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7.向
414.舞う
千陽がお腹を抱えて笑う。
「穂、なにこれ」
「し、仕方ないでしょ…。初めてだったんだから…」
私のぎこちないポーズが相当お気に召したようで、涙まで出して笑い始めた。
「可愛すぎ」
囁かれ、キスされる。
「千陽…い、いくらカーテンがあるからって…こんなところで…」
「穂が油断してるのが悪い」
「私のせい?」
「そ」
千陽が満足げに、撮られた写真に何やら書いていく。
私はただそれを見つめていた。
出てきたシール(写真)を半分に分ける。
「便利だね」
「なに言ってんの?穂」
バカにするように笑われた。
「千陽の目、大き過ぎない?」
「元が大きいからね」
“むっ”と目を細めると、千陽がまた笑う。
よく笑ってる千陽を見ると、私まで嬉しくなっちゃうから不思議。
永那ちゃんも、ずっと、こんな気持ちだったのかな?
千陽は1枚を切って、スマホカバーとスマホの間に挟んだ。
「永那、絶対欲しがるだろうなあ」
ニヤニヤしている。
「絶対“今すぐ撮りに行こう”って言い始めるよ?」
「だね。財布にも入れとこ」
「…なんか、お守りみたいだね」
「お守りだよ?」
さも当たり前かのように言われて、顔が火照る。
その後は、当初の目的であった、森山さんのプレゼントと服選びをした。
森山さんへの誕生日プレゼントとして、私は書いても消しゴムや指で消せるシリコンのメモパッドと、それに使用するための油性ボールペンを選んだ。
問題を解く時にちょっと頭の中を整理したい…けど、紙に書くほどでもない…みたいな時に便利そう。
私も欲しいかも…なんて思った。
電子ノートとも迷ったけれど、大きさや性能で悩み、結局やめた。
千陽はコスメと文房具で悩みに悩み、皮のブックカバーとステンドグラスのような栞を買った。
「やっぱり、桜はコスメなんてあげても使わなさそう。使用期限が切れて、少しも使われなかったら嫌だし」と言っていた。
服は、何度も試着を繰り返した。
永那ちゃんとの初デートの時は試着もせずに買ったから、まさかこんなにも試着することになるとは思わなかった。
千陽はそういうところがマメなのだと、初めて知った。
…というか、私が思っていたよりもかなり、千陽はお洒落が好きらしい。
私は、試着はパンツを買う時くらいしかしない。
最近はそれすらも“とりあえずМサイズなら大丈夫か”と買っている。
服を脱ぎ着するのは案外体力がいる。
千陽が満足いくだけの服を着終えた頃には、私はヘトヘトになっていた。
「あたし、昔はこういうこと、たくさんしてたの。最近は他の趣味もできたし、あんまりしてなかったけど」
「他の趣味?」
「ゲーム」
「あ、誉とやってるやつね」
「そ。誉と遊ぶ前は、ファッションくらいしか興味なかったから。遊ぶ友達も少なかったし、ひとりの時間も多かった。だから、暇つぶしがてら、お店に来ては試着して楽しんでた。お店なら、店員がいて、男に声をかけられることも少ないでしょ?」
“男”というのは、ナンパやスカウトのこともあるんだろうけど、昔ストーカーされていた…というのも含まれているんだろうな。
店員さんがいれば、いざという時助けを求められる。
それに、女性服のお店に気軽に入ってこられる男性も少ないだろうから。
「今日、穂と遊べて楽しかった」
タルトを頬張りながら、千陽が言う。
「良かった。私も、楽しかったよ。わかってはいたけど、世の中にはこんなに服があるんだなあって思い知らされたよ」
千陽の瞳が弧を描く。
「千陽、服、選んでくれてありがとう」
「いいえ。こちらこそ付き合ってくれてありがと」
私も、苺のタルトを口に運んだ。
「美味しいね」
「うん。ここ、結構有名なタルト屋さんなんだよ?」
「そうなんだ!…誉にも買って帰ろうかな?」
「いいんじゃない?」
お店を出ると、もう日が暮れ始めていた。
久しぶりに外の空気を吸った気がして、大きく両手を上げて伸びる。
紙袋を3つもぶら下げているのを思い出し、慌てて手を下げた。
来た時よりも人は減ったように思うけど、それでもまだたくさんの人がいた。
「肉フェスがあったみたい」
「ホントだね。いろんなお肉が売ってたってことなのかな?」
「そうじゃない?これから夜ご飯時だから、また人が増えるかもね」
「早く帰ろっか」
千陽が頷く。
2人とも紙袋を腕にかけていたけど、繋いだ手を解くことはなかった。
『写真送ってね♡』
永那ちゃんからのメッセージでハートが入っていると、ちょっと笑っちゃう。
永那ちゃんにハートのイメージがないから。
「千陽、永那ちゃんに写真送ってもいい?」
「うん」
千陽と撮った写真を送る。
永那ちゃんは寝ていることが多いみたいだから、返事は相変わらず遅いけど、前よりは時間に束縛されることなく返事が来ているような気がする。
「もう暗くなってきたし、家まで送ろうか?」
隣に座って、私の肩に頭を乗せている千陽に聞く。
「べつに、この時間なら平気でしょ」
「そう?」
「うん」
「気をつけて帰るんだよ?」
「わかってる」
「穂、なにこれ」
「し、仕方ないでしょ…。初めてだったんだから…」
私のぎこちないポーズが相当お気に召したようで、涙まで出して笑い始めた。
「可愛すぎ」
囁かれ、キスされる。
「千陽…い、いくらカーテンがあるからって…こんなところで…」
「穂が油断してるのが悪い」
「私のせい?」
「そ」
千陽が満足げに、撮られた写真に何やら書いていく。
私はただそれを見つめていた。
出てきたシール(写真)を半分に分ける。
「便利だね」
「なに言ってんの?穂」
バカにするように笑われた。
「千陽の目、大き過ぎない?」
「元が大きいからね」
“むっ”と目を細めると、千陽がまた笑う。
よく笑ってる千陽を見ると、私まで嬉しくなっちゃうから不思議。
永那ちゃんも、ずっと、こんな気持ちだったのかな?
千陽は1枚を切って、スマホカバーとスマホの間に挟んだ。
「永那、絶対欲しがるだろうなあ」
ニヤニヤしている。
「絶対“今すぐ撮りに行こう”って言い始めるよ?」
「だね。財布にも入れとこ」
「…なんか、お守りみたいだね」
「お守りだよ?」
さも当たり前かのように言われて、顔が火照る。
その後は、当初の目的であった、森山さんのプレゼントと服選びをした。
森山さんへの誕生日プレゼントとして、私は書いても消しゴムや指で消せるシリコンのメモパッドと、それに使用するための油性ボールペンを選んだ。
問題を解く時にちょっと頭の中を整理したい…けど、紙に書くほどでもない…みたいな時に便利そう。
私も欲しいかも…なんて思った。
電子ノートとも迷ったけれど、大きさや性能で悩み、結局やめた。
千陽はコスメと文房具で悩みに悩み、皮のブックカバーとステンドグラスのような栞を買った。
「やっぱり、桜はコスメなんてあげても使わなさそう。使用期限が切れて、少しも使われなかったら嫌だし」と言っていた。
服は、何度も試着を繰り返した。
永那ちゃんとの初デートの時は試着もせずに買ったから、まさかこんなにも試着することになるとは思わなかった。
千陽はそういうところがマメなのだと、初めて知った。
…というか、私が思っていたよりもかなり、千陽はお洒落が好きらしい。
私は、試着はパンツを買う時くらいしかしない。
最近はそれすらも“とりあえずМサイズなら大丈夫か”と買っている。
服を脱ぎ着するのは案外体力がいる。
千陽が満足いくだけの服を着終えた頃には、私はヘトヘトになっていた。
「あたし、昔はこういうこと、たくさんしてたの。最近は他の趣味もできたし、あんまりしてなかったけど」
「他の趣味?」
「ゲーム」
「あ、誉とやってるやつね」
「そ。誉と遊ぶ前は、ファッションくらいしか興味なかったから。遊ぶ友達も少なかったし、ひとりの時間も多かった。だから、暇つぶしがてら、お店に来ては試着して楽しんでた。お店なら、店員がいて、男に声をかけられることも少ないでしょ?」
“男”というのは、ナンパやスカウトのこともあるんだろうけど、昔ストーカーされていた…というのも含まれているんだろうな。
店員さんがいれば、いざという時助けを求められる。
それに、女性服のお店に気軽に入ってこられる男性も少ないだろうから。
「今日、穂と遊べて楽しかった」
タルトを頬張りながら、千陽が言う。
「良かった。私も、楽しかったよ。わかってはいたけど、世の中にはこんなに服があるんだなあって思い知らされたよ」
千陽の瞳が弧を描く。
「千陽、服、選んでくれてありがとう」
「いいえ。こちらこそ付き合ってくれてありがと」
私も、苺のタルトを口に運んだ。
「美味しいね」
「うん。ここ、結構有名なタルト屋さんなんだよ?」
「そうなんだ!…誉にも買って帰ろうかな?」
「いいんじゃない?」
お店を出ると、もう日が暮れ始めていた。
久しぶりに外の空気を吸った気がして、大きく両手を上げて伸びる。
紙袋を3つもぶら下げているのを思い出し、慌てて手を下げた。
来た時よりも人は減ったように思うけど、それでもまだたくさんの人がいた。
「肉フェスがあったみたい」
「ホントだね。いろんなお肉が売ってたってことなのかな?」
「そうじゃない?これから夜ご飯時だから、また人が増えるかもね」
「早く帰ろっか」
千陽が頷く。
2人とも紙袋を腕にかけていたけど、繋いだ手を解くことはなかった。
『写真送ってね♡』
永那ちゃんからのメッセージでハートが入っていると、ちょっと笑っちゃう。
永那ちゃんにハートのイメージがないから。
「千陽、永那ちゃんに写真送ってもいい?」
「うん」
千陽と撮った写真を送る。
永那ちゃんは寝ていることが多いみたいだから、返事は相変わらず遅いけど、前よりは時間に束縛されることなく返事が来ているような気がする。
「もう暗くなってきたし、家まで送ろうか?」
隣に座って、私の肩に頭を乗せている千陽に聞く。
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「そう?」
「うん」
「気をつけて帰るんだよ?」
「わかってる」
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