無恥だとしても、そんな相手に私が手を差し伸べるなんて絶対有り得ないしねぇ。
 結局没落自滅コースって訳だ。
 例えそうなったとしてもご愁傷様でしたーと笑って言う自信あるけどね、私は。

「パーティーが殺伐としてんのは分かった。けどよ、物理的な修羅場も想定しなきゃなんねぇのかよ?」

 まぁ黒いの言いたい事も分かると言えば分かるんだけどね。
 今回は主催者からも分かるように城で行われる訳だし。
 警備は厳重だからそうそう何かが起こる事は無い。
 そんな事早々にあってたまるか! って話だからねぇ。
 ただ城だからこそ、護身用にナイフの一本も仕込んでおきたいって話でもあるんだよね。

「王城はさ。簡単に空間を開く事が出来ないのよ」
「空間を開く? そりゃ瞬間移動系の魔法が使えねぇって事か?」
「勿論それもある」

 この世界には移動系の魔法が存在している。
 一度行った場所であれば魔力の許す限り何処までも移動する事が出来る。
 理論上は帝国にも行けるのである。
 まぁ帝国までの距離を自前の魔力だけで一足飛びに移動するとなれば大抵の魔術師なら魔力が枯渇するけど。
 人数が増えたり、持ち込む物の重量が重ければ重い程魔力の消費量も上がる訳で、実質的に帝国に瞬間移動するなんて一か八かの賭けでしかない。
 どっちしろ命の危険! とならない限りはやろうと思わないのが普通である。

 そんな魔力量によっては相当便利な瞬間移動だけど、結構簡単に結界や魔法で防げたりする。
 対になる魔道具を設置しておくなどの方法を除いて瞬間移動の魔法には終着点を強くイメージする必要がある。
 魔力を研鑽し場所のイメージを強く思い描く事で成功する瞬間移動魔法は繊細な部類に入る。
 少しでもイメージが崩れれば発動はしない。
 失敗しても全く見知らぬ所に移動するとかの心配もないけどね。
 イメージ先行のこの世界らしい魔法ともいえるのかもしれない。

 結界によって簡単に防ぐ事の出来る魔法の一つである事から、王城もその手の結界が張られている。
 もし、結界を無視すれば結界にぶち当たるか、そうでなくても王宮所属の魔術師は侵入者に気づく。
 いや多分魔力の流れの変化に王城に居る殆ど人が気づくと思う。
 それらを悟らせずに入り込む方法があるとすれば、もはや暗殺者になれるスキルだと思う。
 
 国一番の貴人が居る王城の警備がそんな甘い訳ないって話である。

 という感じで王城は瞬間移動が使えない。
 けど今回はそれよりも身近に問題があって、私がナイフを検分しているのもそれのせいと言えなくもないのだ。

「瞬間移動云々に関しては、別に正規の招待客である私には関係の話だから。問題は別……王城では空間を開いて何かを取りだす事が出来ないのよ」
「移動じゃない空間を開く必要性? ああ。『アイテムボックス』みたいな感じ奴を使う時の事か?」
「そうそう。そういったスキルも使用不可になるの」

 私や黒いのなら通じる『アイテムボックス』
 亜空間にモノをしまい込む事が可能な【スキル】である。
 シュティン先生が杖を取り出したりしていたのもこのスキルで、私が便利そうだと思っていたスキルである。
 実は魔法じゃなくてスキルだったんだけど、習得自体は結構簡単だった。
 魔力値の低い平民でも使う事が出来る汎用性の高いスキルの一つである。

 正確にスキル名を言うならば【亜空間】という色々な現象の総称みたいな名前なんだけどね。
 ただ私のステータスの欄には【アイテムボックス】って記されているけど。

 どうもステータスは個人差があるらしくて、同じスキルでも微妙に違うスキル名になったりするらしい。
 例えば『ドイツ人』とかが転生したり世界間移動したりいたらステータスは全部ドイツ語になるんじゃないかな?
 自由度が高いと言うか柔軟性があると言うか、適当というか……。
 まぁ分かりやすいからいいんだけどね。

「亜空間から何かしらの物を取り出そうとすると出来ないような現象が起こるらしいよ」
「罰ゲームかよ」
「あーそれにしては痛そうだけど」
「痛そうねぇ。何が起こるんだ?」
「体中に痛みが走るらしいよ? ただ耐えられない程度ではないらしいけどね」

 子供なら絶対に泣きわめくレベルではあるらしいけど。
 もしかしたら躾の一環にでもしているんだろうか?
 決まりを破った事による罰則として体中に痛みが走る。
 大人ならば耐える事の出来ないレベルではないけど幼い頃より痛い目を見ていれば、切羽詰まった時にか使わないと刷り込まれる。
 緊急事態以外は無理に亜空間を開こうとは思わなくなるだろう。
 ただ王城を躾の場に使うなって話にはなるけど。

「子供なら泣きわめく程度には痛いらしいけどねぇ」
「一層『罰ゲーム』くせぇな」
「『地球』なら苦情が出るレベルではあると思うけどね」

 バラエティでそこまで痛い目合わされたらクレームモンだと思う。
 お笑い芸人の人達ならおいしいと思うかもしれないけどさ……いや罰ゲームと同程度扱いはいけないよね。
 私の躾って考えも大概だけど。

「とまぁ亜空間を開く事が出来ないから護身用のナイフの一つや二つ持っていた方がいいかなぁと思ってさ」
「オメェな。その歳で何を警戒してんだよ」
「んー。いや、別にきな臭いとかはないよ? ただ丸腰でパーティーに行く気がおきないだけで」

 今回、物理的に何が起こるとは思ってない。
 けど今から習慣づけておけば、緊急事態にも対処できるかなぁと思っただけで。
 何だかんだで今後私も荒事に巻き込まれる可能性が高い気がするし。

 騒動に自らまきこまれる気は毛頭ない。
 けど騒動に巻き込まれる可能性は無くはない。
 更に言えば絶対に飛び込む可能性が無い訳でも無いのだ。
 私がお兄様に降りかかる災難を振り払うと決めた時から。
 家族に、私の大切な人達に降りかかる災厄は私が薙ぎ払って見せると決めている。
 そのためなら騒動に飛び込む事もやぶさかではない。
 
 だからこそ私はこんな所で立ち止まっている訳にはいかないのに。
 
 目の前にあるナイフは私が創った汎用性の高い物だ。
 錬金術師特権である専用性のある代物じゃない。
 ナイフはここ、王都に来てから作った物だけど、未だに私は『わたし』を乗り越えていない。
 これだって下手をすれば鍛冶師見習いよりも脆い物でしかない。
 未だにこの程度しか錬成出来ない自分に嫌気がさしそうだった。

「瑠璃の?」
「……何でもない。ただこの大きさのナイフを仕込むのなら足にベルト付けるしかないよなぁとか考えてただけ」
「……テメェはどこのお色気女盗賊だよ」
「黒いの古くない? いや、確かに彼女なら平気で仕込んでそうだけどさ。胸元に『スタンガン』の一つくらいは嗜みとか言いそうだけどね?」
「通じるテメェも大概だっての」
 
 結局私はくだらない会話で流したけど、もしかしたら黒いのは私の心境に気づいているのかもしれない。
 それでもあえて突っ込まなかったのはそこまでの興味が私に無いのか、それとも別の理由か。
 まぁ私が黒いの絆されているように黒いのも私達に絆されているのかもしれない。
 全く気が合わないとか決定的に思考が乖離しているとか。
 そういった事が無い相手を嫌い続けるのには労力が居る。
 付き合いが長くなれば嫌な面も出てくるけど妥協できる点だって増えていく。
 そうして何だかんだで一緒にいる事が普通になっちゃえば絆されたみたいモンだから。
 お人よしの気がある黒いのならそうなる可能性も低くなかったって事なのかもね。

 それでも【契約】を交わすまで行くかどうかは別の話だけど、ね。

 今は黒いの気づかいに感謝して話をずらさせてもらう。
 この問題に関しては私自身がどうにかするしかないのだから。
 
「同世代では無かったと思うんだけどねぇ。……そう言えばアンタもパーティー一緒に行くんでしょ?」
「お前、今空間を開けないって言わなかったか?」

 影に潜んでる俺がどうやってついてくんだよ? と文句を言う黒いの。
 確かに空間を開く事は出来ないんだけどさ、面白い事にどうにか出来るんだよねぇ、今回の場合。

「使い魔はその限りじゃないのよ」
「……そりゃ面倒なこった」
「勿論、私達の現状みたいに本格的な【契約】を結んでなくても大まかな括りで【契約】って事になるから黒いのは問題無く入れるのよ」

 私も結構適当だよね? とか思うんだけどさ。

 使い魔との契約はお互いの意志により見えないラインを繋ぐようなモノである。
 【本契約】を交わした使い魔はそのラインを使って魔力を供給し、時には意識を共有する事さえ可能とする。
 他にも色々出来るらしいけど、そこらへんは使い魔と主との間の約束事みたいなモノだから人それぞれらしい。
 何処かには圧倒的な力量差で主従が逆転している関係も存在しているかもしれない。
 まぁ大抵は召喚によって現れた場合だから、召喚の結界陣にそういった事が出来ないように構築されているだろうし有り得ないけどね。
 私達のような出逢いの場合なら有りうるかもしれないけど、魔獣側に人と同類か、それ以上の知性が必須となるから可能性は更に下がる、はず。
 実例を知らないから曖昧な事しか分からないけど。

 使い魔との本契約やそれに付随するあれこれはともかくとして、ラインを繋ぐ事は仮の契約でも可能だ。
 現に私と黒いのは魔力の受け渡しをするためにラインを繋いでいる。
 幾ら細くてもラインを繋いでいれば使い魔として認識される。
 この時点で黒いのは王城に入る事が可能なのだ。
 後、王城は魔力の色で魔獣が害獣かどうかを判別する。
 つまり元々私の魔力を材料に産まれた節のある黒いのは他の誰かと契約しない限り私の縁あるモノとして王城にも入り放題となる。
 ついでに言うと黒いのが王城で問題を起こせば責任は私に行く。
 使い魔の不始末は主が取るという事だ。
 ココまで私の魔力に染まっている黒いのと契約していないと言っても誰も信じないだろう。
 多分言い訳とも思ってくれないはずだ。
 
 そもそも黒いのが一人(一匹?)で王城に行くなんて事自体起こらないと思うけどね。

「パーティ云々はともかく王城の中庭とかは綺麗らしいし?」
「そこはせめてオージサマのツラ見るためとか言っとけよ」
「外見は相当麗しいらしいけど、私もそこは興味ないわー。黒いのもそうでしょうに」
「俺が興味津々だったら気持ちわりぃわ」
「いや『攻略キャラ』としての興味とか?」
「『ゲーム』自体やった事ねぇよ」

 そりゃそうだろうけど。
 黒いのは『乙女ゲー』とかに興味があるようには思えない。
 その割にはそういったゲームがある事は知っていたみたいだけど。
 私には一般的な男性が知っている範囲ってのがイマイチ分からない。
 私の周囲にいる悪友達は例の台詞に爆笑するアイツのせいで知識だけは豊富にあったしなぁ。
 一般基準がイマイチ……いや、別に今後必要となる基準じゃないか。

「テメェこそ『攻略キャラ』とか言いつつ、その手の興味はねぇんだろ、どーせ」
「確かにないけどね」

 今の時がゲームよりも大分前であるせいか、私が横道に逸れてばかりいた邪道プレイヤーだったせいか。
 私は『攻略キャラ』という先入観を抱きにくい。
 相手に対しても失礼じゃないからいいっちゃいいんだけどね。
 よく知る漫画とか小説とか、ココがそういった世界だったら私でも多少の先入観を抱いたかもしれない。
 そういう意味ではそうじゃない事に感謝するべきかも。
 
「大方俺を暇つぶしに使いてーんだろ?」
「あーまぁそれもある」

 ラインを繋いであるという事は頭の中での会話も可能だ。
 本契約じゃないから範囲は制限されるけど。
 だから乗り気じゃないパーティーに参加中、素で会話できる存在は欲しいと思う。
 それだけが理由じゃないけど。

「突っ込みを心行くまでしたい。その上で共感が欲しい」
「いやまぁ俺は最適だけどな、その場合」

 同じ『前』を知っている、比較的思考が似ている黒いのは私の突っ込みに共感してくれそうだし。
 後、黒いのもメリットはあると思うよ?

「アンタはさ「貴族」ってモノの認識が偏っていると思うんだよね」

 私は勿論の事、フェルシュルグが契約していた貴族だって大概普通じゃない。
 そんな両極端というか振り切れている貴族しか知らないのも今後の契約に差しさわりがあると思う。
 このまま私と契約するならともかく、他に行く事も考慮するなら様々な貴族は見ておくべきだろう。
 それで何を思うかは黒いの次第だけどね。

「使い魔契約は基本的にそれなりの魔力を持つ者とするしかない。……貴族になる可能性は高いわよ?」
「成程ね。その……――」
「黒いの?」

 黒いのが小さく何か言った。
 けど流石に聞こえない大きさで何を言ったかは分からない。
 表情も読めないから推測する事も不可能だ。
 この話の前後で黒いのが何を考えるかを辿れば推測できるかもしれないけど、難しいかな?
 敵対している状況でもなく、思考をトレースする必要も無かったから、相当厳しいし、そこまでして知りたいとも思わない。
 そんな感じで不思議そうに黒いのを見ていた私だけど、黒いのは特にそれについては言わなかった。
 黒いの中では私に言うべき事でもないと判断したらしい。
 それならそれでいいんだけどね。

「いや、確かにココを基準に考えたらとんでもねぇ事になるな。テメェ筆頭に変だしな」
「言うに事を欠いて変とは何よ変とは」

 確かに貴族としては変わり者の一族ではあるけどさ。
 お父様筆頭に変わっている自覚はありますよ?
 けどそんなお父様とお母様だからこそ家族としての愛情を知り、私でいる事が出来るのだから、私はラーズシュタイン家が変わり者であった事を喜ぶ事こそあれど疎んではいないけどね。

「(家族の情が縁が此処まで胸を温めてくれると、私はココの御蔭で知る事ができたのだから)貴族として変わり者だからこそ私は皆を愛しているんだからね」
「はいはい分かった分かった。……俺も行くさ。せーぜーテメェの脳内を賑やかにしてやっからな、覚悟しておけよ?」
「望むところよ」

 静かで面白味の無いパーティーなんて私だって御免だからね。
 まだまだ子供である私が参加する事が出来るパーティーなんだし、精々経験値を溜めるために利用させて頂きます。
 ……私も貴族らしい貴族ってのは会った事がないし、ね。

 私はそんな暢気な事を考えながらパーティーまでの時間を潰すのだった。


 まぁ全く問題無しに終わる訳がないって話だったんだけどね。
 どうやら私、騒動に巻き込まれやすい星の下に産まれているらしいです。
 ……すでに平穏な日常が恋しいです。


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