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3.成長
149.海とか祭りとか
「そういえば昨日、浴衣買ったよ」
「え!?マジで!?」
永那に“寄るとこあるから”と言って、電車の中で別れた。
あたしはそのまま電車に揺られて、都心部に出かけた。
たしかに最低でも7千円くらいで、安いものは全然可愛くなかった。
可愛いなと思うものもあったけど、セットになってる帯や下駄が微妙で…長く使うなら、良い物を買えばいいやと思った。
どうせ体型も大きくは変わらないだろうと思って、1万5千円くらいの物を買った。
「めっちゃ楽しみになってきた」
「お祭りで友達とかとすれ違ったら、恥ずかしく思ったりしないの?」
「なんで?」
「べつに」
あたしは、小6のとき、適当に見繕った相手と2人で歩くのは恥ずかしかったけど。
相手も同級生にからかわれて、恥ずかしげにしていた。
年の差があるから、あんまり気にならないってことなのかな?
でも、年の差があるからこそ、余計恥ずかしさを感じる部分もあると思うんだけど。
翌日。
あたし達がマンションに向かっていると、途中で優里と合流した。
優里は部屋について早々、ラグに寝転んだ。
「あー、生き返るー」
永那は優里がいるからか、今日は寝ないみたいだった。
テーブルに頬杖をついて、優里を眺めている。
「そんな部活キツいの?」
「まあ、それもあるんだけどさー。…早くみんなに聞いてほしくて!」
「なに?」
空井さんが人数分のお茶とお菓子を用意してくれる。
さっき優里が手渡していたお菓子も含まれていた。
優里が寝転んでいるから、ローテーブルの片側に永那、空井さん、弟、あたしが座っている。
「私さー、男女ペアでも組んでるんだけど、そのペアの相手に告白されちゃって…」
「良かったじゃん」
永那が言って、あたしも頷く。
そのまま手を伸ばして、クッキーを食べる。
弟は興味深げにしてる。
「え!?それだけ!?」
優里が起き上がる。
空井さんはどう反応すればいいかわからなさそうに、優里を見てる。
「私、全然そういう目で見てなかったから…なんていうか、ショックでさー」
「じゃあ断ったんだ?」
永那の反応はいつもこんな感じ。
「まだなの…保留にした…」
「なんで?」
「ペアの相手だよ!?断ったら気まずくない?」
「ふーん」
優里が机に突っ伏す。
「じゃあ、とりあえず付き合ったら?」
あたしはクッキーを頬張りながら言う。
「いや…えー…だって、付き合ったら手繋いだり…キ、キスしたりするんでしょー!?無理無理無理無理!そういうのじゃないんだって…」
「じゃあ断りなよ」
弟が言う。
「ハァ…私に理解者はいないんだね…」
「その人は、どうして優里ちゃんが好きなの?」
意外にも空井さんが質問する。
「んー…わかんない。告白されて、驚きすぎて、何も聞けなかった。保留にすることで精一杯だったんだよ」
「そっか。理由を聞いたら、優里ちゃんの気持ちもハッキリするのかも」
「理由かー…」
「理由次第で、付き合うかどうか決めてもいいんじゃない?」
「…たしかに。…うー」
何をそんなに悩んでいるのか、あたしにはさっぱりわからない。
あたしはずっと永那が好きだったし、永那に出会う前は誰に対しても“気まずい”なんて思ったこともなかったから。
相手から告白されて、付き合ってる相手がいなければ“いいよ”って言うだけ。
「それに断ったとしても、関係が悪くなるとは限らないんじゃないかな?」
「そうなの?」
「ただ相手は、優里ちゃんに“好き”って伝えたかっただけってこともあると思う。もちろん、付き合いたいとは思ってると思うけど」
「…そっかあ。ハァ、本当に穂ちゃんがいてくれてよかったよ…私、とりあえず理由を聞いてみる!」
「うん」
「部活仲間には相談し難かったし…本当にありがとう」
優里が空井さんの両手を掴んでいる。
「ねえ、穂?」
「ん?」
永那は目を薄く開いて、無表情に空井さんを見ている。
「その口ぶりだと、穂は過去に誰かを振ったみたいに聞こえるんだけど、気のせいかな?」
空井さんの顔が引きつる。
目をそらして、ソワソワし始める。
「あ、いや…その…あの…永那ちゃんに言おうと思ってたんだけど、タイミングがなくて」
「タイミング?」
永那の左眉が上がる。
「姉ちゃん、誰かに告白されたの!?」
弟が空気を読まずに発言する。
「あの…生徒会の、後輩に」
へえ…空井さんってやっぱりモテるんだ。
百戦錬磨の永那を落とすくらいなんだから、当然かな。
「またあいつか…。てか、なんで言わないの!?穂、私に“ちゃんと話して”って言ったじゃん!穂は言わないの!?」
「…ごめんなさい」
永那が少しイライラしている。
永那は項垂れて、ため息をつく。
「はい。じゃあ、具体的にどうぞ」
永那はまた頬杖をついて、空井さんを見る。
あたしと優里はお菓子に手を伸ばす。
「ど、どこから話せば…」
「全部。最初から」
「最初!?…む、難しい。どこが最初なんだろう…」
空井さんは考え込んでしまう。
「こ、告白されたのは、この前の旅行のときで。でも、好きだったのは中二のときから…と、言われました」
あたしが永那を好きな期間とほぼ同じ。
永那に空井さんを取られて焦ったか。
…焦るよね。その相手の気持ちが痛いほどわかる。
「でも、私全然気づかなくて。…2人で遊んだこともなかったし、生徒会のある日に一緒に帰って話すくらいで。もちろん、彼に今まで“好き”って言われたこともなかった」
空井さんの耳が赤く染まっている。
公開処刑みたいになってる。
まあ、事前に永那に話しておけば良かったんだろうから、自業自得だけど。
「え!?マジで!?」
永那に“寄るとこあるから”と言って、電車の中で別れた。
あたしはそのまま電車に揺られて、都心部に出かけた。
たしかに最低でも7千円くらいで、安いものは全然可愛くなかった。
可愛いなと思うものもあったけど、セットになってる帯や下駄が微妙で…長く使うなら、良い物を買えばいいやと思った。
どうせ体型も大きくは変わらないだろうと思って、1万5千円くらいの物を買った。
「めっちゃ楽しみになってきた」
「お祭りで友達とかとすれ違ったら、恥ずかしく思ったりしないの?」
「なんで?」
「べつに」
あたしは、小6のとき、適当に見繕った相手と2人で歩くのは恥ずかしかったけど。
相手も同級生にからかわれて、恥ずかしげにしていた。
年の差があるから、あんまり気にならないってことなのかな?
でも、年の差があるからこそ、余計恥ずかしさを感じる部分もあると思うんだけど。
翌日。
あたし達がマンションに向かっていると、途中で優里と合流した。
優里は部屋について早々、ラグに寝転んだ。
「あー、生き返るー」
永那は優里がいるからか、今日は寝ないみたいだった。
テーブルに頬杖をついて、優里を眺めている。
「そんな部活キツいの?」
「まあ、それもあるんだけどさー。…早くみんなに聞いてほしくて!」
「なに?」
空井さんが人数分のお茶とお菓子を用意してくれる。
さっき優里が手渡していたお菓子も含まれていた。
優里が寝転んでいるから、ローテーブルの片側に永那、空井さん、弟、あたしが座っている。
「私さー、男女ペアでも組んでるんだけど、そのペアの相手に告白されちゃって…」
「良かったじゃん」
永那が言って、あたしも頷く。
そのまま手を伸ばして、クッキーを食べる。
弟は興味深げにしてる。
「え!?それだけ!?」
優里が起き上がる。
空井さんはどう反応すればいいかわからなさそうに、優里を見てる。
「私、全然そういう目で見てなかったから…なんていうか、ショックでさー」
「じゃあ断ったんだ?」
永那の反応はいつもこんな感じ。
「まだなの…保留にした…」
「なんで?」
「ペアの相手だよ!?断ったら気まずくない?」
「ふーん」
優里が机に突っ伏す。
「じゃあ、とりあえず付き合ったら?」
あたしはクッキーを頬張りながら言う。
「いや…えー…だって、付き合ったら手繋いだり…キ、キスしたりするんでしょー!?無理無理無理無理!そういうのじゃないんだって…」
「じゃあ断りなよ」
弟が言う。
「ハァ…私に理解者はいないんだね…」
「その人は、どうして優里ちゃんが好きなの?」
意外にも空井さんが質問する。
「んー…わかんない。告白されて、驚きすぎて、何も聞けなかった。保留にすることで精一杯だったんだよ」
「そっか。理由を聞いたら、優里ちゃんの気持ちもハッキリするのかも」
「理由かー…」
「理由次第で、付き合うかどうか決めてもいいんじゃない?」
「…たしかに。…うー」
何をそんなに悩んでいるのか、あたしにはさっぱりわからない。
あたしはずっと永那が好きだったし、永那に出会う前は誰に対しても“気まずい”なんて思ったこともなかったから。
相手から告白されて、付き合ってる相手がいなければ“いいよ”って言うだけ。
「それに断ったとしても、関係が悪くなるとは限らないんじゃないかな?」
「そうなの?」
「ただ相手は、優里ちゃんに“好き”って伝えたかっただけってこともあると思う。もちろん、付き合いたいとは思ってると思うけど」
「…そっかあ。ハァ、本当に穂ちゃんがいてくれてよかったよ…私、とりあえず理由を聞いてみる!」
「うん」
「部活仲間には相談し難かったし…本当にありがとう」
優里が空井さんの両手を掴んでいる。
「ねえ、穂?」
「ん?」
永那は目を薄く開いて、無表情に空井さんを見ている。
「その口ぶりだと、穂は過去に誰かを振ったみたいに聞こえるんだけど、気のせいかな?」
空井さんの顔が引きつる。
目をそらして、ソワソワし始める。
「あ、いや…その…あの…永那ちゃんに言おうと思ってたんだけど、タイミングがなくて」
「タイミング?」
永那の左眉が上がる。
「姉ちゃん、誰かに告白されたの!?」
弟が空気を読まずに発言する。
「あの…生徒会の、後輩に」
へえ…空井さんってやっぱりモテるんだ。
百戦錬磨の永那を落とすくらいなんだから、当然かな。
「またあいつか…。てか、なんで言わないの!?穂、私に“ちゃんと話して”って言ったじゃん!穂は言わないの!?」
「…ごめんなさい」
永那が少しイライラしている。
永那は項垂れて、ため息をつく。
「はい。じゃあ、具体的にどうぞ」
永那はまた頬杖をついて、空井さんを見る。
あたしと優里はお菓子に手を伸ばす。
「ど、どこから話せば…」
「全部。最初から」
「最初!?…む、難しい。どこが最初なんだろう…」
空井さんは考え込んでしまう。
「こ、告白されたのは、この前の旅行のときで。でも、好きだったのは中二のときから…と、言われました」
あたしが永那を好きな期間とほぼ同じ。
永那に空井さんを取られて焦ったか。
…焦るよね。その相手の気持ちが痛いほどわかる。
「でも、私全然気づかなくて。…2人で遊んだこともなかったし、生徒会のある日に一緒に帰って話すくらいで。もちろん、彼に今まで“好き”って言われたこともなかった」
空井さんの耳が赤く染まっている。
公開処刑みたいになってる。
まあ、事前に永那に話しておけば良かったんだろうから、自業自得だけど。
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