いたずらはため息と共に

常森 楽

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8.閑話

14.永那 中2 秋《室橋芹奈編》

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「う、うっさい!!…ってか、なんで」
「そんなの、すぐわかる」
「て、てか!まだ、違うし…」
「へえ?」
千陽が見下すようにあたしを見た。
千陽のほうが背が低いけど、今あたしは座ってるから、自然と千陽に見下ろされる。
「ち、千陽こそ…妬いてんじゃないの?」
「あたしは、べつに」
は!?
あの先輩といい、千陽といい、なんでそんなに強いの…。

土曜日、あたしはめちゃくちゃ可愛くなるために、早起きした。
今のあたしに出来る、最高の可愛いを作る。
メイクして、髪巻いて、ネイルして、ペディキュアもして、服も1番可愛いやつを着る。
ちょっとダメージのついているデニムのミニスカートに、ヘソ出しのTシャツ。
下着は、馬鹿が“黒がセクシーだから好き!”って言ったから、仕方なく買ったやつ。
それを…永那に使い回すなんて、ちょっと微妙だけど…お金あるわけじゃないし、しょうがない。
…あの馬鹿には“擬態じゃん”とか言われて、めっちゃショックだったけど。
永那がそういうこと言うとは、思えない。
ネックレスとリングもつけて、キラキラに。

早起きしたはずなのに、気づいたら約束の時間で…呼鈴が鳴った。
ドアを開けると、ダルそうな永那。
「永那、おはよ」
「おー!なんか今日、めっちゃ可愛いじゃん」
嬉しくて、手をギュッと握った。
「あ、ありがと…。入って」
「うん」
ああ、めっちゃドキドキする…。
永那が靴を脱いで、すたすたリビングに行く。
ソファにドカッと座って「まだまだ暑いなー」と呟いた。
「だね」
あたしはコーヒー牛乳を冷蔵庫から出して、コップに入れる。
「はい」
「サンキュー!」
永那はコーヒー牛乳をゴクゴク飲み干して「うまー!!」と叫んだ。

ドキドキしながら、永那の隣に座る。
永那があたしの左足に触れた。
うう…ヤバいヤバいヤバいヤバい…!
ひょいっと持ち上げられて…「え!?なになに!?」思わず叫んだ。
永那はあたしの左足を自分の膝の上に乗せて、あたしのつま先を見た。
「おお、足の爪も塗ってある」
あー…もう!ドキドキさせないでよ!!
いきなりすんの・・・かと思ったじゃん!!
「う、うん…。可愛いっしょ?」
「うん。綺麗な赤だね。このキラキラの石も良い」
嬉しくて、恥ずかしくて、足をもそもそ動かす。
永那は少し眺めた後、あたしの足を膝に乗せたまま、ソファの背もたれに寄りかかった。
目を閉じて「あー、涼し~」と、扇風機の風が当たるたびに言う。

あたしは姿勢が辛くなって、右足も永那の膝の上に乗せた。
そのままダランと寝転ぶ。
二人掛けソファだから、ソファの長さが足りなくて、頭だけ落ちる。
視界が逆さまになって、頭に血が上る感じがするけど、気にしない。
永那に足を撫でられる。
…なんか、ちょっとマッサージみたいで気持ち良い。
「ひゃ!?」
胸をさわられて、起き上がる。
「芹奈、けっこう腹筋あるんだね」
永那が楽しそうに笑う。
「ふざけんな!」
永那を叩くと、腕を掴まれた。
そのまま、キスされる。
ああ…この流れといい、キスの仕方といい、めっちゃ慣れてる感じする…。

「嫌じゃない?」
その優しい声に、ドキドキする。
「平気」
「ん」
唇が触れ合って、同時に胸をさわられる。
胸をさわる手つきがあまりに優しくて…痛みなんか全然感じなくて、力が少しずつ、抜けていく。
舌が絡み合う。
あの馬鹿とキスするときは、何度も歯が当たって、たまに痛かった。
あいつはあたしのキスが下手だって言ってたけど…永那とキスしても、全然歯が当たらない。
これって…あたしのせいじゃないんじゃないの…?
永那の手がお腹に触れて、撫でた。
そのまま上にいって、ブラの上から胸を揉まれる。
馬鹿に“擬態”って言われたことを思い出して、また緊張する。
…変じゃないかな?似合わないって思われないかな?

永那が離れて、Tシャツを脱がされる。
胸元を腕で隠すと、永那が笑った。
やっぱ、似合わない?
ズキズキと胸が痛む。
「なんで隠すんだよ」
「え…あ…」
「見してよ」
心臓がうるさい…!
ゆっくり腕を下ろす。
永那の顔が見れない…。
「可愛い」
「え…?」
「めっちゃエロいね」
「ほ、ホント…?」
恐る恐る永那を見る。
永那はニヤリと笑って、あたしの胸元に顔をうずめた。
「このレース、可愛い」
「擬態に…見える?」
最初は“擬態”の意味がわからなかった。
でもあいつが帰って、調べて、ショックだった。
めっちゃ、傷ついた。

「は?なにそれ?」
「え…だから…あたし、地黒だから…黒の下着がさ…」
「あいつに言われたの?」
永那が睨むようにあたしを見る。
あたしは目をそらして、頷いた。
チッと永那が舌打ちする。
「めっちゃ似合ってるよ。大丈夫だよ。エロいし、可愛い」
「本当?嘘じゃ、ない…?」
「本当。嘘じゃない」
真っ直ぐ見つめられて、キュンキュンした。
「これ、あたしの持ってる下着の中で…1番良いやつなの…」
「ふーん。どおりで可愛いわけだ」
「似合ってるか、めっちゃ不安だったけど…良かった…」
フフッと永那が笑う。
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