【虐げヒロインはドSエリートに翻弄される】〜囚える鎖を放すか否か(仮)

光月海愛(こうつきみあ)

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契約

始まりのサイン

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 部屋に入ると、ほんのりと照明が点いていた。
 恋人とは違う、契約で繋がった男性と二人きり。しかも夜。ますます緊張してきた。

「お風呂貯めます?」

 私の一声に藍野さんが微かに笑った。

「ユニットバスだし、俺はシャワーでいいよ」
「ユニットバス?」

 私は、お風呂とトイレが一緒になってるモノを見た事が無かった。修学旅行も、両親が生きてた頃に旅行で泊まったのは旅館だったし。

「寒いならお湯張れば? 俺、少し仕事してるから」
「あ、はい」

 パソコンを机に置いて、藍野さんはパチパチと打ち込み始めた。

 お言葉に甘えて私は小さなバスタブに湯を貯めた。
 ふと、ここで疑問に思った。
 お湯を貯めて、髪や身体はどこで洗うんだろう? と。
 浴槽から出たら、床ビシャビシャになっちゃわない?
 ……調べよう。
 浴室から出て、バッグの中のスマホを検索してみた。

「どうした?」

 藍野さんが振り向いた。

「ユニットバスの使い方を……と、あった」

 他にも検索してる人がいる。″ユニットバス″の単語で入力だけでちゃんと出てきた。

「ホテル泊まった事ないの?」
「はい、初めてです」
「″初めて″が多いね」

 藍野さんが私に近付き、一瞬たじろいだ。

「一緒に入ろうかな」
「え……」

 私が拒む前に、彼はサッと上着を脱ぎネクタイを緩ませていた。

「いきなり一緒にお風呂はちょっと……」

 モタモタする私に構わず、藍野さんはパンツだけになると眼鏡を外した。

「俺は眼鏡ないと見えないから」

 だから、さっさと脱げと言っているのだ。

「……はい」

 上着とシャツを脱ぐまでは手早く出来たものの、スカートや下着を脱ぐのを見られるのは恥ずかしい。

「あの、先に入っててください」
「なんで?」

 見えないと言いながら、私に視線を注ぎ続ける藍野さんが一歩近寄った。

「何でって、なんか、滑稽だから」
「恥ずかしいって?」

 笑ったかと思うと、私の体を両腕ですっぽり包む。

「もじもじされるの、大好物なんだよ」

 耳元で囁かれたと同時にブラのホックを外され、「あ、」ついでにスカートのファスナーも下げられた。

「これが一番恥ずかしいんじゃない?」

 パンツとストッキングのみの姿は、仰る通り他人に見せたくはない。

「意地悪ですね」
「うん、でも眼鏡掛け直してないから、そこは優しさだと思って」

 本当に見えてないの?
 いつまでもこんな格好でいると風邪引くし、半分ヤケで彼に背を向けストッキングとパンツを脱いだ。 
 時間にしておよそ五秒。

「最後は色気無かったな」
「早く入りましょう、寒いです」

 全裸になった私は、藍野さんの背中を押して、バスルームに入った。
 かけ湯なしで湯船に浸かるの違和感あるけど、ユニットバスでは仕方ない。
 髪を団子に丸めて彼がいる浴槽に足を入れる。

「ボンヤリとしか見えないけど、明日美さんスタイルいいよね」

 エコーがかった声で褒められ、改めて恥ずかしくなった。

「……そうですか?」
「うん、顔も透明感あって綺麗だ」

 綺麗なんて言われた事ないから戸惑う。
 
「身体洗おうか」

 藍野さんが立ち上がる。
 彼こそ透けるような色白で、温もった身体はピンク色になり、とても綺麗だ。背中からウエスト、ヒップのラインも締まっていて見惚れてしまう。

 彼が浴槽の湯を抜き、シャワーで髪を濡らす。
 手早くシャンプーしてしまうと、私の頭に手を伸ばし、まとめていた髪を崩した。

「シャンプーは顔を上げる派? 下げる派?」
「長いので両方です。はじめ、後頭部から洗ってから顔を上げて前頭部と側頭部を……」
「了解。じゃあ頭下げて」

 洗ってくれるんだ。
 子供みたい。
 素直に従って髪を洗って貰った。それがとても気持ち良かった。 

 部屋に戻った時には身体が熱くて仕方なかった。備品のガウンを纏うと余計に。
 藍野さんはタオルを腰に巻いただけの状態で、私に冷蔵庫の水を渡した。

「暑いんじゃない、それ」
「え、まぁ、」
「無理して着ないでいい」

 そう言って、着ていたガウンに手を掛ける。

「俺、下着だけとか靴下だけとかより素っ裸の女が好きなんだよ」

 靴下だけ?
 それが好きって変態じゃないの?
 想像する間もなく、私は生まれたままの姿にされた。

「始めようか」

 そして、彼は置いていた眼鏡を掛けたのだった。
























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