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あの子達の親として胸を張るためにも【オーヴェシュタイン=ディック=ラーズシュタイン】
しおりを挟む「――……という事で、クロイツが人になったのが彼ですわ」
娘の言葉に中々不遜な態度のようだが、それでも表情だけは神妙に頭を軽く下げる青年。
「どうやらクロイツ自身は人の姿でいる気はないようです。ですけれど、一応屋敷の人達にはクロイツの事を周知したいのですが、良いですか、お父様?」
「そうだね。明日の朝にでも周知しておこうか」
僕の言葉にダーリエは安堵し笑顔になった。
その後、使い魔君の方を見上げる娘に使い魔君は猫の時によく見た笑みを浮かべて娘を見ていた。
「クロイツ、本当に良いのですか?」
「問題ねーよ。ってかこの姿でいる方が違和感があんだよ」
「そうなんですの?」
「ああ」
「猫の方に固定されているのかしら?」
「猫じゃねーよ」
じゃれあう主従を僕は微笑ましく見ていられるのだけれど、どうやらそうじゃない者もいるみたいだね。
従者君達が中々恐ろしい形相をしているよ?
「主。この猫野郎を潰して良ぃカ?」
「何で良いと言うとおもいましたの!?」
「おう、犬っコロ共。やんのか? 相手になるぞ?」
「クロイツ!? 貴方もどうしてそう好戦的なんですの?!」
娘を間に挟んでいがみ合う従者君と使い魔君僕は苦笑しかない。
常時このような状態なのだろう。
娘の突っ込みが冴えている気がする。
けど、これでは娘が少し可哀想な気もするね?
「貴様等、決闘ならば外でやれ」
「先生?! そこは止めて下さい!」
呆れたように言うパルに対しても同じ勢いで反論するダーリエ。
それを見ても僕は和むだけだけど。
パルも随分ダーリエと仲良くなったものだねぇ。
ダーリエと会ったばかりの事を思いだして僕は内心微笑む。
パルもダーリエをかなり気に入っているようだし、口を挟まないトーネも表情からして気に入っていることは間違いないだろう。
きっと、今のパルはダーリエを処分しようとは言いださない。
そのことに安心する。
案外彼は情に厚いから大丈夫だとも思ってはいたけれど、こうやって確認できると安心度が違う。
僕は友人と子供が争うような事態にならないことに安心しながらじゃれあいを見守る。
……少々娘に分が悪い気がするけど、これも経験だよね?
「もう! まずは部屋をでましょう! このままではお父様方の邪魔になってしまいますわ!」
声を荒げるダーリエに使い魔君は肩を竦めると動物の姿に戻り、それを見届けた従者君達は何時もの笑みを浮かべると先に部屋を出ていった。
それを見送りダーリエは溜息をついた。
「全く。仲良くなれとは言いませんけれど、もう少しどうにかなにませんの?」
「無理だ」
「即答しない。……そう言えば【人化】に魔力はあまり必要ないのですね?」
「あー。感覚的にはでっかくなるのを同じくれーかな?」
「持っていかれた魔力量もその程度な気がしますわ」
「慣れたら減るかもしれねーけどな」
娘と使い魔君は何やら考察をしながらも扉に向かっていった。
扉の前に立つと娘は振り返り頭を下げた。
「それではワタクシ達はこれで失礼致します」
令嬢らしい優雅な礼をした娘は微笑み部屋を出ていった。
それを見送り僕はパルとトーネに視線を向ける。
「二人ともお疲れ様。娘を護衛してくれて有難う。報酬を渡すから都合の良い日を教えてくれるかい?」
二人は、というかパルは冒険者として登録してはあるけど、本業ではない。
それを僕が無理を通して冒険者として娘の護衛として依頼した。
うちの護衛を信頼していない訳では無いけど、二人の冒険者としての経験が必要となるかもしれないと思ったからだ。
冒険者として雇った以上、きちんと報酬は渡さないとね。
友人と言えど、筋は通すべきだものね。
そう思い報酬の話を出したのだけれど、何故か二人は渋い顔になってしまった。
珍しい二人の表情に首を傾げる。
「どうしたんだい? パルはともかくトーネもなんて珍しいね?」
「シュティンヒパルだ。……いや、今回の護衛は失敗だ。故に報酬は必要無い」
「失敗? ダーリエは傷一つないみたいだったし、報告を聞いても特に問題なかったようだけど?」
娘は【神々の気紛れ】によって精神が成熟している。
だから今回の報告も簡潔だったけど、分かりやすいものだった。
私的な感情を挟まない報告の仕方をどうやって学んだのか気になったけど、内容自体には問題が無かった。
そう言うと二人は更に渋い顔になってしまった。
「神殿への道のりの話があっただろう?」
「ああ。道を阻まれて行けなかったと言っていたね」
「道中、キース嬢ちゃんが狙われた」
「ダーリエが?」
神殿を守護するものと見られる存在と遭遇したとは言っていたけれど、もしかして?
目だけで先を促すとトーネが一つ頷き口を開いた。
「今まで俺達も見たことも無い魔物だった。知能を有し、飛行した上魔法も使ってきたからな。後人型だ」
「随分奇怪な存在だったんだね。だからダーリエも神殿の守護者と言っていたのかな?」
「ふん。私達にしてみれば、あれが守護するものとはとても思えなかったが。確かに、と思ってしまう程に奇怪な存在ではあった」
「そいつにゴーレムを大量に召喚されてな。しかも何故か獣人の二人とキース嬢ちゃんを敵視してた。んで戦闘になったんだが……」
そこでトーネが言い難そうに口ごもりパルがため息をついた。
「すまない。私共も間に合わずキース嬢を危険にさらした。五体満足で助かったのは使い魔の功績だ」
パルはそう切り出し、当時のことを事細かに説明してくれた。
全てを聞いて僕は溜息を吐いた。
確かに娘は奇跡的な状況で助かったようだ。
それにしても……――
「――……自分の足を切り落とそうとするなんて、思い切りのよさはラーヤに似たのかな?」
「突っ込むのはそこか?」
「いや。君達が何を憂いたのか、失敗だと断定したのかは分かったよ? けど、君達には恨みもないし、結果的には無事だったから問題ないから。どちらかといえば娘の思い切りの良さに驚いたかな?」
もし娘が命を落としていたら、と考えると血の気が引く思いだけど、無事であることは間違いない。
だからそこは本当に問題はない。
もしも……本当にもしもの時は嘆き悲しみ、その場にいなかった自分の不甲斐なさを憤るだけ。
そのことで僕が誰かを恨むことはない。
大体二人は僕が無理矢理護衛を頼んだわけだし、過剰な責を問う気はない。
後、その時のことで二人とも十分苦しんだのは見ていて分かる。
そんな友に追い打ちをかける程僕は非情ではないつもりだ。
「やっぱり報酬は受け取ってくれ」
「けどなぁ。依頼は失敗だろ?」
「僕は失敗だとは思っていないのだけれどね。君達は頑固だからねぇ。それじゃあ必要経費だけでどうだい?」
「それでも過分だが」
「これ以上は駄目。……と言っても納得しないか。うーん。そうだね。二人の気が済まないならこうはどうだろうか? ……同じことがあってもダーリエが生き残れるように技術や知識を授けて欲しい」
二人は素晴らしい知識と技術を持っている。
依頼を達成できなかったと嘆き、遠ざかるくらいなら、むしろ積極的に接触して娘にそれらを授けてほしい。
次、同じようなことがあった場合、生き残れるように。
僕の願いに二人は一度だけ目を閉じ唸った。
けれど、目を開けた時には悔恨などはなりを潜めていて、ただ真っすぐな光だけが宿っていた。
「分かった」
「私も承知した」
渋々だけど頷いた二人に苦笑する。
その後パルが何とも言えない顔で僕に問いかけた。
「もう少し慌てると思ったが? お前は子供を愛しているだろう?」
「俺も。危険に晒したのは事実だからな。「もう二度と近づくな!」とか言われるかと思った」
「二人の中の僕は一体どうなっているんだい?」
揶揄うように軽い口調で返したのだけれど、二人は笑わなかった。
どうやら軽口の類ではなく、本心からなんだろうと気付き、僕も居住まいを正す。
「僕とラーヤは心から子供達を愛しているよ。もしもダーリエが片足を失った状態で帰って来たとしても、ずっと僕達の娘だし、貴族としては失格だとしても絶対に遠ざけたりはしない。そうだね、そうなっていたら本物と違わない義足でも錬成していたかな?」
きっとダーリエ自身は気にしないと思う。
家族である僕達も気にしない。
けど貴族という社会がダーリエを認めないと言うなら僕達は認めるようにあらゆる手段を取っただろう。
それでも駄目ならいっそのこと国を出てしまうかな?
「けど、パルが居た時点でその可能性は低そうだけどね?」
「シュティンヒパルだ。……確かに切り離された足があれば傷跡も残らず治すことは魔道具で可能だが」
「だよね? そうだね。だから、その未来が来る可能性が低かっただろうね? 後は、もしも……もしもダーリエが亡くなったとしたら……――」
想像だけだとしても様々な感情が渦巻くけど、僕はそれらを抑え込み、あえてにっこりと微笑む。
「――……宰相の地位を返上して領地に引っ込むかな?」
「「は?」」
唖然とした二人に僕は朗らかに笑いかけた。
「領地でラーヤと二人で隠居して生涯ダーリエを思って悲しみ、嘆いて、悼んで過ごすかな。そうなってもアールの歩みたい道は全力で応援するけど、役職は要らないし。ただの一貴族になるだけ。別に問題ないだろう?」
「問題大ありだ、馬鹿者。アストのことはどうするつもりだ?」
「元凶はどうにかしたし、僕が宰相じゃなくても大丈夫。別に友人を辞めるわけでもないしね」
今のアストには公での僕の手助けを然程必要としていない。
勿論、その場合しっかりとした後任を育て、決してアストの負担にならないようにはするけど。
けど、今なら後継者さえきちんとすれば宰相としての僕は必要としない。
その後は一友人として、私的な部分で手助けをすれば良い。
……と、思ったよりも真面目に考えてしまい苦笑する。
有り得ないもしもだというのに。
その時のことが想像できてしまう。
領地で悲しみ嘆く僕とラーヤ。
そんな僕等を見て息子はどう思うだろうか?
いや、アールも僕達の血を継ぐ子だからね。
何となく想像できる気もするな。
「アールも領地に戻ってくる気がするかな」
僕達は娘も息子も愛している。
けど、時々アールがダーリエに注ぐ愛情を見て、自分達が中途半端な気がするんだ。
アールは時に僕達以上にダーリエに家族としての愛情を注いでいる。
そのことに気づいた時は愕然としたけれど、僕達の今までを反芻すれば自嘲するしかない。
「あの子は僕達以上にダーリエに愛情を注いでいるから。……うん。僕達は子供を愛しているよ。けど、そうだね。きっと愛情深いとは言えない」
「貴族としては破格だと思うが?」
「そうかもね? けど、僕等は皆、心に一つの大きな傷があるだろう?」
何のことかは言わなくても通じる。
そのことを思い起こしたのか二人とも口を閉ざした。
「そのために僕達は復讐を忘れることが出来なかったし、目標のために色々なものを犠牲にしてきた」
その中には子供達への愛情があったに違いない。
貴族としては破格の愛情かもしれない。
けど、僕達は子供達にとって決して愛情深い存在ではない。
元凶を退くことが出来、心に余裕が出来たからこそ、そのことに気づいた。
「僕達は子供達を見ているようで見ていなかった。そのことに気づいたのもつい最近なんだけどね」
もしも元凶が未だに居座り、心に余裕が無ければ、一体子供達はどうなっていたのかな?
もしかしたら中途半端な愛情は子供達を苦しめる原因とすらなっていたかもしれないとすら思う。
きっと子供達に何かあったのなら、その半端な愛情が要因の一つに違いない。
それほどまでに余裕のない僕達は他のことが疎かになっていたのだから。
「もしもダーリエが亡くなったら、それは僕の采配が悪かった。だから責任は全て僕にある。そして、そんな存在が宰相であっていいわけが無いと地位を返上しただろうね。アールや領民を残して死ぬことは出来ないから後追いはしないと思うけど」
恨むなら自分の不甲斐なさとダーリエを連れて行ってしまった神々に、かな。
それすらも自己満足かもしれないけれどね。
「オーヴェ」
「けど、そんな風に考える余裕があるのもダーリエの御蔭なんだよね。本当に与える側である僕達ばかりがダーリエに与えられてばかりな所情けないなぁと思っているのだけれどね。元凶を退ける切欠をくれたのはあの娘なのだから、我が娘ながら大したものだと思っているよ」
「お前にとってキース嬢は変わらず“娘”なのだな」
言外に【神々の気紛れ】によって生まれた子供だろうに、と言っているのだろう。
とっくに自分だって絆されているだろうに、未だにそれを認めないパルに僕は微笑みかける。
「最初から言っているよね? ダーリエは正真正銘僕の娘だって」
「……やっぱオーヴェは愛情深い親だと思うぜ」
笑うトーネに嘘は見られない。
本心からなのだと分かる。
それに頷けない自分がいるだけで。
「これから挽回していくつもりなんだけどね? そのためにも二人にはダーリエを鍛えて欲しいんだ。あの娘の前に選択肢が現れた時、どの道だろうと選び取れるように」
【闇の愛し子】であるあの娘はきっと、これからの道にも困難が立ちふさがっていくはず。
その時、少しでも自分の望んだ道を歩めるように。
少しでも長く笑顔でいられる時間が長くなるように。
「だから、お願いだ。ダーリエを……娘を宜しく頼む」
見上げる僕は一体、どんな顔をしているのかな?
けど、貴族としての顔をしていないだろう、と思う。
それで良い。
だって娘のことを頼むのだから。
相手だって友人なのだ。
ここで貴族としての自分なんてなんの意味もないのだから。
暫くして頭の上から溜息が聞こえた。
「はぁ……分かっている。汚名も返上せねばならないからな。今更断りはしない。幸いお前の娘は学ぶことを厭わない性格だ。私の出来る限りのことは教えよう」
「俺も。キース嬢ちゃんに教えられることなんて鍛錬の仕方くらいだけどなぁ。俺の知っていることは全部教えるつもりだ。だからそんな顔するなよ、オーヴェ」
「有難う、二人共。けど、そんな顔と言われても、僕は一体どんな顔をしているのかな?」
首を傾げるとパルとトーネは顔を見合わせた。
「娘を心配するただの父親の顔だよ」
それは僕にとってとても嬉しい言葉だった。
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