45 / 67
変化
告白
しおりを挟む
颯斗くんと上級生との事件は、大事には至らずに済んだ。
警察が目を向けたのは、怪我をさせた颯斗くんの事よりも、計画性をもってお化け屋敷に入って来た上級生の方だった。
「学園祭のお化け屋敷で、女子高生に強制猥褻を働く輩が増えてるんですよ」
それもあって学校の配慮から、颯斗くんは、期末試験までの謹慎処分で済んだ。
「里さん、ありがとね」
休み時間、 野沢さんが声をかけてきた。
外をボンヤリ見ていた私の隣に並んで立つ。
「里さんがあの時、代わってくれてなかったら、私、今ごろ、学校に来てなかったかもしれない」
御礼は文化祭の時のこと。
お化け屋敷にやって来た上級生は、過去に野沢さんがフッた人達らしい。
「……私は、何もしてないよ……」
颯斗くんが来てくれたから、私もひどい目にあわずに済んだ。
「颯斗くんはさ、里さんだからあんなに必死に、あいつをやっつけたんだろうね」
野沢さんがちょっと切なそうに言ったので、胸がキュッとなった。
野沢さん。やっぱりまだ颯斗くんの事、好きなんだ。
「そんな顔しないでよ。もうとっくに諦めたし!」
パン!と軽く私の背中を叩く野沢さんは、笑顔だった。
野沢さんばかりに本音を話させるのは、やっぱり心苦しい。
私もちゃんと言わなきゃ。
どんなに素敵な女の子がライバルになろうとも、この気持ちを捨てるなんて出来ないって。
「私、人を好きになったの初めてなの」
明るくて、優しくて、人気者の颯斗くんが自分と仲良くなってくれるなんて奇跡だと思う。
周りも不釣り合いだと感じてるかもしれないし、傷付く女の子は確実にいるけれど。
「私は、堂々と颯斗くんと一緒にいたい」
彼が望む間は、颯斗くんの気持ちにこたえて支え合いたい。
こんなこと宣言されても、野沢さんは困ると思ったけど。誰かに言いたかった。
「里さん、変わったね」
野沢さんは、私の顔を見てニヤリと笑うと、
「あてられちゃったぁ!私もイチャイチャしたーい!」
と言いながら、南くんの方に行ってしまった。
友達と話していた南くんは、驚きつつも嬉しそう。
そんな野沢さんの制服のスカート丈は、近頃、ミニじゃなくなっていた。
「あの二人、今、付き合ってるらしいよ」
いつの間にか寄って来ていた浜谷さんがこっそり耳打ち。
「え、そうなの?」
「文化祭の実行委員してる間にそうなったみたい」
「なんだ……」
知らないで、野沢さんにおかしな宣言しちゃったよ。
「里さんがキューピット役になったんだもんね」
浜谷さんの言葉には苦笑い。
結果。そうだけど。
そうなるまで二人にはかなり嫌な想いさせられたのも事実。
「文化祭終わったし、あとは期末試験と夜間歩行だなぁ」
「夜間歩行って好きなように歩いていいんだよねぇ?」
「いいんじゃね、ちゃんとゴールさえすれば」
「じゃ、南くん、一緒に歩こう」
「お、おう」
けど。今の二人を見ていたら、もう、水に流そうと思えた。
夜間歩行。
今のクラスでの最後の年間行事。
颯斗くん、それ、参加できるのかな?
そしたら一緒に歩きたいな。
教室の隅で仲良く話す野沢さんと南くんを見ながら、そう思った。
警察が目を向けたのは、怪我をさせた颯斗くんの事よりも、計画性をもってお化け屋敷に入って来た上級生の方だった。
「学園祭のお化け屋敷で、女子高生に強制猥褻を働く輩が増えてるんですよ」
それもあって学校の配慮から、颯斗くんは、期末試験までの謹慎処分で済んだ。
「里さん、ありがとね」
休み時間、 野沢さんが声をかけてきた。
外をボンヤリ見ていた私の隣に並んで立つ。
「里さんがあの時、代わってくれてなかったら、私、今ごろ、学校に来てなかったかもしれない」
御礼は文化祭の時のこと。
お化け屋敷にやって来た上級生は、過去に野沢さんがフッた人達らしい。
「……私は、何もしてないよ……」
颯斗くんが来てくれたから、私もひどい目にあわずに済んだ。
「颯斗くんはさ、里さんだからあんなに必死に、あいつをやっつけたんだろうね」
野沢さんがちょっと切なそうに言ったので、胸がキュッとなった。
野沢さん。やっぱりまだ颯斗くんの事、好きなんだ。
「そんな顔しないでよ。もうとっくに諦めたし!」
パン!と軽く私の背中を叩く野沢さんは、笑顔だった。
野沢さんばかりに本音を話させるのは、やっぱり心苦しい。
私もちゃんと言わなきゃ。
どんなに素敵な女の子がライバルになろうとも、この気持ちを捨てるなんて出来ないって。
「私、人を好きになったの初めてなの」
明るくて、優しくて、人気者の颯斗くんが自分と仲良くなってくれるなんて奇跡だと思う。
周りも不釣り合いだと感じてるかもしれないし、傷付く女の子は確実にいるけれど。
「私は、堂々と颯斗くんと一緒にいたい」
彼が望む間は、颯斗くんの気持ちにこたえて支え合いたい。
こんなこと宣言されても、野沢さんは困ると思ったけど。誰かに言いたかった。
「里さん、変わったね」
野沢さんは、私の顔を見てニヤリと笑うと、
「あてられちゃったぁ!私もイチャイチャしたーい!」
と言いながら、南くんの方に行ってしまった。
友達と話していた南くんは、驚きつつも嬉しそう。
そんな野沢さんの制服のスカート丈は、近頃、ミニじゃなくなっていた。
「あの二人、今、付き合ってるらしいよ」
いつの間にか寄って来ていた浜谷さんがこっそり耳打ち。
「え、そうなの?」
「文化祭の実行委員してる間にそうなったみたい」
「なんだ……」
知らないで、野沢さんにおかしな宣言しちゃったよ。
「里さんがキューピット役になったんだもんね」
浜谷さんの言葉には苦笑い。
結果。そうだけど。
そうなるまで二人にはかなり嫌な想いさせられたのも事実。
「文化祭終わったし、あとは期末試験と夜間歩行だなぁ」
「夜間歩行って好きなように歩いていいんだよねぇ?」
「いいんじゃね、ちゃんとゴールさえすれば」
「じゃ、南くん、一緒に歩こう」
「お、おう」
けど。今の二人を見ていたら、もう、水に流そうと思えた。
夜間歩行。
今のクラスでの最後の年間行事。
颯斗くん、それ、参加できるのかな?
そしたら一緒に歩きたいな。
教室の隅で仲良く話す野沢さんと南くんを見ながら、そう思った。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
10
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる