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契約
意地悪
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弛緩しきった体に心地よい疲労感が訪れた。
が、すぐに指が差し込まれ、クリトリスを掻き回されて、再び卑猥な水音がする。
「シーツまでぐっしょりだ」
藍野さんの声が顔の近くに迫った。
彼の息が荒い。
指とは違うものが濡れた割れ目に当てられ、また体がピクンと反応した。
「挿れるよ」
心臓が脈打った。恋愛経験がなくとも、性の知識くらいはある。
重なった皮膚と、押し入る圧は熱い。
思わず、藍野さんの体にしがみつきそうになったが、叱られるような気がして堪えた。
肉圧が膣の奥まで達しようとしたら、想像通り、いやそれ以上の痛みが走った。
「いっ……」
快楽の声は我慢出来ても、これは抑えられなかった。
「痛い?」
藍野さんの動きが止まる。
私は頷いた。
「明日美……処女?」
これには、少しの間を置いて頷く。
昔、雅夫兄さんに悪戯されたが、最後までは至らなかった。
「……そっか」
明らかにトーン落ちした声に羞恥を感じた。
やはり、この歳になっても処女なんてオカシイのだろうか、と。
「初めての相手が俺って、何だか可哀想だな」
……可哀想?
どうしてそう思うの? 契約上の行為だから? それとも、非道な人だから?
声を出してはいけないルールを守り、心の中で問う。
沈黙の間に重なっていた皮膚が離れ、寒々しい空気が漂った。
藍野さんが静かに言った。
「二回目が直ぐに来るなら、取っておきたいけど」
二回目? もう、今夜はしないってこと?
藍野さんは、尻込みしてしまったの?
痛い痛いと泣いて叫んだりはしないけど、やはり面倒だと思われた?
ホッとした反面、延期になってしまった体育祭のように、微かな不満を覚える。
「もう声出していいよ」
許可が降りた途端、アイマスクを外された。広がった白い視界に何度か瞬きをした。
――……あ。
藍野さんが優しい目をして、私を見下ろしている。もっと蔑まれるかと思ったのに。
「俺、処女って初めてだから、加減が分からないんだよ」
世の中の女性は、大半が経験済みなのか。
皆が当然のように知っている事を私は得ていない。それを与えてくれる人なんて、現れないと思っていた。
声を出していいと言われたのに、何も発しない私に藍野さんは意地悪な言葉を放った。
「初めては、やっぱり竹林さんがいい?」
ここで片思いの人の名前が出て、自然と私は狼狽えた。
あの人は、会社で唯一、私の味方で優しくしてくれた上司。
私に恋愛感情など抱いていないのはわかっているし、それでも、想像した事がない、と言えば嘘になる。
竹林部長なら、優しく奪ってくれるのではないか、と。
「いいえ」
「その顔、なんかムカつくな」
が、すぐに指が差し込まれ、クリトリスを掻き回されて、再び卑猥な水音がする。
「シーツまでぐっしょりだ」
藍野さんの声が顔の近くに迫った。
彼の息が荒い。
指とは違うものが濡れた割れ目に当てられ、また体がピクンと反応した。
「挿れるよ」
心臓が脈打った。恋愛経験がなくとも、性の知識くらいはある。
重なった皮膚と、押し入る圧は熱い。
思わず、藍野さんの体にしがみつきそうになったが、叱られるような気がして堪えた。
肉圧が膣の奥まで達しようとしたら、想像通り、いやそれ以上の痛みが走った。
「いっ……」
快楽の声は我慢出来ても、これは抑えられなかった。
「痛い?」
藍野さんの動きが止まる。
私は頷いた。
「明日美……処女?」
これには、少しの間を置いて頷く。
昔、雅夫兄さんに悪戯されたが、最後までは至らなかった。
「……そっか」
明らかにトーン落ちした声に羞恥を感じた。
やはり、この歳になっても処女なんてオカシイのだろうか、と。
「初めての相手が俺って、何だか可哀想だな」
……可哀想?
どうしてそう思うの? 契約上の行為だから? それとも、非道な人だから?
声を出してはいけないルールを守り、心の中で問う。
沈黙の間に重なっていた皮膚が離れ、寒々しい空気が漂った。
藍野さんが静かに言った。
「二回目が直ぐに来るなら、取っておきたいけど」
二回目? もう、今夜はしないってこと?
藍野さんは、尻込みしてしまったの?
痛い痛いと泣いて叫んだりはしないけど、やはり面倒だと思われた?
ホッとした反面、延期になってしまった体育祭のように、微かな不満を覚える。
「もう声出していいよ」
許可が降りた途端、アイマスクを外された。広がった白い視界に何度か瞬きをした。
――……あ。
藍野さんが優しい目をして、私を見下ろしている。もっと蔑まれるかと思ったのに。
「俺、処女って初めてだから、加減が分からないんだよ」
世の中の女性は、大半が経験済みなのか。
皆が当然のように知っている事を私は得ていない。それを与えてくれる人なんて、現れないと思っていた。
声を出していいと言われたのに、何も発しない私に藍野さんは意地悪な言葉を放った。
「初めては、やっぱり竹林さんがいい?」
ここで片思いの人の名前が出て、自然と私は狼狽えた。
あの人は、会社で唯一、私の味方で優しくしてくれた上司。
私に恋愛感情など抱いていないのはわかっているし、それでも、想像した事がない、と言えば嘘になる。
竹林部長なら、優しく奪ってくれるのではないか、と。
「いいえ」
「その顔、なんかムカつくな」
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