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3.成長
146.海とか祭りとか
永那は空井さんに手を引かれて、部屋に入っていった。
ドアを閉めることはなく、空井さんは当たり前のように永那をベッドに寝かせる。
あたしはこっそり後を追って2人を見ていたけど、空井さんが寝る前の永那にキスをしていて、なぜかあたしは赤面した。
その所作があまりにも自然だったからか、窓から射し込む光に照らされて、つい綺麗だと思ってしまったからなのか…理由はわからない。
海で見たときは、あんなに嫌な気持ちになったのに。
あたしが見ていたことに気づくと、空井さんは目を見開いて、耳を真っ赤に染めていた。
「ご、ごめんなさい」と謝られ、前髪を指で何度も梳いていた。
空井さんが恥ずかしそうに部屋から出て、キッチンに行く。
あたしはそれをジッと目で追った。
「千陽、なんかゲームする?」
弟が不思議そうな顔をしながら声をかけてくる。
「ゲームって、なんのゲーム?」
「いろいろあるよ?」
そう言って、テレビ台の棚の中からいくつか引っ張りだす。
ゲーム機が2つと、トランプやボードゲームもある。
トランプは、前にみんなでやったな。
「これ、テレビに繋げれば、2人で遊べるよ?」
ゲーム機を手に取る。
「あたし、こういうのやったことない」
「簡単なやつもあるし、永那もやったことなかったけどできるようになってたから、大丈夫だよ」
弟がテレビに繋げる準備をする。
空井さんが飲み物とお菓子をテーブルに置いてくれた。
まだ恥ずかしそうに前髪を指で梳いている。
弟がゲームの説明を始めて、一緒にやる。
楽しいのかは、よくわからない。
しばらくやって、だいぶ慣れてきて、すんなり操作できるようになった。
その頃には、空井さんは1人で本を読んで座っていた。
「ねえ、いつもこんな感じなの?」
「こんな感じって?」
「永那が寝てて、2人が普通に過ごしてる」
「そうだね。まあ、おばあちゃん家行ったり、姉ちゃんは生徒会の合宿があったり、永那が熱出したりで、そんなに多くはないけど」
…永那、本当にただ寝に来てるだけなの?
意外すぎて、信じられない。
あたしの想像では、毎日のように空井さんを求めて、四六時中イチャイチャしてる姿があったけど。
“あれは、イライラしてたから”
イライラしていなければ、無闇に迫るわけでもないんだ。
11時半頃、空井さんが部屋に入っていった。
「ちょっと見てくる」
弟に耳打ちして、あたしはまた2人を覗きに行く。
寝る前は1回だったのに、今度は何度も何度も口付けしていた。
その姿に、なぜかあたしの下腹部が疼いて、ドア枠をギュッと握る。
そのうち永那が幸せそうな顔をしながら目を覚ます。
「おはよう、穂」と、彼女を抱きしめて、永那からキスをする。
あたしが見ていることに気づいたのか、空井さんが急に顔をこちらに向けた。
さっきよりも顔が赤くなって、隠れるように永那の胸に顔をうずめた。
…見られたくないならドア閉めればいいのに。
「おー、千陽」
「おはよう」
弟があたしの背後から顔を出す。
「起きた?…姉ちゃん、何やってんの?」
「…うるさい」
その後、3人が料理をした。
あたしは椅子に座って、ただそれを眺める。
空井さんが「あ!」と言って、あたしのそばに来た。
「ごめんね、これ片付けちゃうね」
あたしが座っていた席の隣には、紙や本が山積みになっていた。
空井さんが片付けている間にも、永那と弟が楽しそうに料理してる。
あたしの家では、ママもパパも、料理してるところなんて見たこともない。
だから、不思議な光景。
ああ…でも。おばあちゃんの家に行ったとき、料理しているのを見たかな。
あたしはフゥッと息を吐いた。
…前に食べた生姜焼きは、すごくおいしかった。
ママは買ってきたもののほうがおいしいって言ってたけど、あたしは、手作りのほうが好きかも。
「ねえ!千陽!千陽も、やってみなよ!」
弟に呼ばれて、眉間にシワを寄せながら、キッチンに行ってみる。
「タネをね、皮の真ん中に置いて、水をつけて、ヒダを作る…ほら!餃子」
「千陽?どうしたー?」
ジッと見ていたら、永那に顔を覗きこまれて、ドキッとする。
手を洗って、弟が作っているのを真似る。
「そうそう!千陽、うまい!」
弟が言う。
永那を見ると、優しく微笑まれた。
…こんな表情、あたしに見せたことなんてほとんどないのに。
「佐藤さんは、カラシいる?」
空井さんに聞かれる。
「いらない」
「酢醤油と、普通の醤油、どっちがいい?」
…酢醤油?なにそれ。
「普通の」
「俺酢醤油ね!!」
「わかってるよ」
「永那ちゃんは?」
「カラシと酢醤油!」
酢醤油、大人気。
あたしも、それにすれば良かったかな?
初めて手作りの餃子を食べた。
ニンニク臭くなくて、おいしい。
…買ったものは、ニンニクがたくさん入っているのだとわかる。
ご飯とお味噌汁もついてる。
家では、味噌汁なんてほとんど飲まない。
「おいしい?」
向かいに座る弟が聞いてくる。
あたしが頷くと、嬉しそうに笑った。
横を見ると、永那もおいしそうにご飯を食べている。
…なんか、良いな。こういうの。
ドアを閉めることはなく、空井さんは当たり前のように永那をベッドに寝かせる。
あたしはこっそり後を追って2人を見ていたけど、空井さんが寝る前の永那にキスをしていて、なぜかあたしは赤面した。
その所作があまりにも自然だったからか、窓から射し込む光に照らされて、つい綺麗だと思ってしまったからなのか…理由はわからない。
海で見たときは、あんなに嫌な気持ちになったのに。
あたしが見ていたことに気づくと、空井さんは目を見開いて、耳を真っ赤に染めていた。
「ご、ごめんなさい」と謝られ、前髪を指で何度も梳いていた。
空井さんが恥ずかしそうに部屋から出て、キッチンに行く。
あたしはそれをジッと目で追った。
「千陽、なんかゲームする?」
弟が不思議そうな顔をしながら声をかけてくる。
「ゲームって、なんのゲーム?」
「いろいろあるよ?」
そう言って、テレビ台の棚の中からいくつか引っ張りだす。
ゲーム機が2つと、トランプやボードゲームもある。
トランプは、前にみんなでやったな。
「これ、テレビに繋げれば、2人で遊べるよ?」
ゲーム機を手に取る。
「あたし、こういうのやったことない」
「簡単なやつもあるし、永那もやったことなかったけどできるようになってたから、大丈夫だよ」
弟がテレビに繋げる準備をする。
空井さんが飲み物とお菓子をテーブルに置いてくれた。
まだ恥ずかしそうに前髪を指で梳いている。
弟がゲームの説明を始めて、一緒にやる。
楽しいのかは、よくわからない。
しばらくやって、だいぶ慣れてきて、すんなり操作できるようになった。
その頃には、空井さんは1人で本を読んで座っていた。
「ねえ、いつもこんな感じなの?」
「こんな感じって?」
「永那が寝てて、2人が普通に過ごしてる」
「そうだね。まあ、おばあちゃん家行ったり、姉ちゃんは生徒会の合宿があったり、永那が熱出したりで、そんなに多くはないけど」
…永那、本当にただ寝に来てるだけなの?
意外すぎて、信じられない。
あたしの想像では、毎日のように空井さんを求めて、四六時中イチャイチャしてる姿があったけど。
“あれは、イライラしてたから”
イライラしていなければ、無闇に迫るわけでもないんだ。
11時半頃、空井さんが部屋に入っていった。
「ちょっと見てくる」
弟に耳打ちして、あたしはまた2人を覗きに行く。
寝る前は1回だったのに、今度は何度も何度も口付けしていた。
その姿に、なぜかあたしの下腹部が疼いて、ドア枠をギュッと握る。
そのうち永那が幸せそうな顔をしながら目を覚ます。
「おはよう、穂」と、彼女を抱きしめて、永那からキスをする。
あたしが見ていることに気づいたのか、空井さんが急に顔をこちらに向けた。
さっきよりも顔が赤くなって、隠れるように永那の胸に顔をうずめた。
…見られたくないならドア閉めればいいのに。
「おー、千陽」
「おはよう」
弟があたしの背後から顔を出す。
「起きた?…姉ちゃん、何やってんの?」
「…うるさい」
その後、3人が料理をした。
あたしは椅子に座って、ただそれを眺める。
空井さんが「あ!」と言って、あたしのそばに来た。
「ごめんね、これ片付けちゃうね」
あたしが座っていた席の隣には、紙や本が山積みになっていた。
空井さんが片付けている間にも、永那と弟が楽しそうに料理してる。
あたしの家では、ママもパパも、料理してるところなんて見たこともない。
だから、不思議な光景。
ああ…でも。おばあちゃんの家に行ったとき、料理しているのを見たかな。
あたしはフゥッと息を吐いた。
…前に食べた生姜焼きは、すごくおいしかった。
ママは買ってきたもののほうがおいしいって言ってたけど、あたしは、手作りのほうが好きかも。
「ねえ!千陽!千陽も、やってみなよ!」
弟に呼ばれて、眉間にシワを寄せながら、キッチンに行ってみる。
「タネをね、皮の真ん中に置いて、水をつけて、ヒダを作る…ほら!餃子」
「千陽?どうしたー?」
ジッと見ていたら、永那に顔を覗きこまれて、ドキッとする。
手を洗って、弟が作っているのを真似る。
「そうそう!千陽、うまい!」
弟が言う。
永那を見ると、優しく微笑まれた。
…こんな表情、あたしに見せたことなんてほとんどないのに。
「佐藤さんは、カラシいる?」
空井さんに聞かれる。
「いらない」
「酢醤油と、普通の醤油、どっちがいい?」
…酢醤油?なにそれ。
「普通の」
「俺酢醤油ね!!」
「わかってるよ」
「永那ちゃんは?」
「カラシと酢醤油!」
酢醤油、大人気。
あたしも、それにすれば良かったかな?
初めて手作りの餃子を食べた。
ニンニク臭くなくて、おいしい。
…買ったものは、ニンニクがたくさん入っているのだとわかる。
ご飯とお味噌汁もついてる。
家では、味噌汁なんてほとんど飲まない。
「おいしい?」
向かいに座る弟が聞いてくる。
あたしが頷くと、嬉しそうに笑った。
横を見ると、永那もおいしそうにご飯を食べている。
…なんか、良いな。こういうの。
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