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6.さんにん
342.まだ
■■■
先週の日曜日、期待していた。
やっと3人でできる…。
やっと、2人から愛してもらえるって。
でも実際は、穂の気持ちを確かめるための作業みたいな感じで、結局、イくこともできなかった。
…ムードが壊れたのは永那のせいだけど。
触れられたのだって、永那がふざけたときだけで。
キスは…嬉しかったけど。
あんな、死ぬほど恥ずかしい思いさせられて、ちゃんとさわってももらえないなんて、正直ショックだった。
だから今日も、同じような感じで進むんだろうな、と期待しないように頑張って1週間過ごした。
期待しようとする自分が嫌。
あたしは所詮、2人が情で大事にしてくれてる存在なんだから。
学校での穂の様子も余所余所しくて、あたしが話しかけても、胸元に視線が来ない。
…穂は、3人でシたいわけじゃないのかな。
やっぱり、あたしが離れないってわかって、その気、失せちゃったのかな。
ズキリと、胸が痛む。
仕方ないよね。
今までの関係が異常だったんだから。
マフラーに口元を埋めて、アスファルトを見ながら永那の家に向かう。
2人は今、穂の家で寝泊まりしてるけど…3人でするから、永那の家でってことなのかな?
土曜日だから、お母さんも誉もいるんだろうし。
珍しく、お昼を食べてからの集合だった。
2時前に永那の家の呼び鈴を鳴らす。
すぐにドアが開く。
さらに珍しく、永那が出てきた。
あたしが遊びに来たときは、いつも穂がドアを開けてくれるのに。
「おー」
ドアを片手で開けたまま、中に入れてくれる。
永那との距離が一瞬近くなって、好きな彼女の匂いが鼻を通る。
…あれ?
「穂は?」
物音がしないし、人の気配もないし、そもそも穂がいたら出迎えてくれるはず。
「ん?家」
あたしは首を傾げる。
「家って…」
「あ?」
永那が左眉を上げて、少し苛立ちながら、部屋の奥に入っていく。
あたしは何も言えなくなって、後をついていく。
永那が座った横に座る。
部屋を覗いてみても、穂はやっぱりいない。
「これ、ありがと」
袋を渡される。
…あたしの玩具が入ってる、袋。
「どう、だった?」
「穂、泣いちゃった」
この話がしたかったってこと?
それなら、べつに、明日でも…。
穂がいる前だと、できないのかな?
「ふーん。…痛かったの?」
「いや…痛くはなかったみたいなんだけど」
フッと、永那がニヤけるように笑う。
「私のほうがいいって。怖かったんだって」
彼女が口元を手で押さえる。
「クッソ可愛くない?」
あたしは曖昧に頷いて、鞄に袋をしまう。
マフラーとコートを脱いで、鞄の上に乗せた。
永那が頬杖をついて、窓を眺めながら、貧乏揺すりを始める。
「なんなの?」
「は?」
「“は?”って…。そっちが今日誘ってきたんでしょ?何か言いたいことがあったんじゃないの?」
永那は全然あたしを見ない。
…何か、言いにくいこと?
“やっぱり3人ではできない”みたいな?
穂は言えないから、代わりに永那が…ってこと?
「それとも…これ、返すためだけに、わざわざ呼んだの?」
「…ちげーよ」
「じゃあ、なに?」
「ハァ」と永那が大きなため息をつく。
ボリボリと頭を掻いて、髪がぐしゃぐしゃになる。
「なんか、飲む?」
永那はようやく窓から視線を外したけど、今度は自分の手元を見つめ始めた。
「え?…いや…なんなの?ホント。用がないなら、帰るけど」
「前のお前なら…意地でも隣にいたのにな」
思わず顔をしかめる。
永那は眉間にシワを寄せて、唇を歯で挟む。
「ホント…変わったよね、千陽」
「ありがと…?」
フッと彼女が鼻で笑う。
永那が何を伝えたいのか、全然わからない。
永那は立ち上がって、もう一度頭を掻いた。
「ん」
目をそらしたまま、手を差し出される。
その手を見つめていると、「早く」と見下ろされた。
なんだか、すごく懐かしいようにも感じる。
手を重ねると、引っ張り上げられて、抱きしめられた。
鼓動が一気に速くなる。
「ムードなんて、よく、わかんないけど…」
耳元で囁かれただけなのに、体の奥の芯みたいなところが、ギュッと引っ張られるような感覚。
体が離れて、見つめられる。
彼女の視線があたしの唇に落ちて、あたしは唾を飲んだ。
ゆっくり彼女が近づいてきて、目を閉じかけて…慌てて彼女の肩を押す。
ドクンドクンと心臓がうるさく鳴り始める。
「ちょ…ちょっと…待って…ど、どういうこと?」
なんとか永那を見ると、永那は目を細めて、あたしを見下ろしていた。
その姿が、あたしがずっと好きだった永那で、胸が針でチクチク刺されるみたいに、キュンとした。
「ハァ」と永那がため息をつく。
「穂が…2人でセックスしてって」
頭が、真っ白になる。
「お前が嫌なら、やめる」
お臍の下の奥のほうが、ジクジクと、熱をおびていく。
「す、穂は…嫌なんじゃ…ない、の?」
「自分の気持ちを確かめるために、1回だけ、シてほしいって言ってた」
永那は相変わらず、冷たい目であたしを見下ろしていた。
「お前は、どうしたい?」
“どうしたい?”なんて…初めて、聞かれた…。
先週の日曜日、期待していた。
やっと3人でできる…。
やっと、2人から愛してもらえるって。
でも実際は、穂の気持ちを確かめるための作業みたいな感じで、結局、イくこともできなかった。
…ムードが壊れたのは永那のせいだけど。
触れられたのだって、永那がふざけたときだけで。
キスは…嬉しかったけど。
あんな、死ぬほど恥ずかしい思いさせられて、ちゃんとさわってももらえないなんて、正直ショックだった。
だから今日も、同じような感じで進むんだろうな、と期待しないように頑張って1週間過ごした。
期待しようとする自分が嫌。
あたしは所詮、2人が情で大事にしてくれてる存在なんだから。
学校での穂の様子も余所余所しくて、あたしが話しかけても、胸元に視線が来ない。
…穂は、3人でシたいわけじゃないのかな。
やっぱり、あたしが離れないってわかって、その気、失せちゃったのかな。
ズキリと、胸が痛む。
仕方ないよね。
今までの関係が異常だったんだから。
マフラーに口元を埋めて、アスファルトを見ながら永那の家に向かう。
2人は今、穂の家で寝泊まりしてるけど…3人でするから、永那の家でってことなのかな?
土曜日だから、お母さんも誉もいるんだろうし。
珍しく、お昼を食べてからの集合だった。
2時前に永那の家の呼び鈴を鳴らす。
すぐにドアが開く。
さらに珍しく、永那が出てきた。
あたしが遊びに来たときは、いつも穂がドアを開けてくれるのに。
「おー」
ドアを片手で開けたまま、中に入れてくれる。
永那との距離が一瞬近くなって、好きな彼女の匂いが鼻を通る。
…あれ?
「穂は?」
物音がしないし、人の気配もないし、そもそも穂がいたら出迎えてくれるはず。
「ん?家」
あたしは首を傾げる。
「家って…」
「あ?」
永那が左眉を上げて、少し苛立ちながら、部屋の奥に入っていく。
あたしは何も言えなくなって、後をついていく。
永那が座った横に座る。
部屋を覗いてみても、穂はやっぱりいない。
「これ、ありがと」
袋を渡される。
…あたしの玩具が入ってる、袋。
「どう、だった?」
「穂、泣いちゃった」
この話がしたかったってこと?
それなら、べつに、明日でも…。
穂がいる前だと、できないのかな?
「ふーん。…痛かったの?」
「いや…痛くはなかったみたいなんだけど」
フッと、永那がニヤけるように笑う。
「私のほうがいいって。怖かったんだって」
彼女が口元を手で押さえる。
「クッソ可愛くない?」
あたしは曖昧に頷いて、鞄に袋をしまう。
マフラーとコートを脱いで、鞄の上に乗せた。
永那が頬杖をついて、窓を眺めながら、貧乏揺すりを始める。
「なんなの?」
「は?」
「“は?”って…。そっちが今日誘ってきたんでしょ?何か言いたいことがあったんじゃないの?」
永那は全然あたしを見ない。
…何か、言いにくいこと?
“やっぱり3人ではできない”みたいな?
穂は言えないから、代わりに永那が…ってこと?
「それとも…これ、返すためだけに、わざわざ呼んだの?」
「…ちげーよ」
「じゃあ、なに?」
「ハァ」と永那が大きなため息をつく。
ボリボリと頭を掻いて、髪がぐしゃぐしゃになる。
「なんか、飲む?」
永那はようやく窓から視線を外したけど、今度は自分の手元を見つめ始めた。
「え?…いや…なんなの?ホント。用がないなら、帰るけど」
「前のお前なら…意地でも隣にいたのにな」
思わず顔をしかめる。
永那は眉間にシワを寄せて、唇を歯で挟む。
「ホント…変わったよね、千陽」
「ありがと…?」
フッと彼女が鼻で笑う。
永那が何を伝えたいのか、全然わからない。
永那は立ち上がって、もう一度頭を掻いた。
「ん」
目をそらしたまま、手を差し出される。
その手を見つめていると、「早く」と見下ろされた。
なんだか、すごく懐かしいようにも感じる。
手を重ねると、引っ張り上げられて、抱きしめられた。
鼓動が一気に速くなる。
「ムードなんて、よく、わかんないけど…」
耳元で囁かれただけなのに、体の奥の芯みたいなところが、ギュッと引っ張られるような感覚。
体が離れて、見つめられる。
彼女の視線があたしの唇に落ちて、あたしは唾を飲んだ。
ゆっくり彼女が近づいてきて、目を閉じかけて…慌てて彼女の肩を押す。
ドクンドクンと心臓がうるさく鳴り始める。
「ちょ…ちょっと…待って…ど、どういうこと?」
なんとか永那を見ると、永那は目を細めて、あたしを見下ろしていた。
その姿が、あたしがずっと好きだった永那で、胸が針でチクチク刺されるみたいに、キュンとした。
「ハァ」と永那がため息をつく。
「穂が…2人でセックスしてって」
頭が、真っ白になる。
「お前が嫌なら、やめる」
お臍の下の奥のほうが、ジクジクと、熱をおびていく。
「す、穂は…嫌なんじゃ…ない、の?」
「自分の気持ちを確かめるために、1回だけ、シてほしいって言ってた」
永那は相変わらず、冷たい目であたしを見下ろしていた。
「お前は、どうしたい?」
“どうしたい?”なんて…初めて、聞かれた…。
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