456 / 595
7.向
455.バランス
そのまま寝ることになり、不完全燃焼だったあたしは永那の背中にぴったりくっついた。
あたしが永那を食べたくなっちゃったのがいけないのはわかってるけど、納得いかない。
でも、それを素直に言うと、永那も穂もあたしを受け止めてくれる。
明日が待ち遠しくなった。
“千陽の日”…永那から言ってくれるのが、心の底から嬉しい。
嬉しいまま眠りにつき、朝が来た。
永那が横で寝ている。
ツンツンと指で頬を突く。
ムニャムニャと口を動かすと、口端の涎がキラキラと光った。
可愛い。
あたしもベッドから下りて、洗面台に行く。
歯磨きをしていた穂が場所を譲ってくれたから、顔を洗った。
「9時に朝食だよね?」
「うん」
「今日はどんな予定なんだろう?」
顔を拭いて、化粧品と乳液をつける。
「さあ?」
あたしが知りたいくらい。
穂がうがいをして、あたしも歯磨きをする。
「永那ちゃん、起こしてくるね」
「うん」
歯磨きを終えてベッドルームに戻ると、永那が眼鏡をかけていた。
腰を抜かしそうになる。
壁に手をついて、なんとか平静を装う。
「おはー」
「おはよ…」
左腕を擦りながら、ベッドに行く。
チラリと永那を見ると、目を擦っていた。
大きくあくびをして、ベッドに寝転ぶ。
「永那ちゃん、そのままじゃ、また寝ちゃうよ?」
「ん~…」
どうすればいいかわからず、穂を見た。
穂も困ったように眉をハの字にさせる。
ふぅっと息を吐いて、あたしは立ち上がって、冷蔵庫からオレンジジュースを出した。
歯磨きしたばっかだから本当は口に入れたくないけど…あたしは一口含んで、永那に口づけした。
少しずつオレンジジュースを流し込んでいくと、永那の喉が鳴る。
「うまい」
「起きて…永那…」
「もっとくれ」
もう一口、彼女に注ぎ込む。
注ぎ終えて離れようとすると、首の後ろを掴まれた。
舌が入り込んできて、絡まる。
ジワリと太ももの奥に何かが滲む。
手に持っていたオレンジジュースのペットボトルが、取られる。
穂が蓋を閉めて、サイドテーブルに置くのが視界の端に見えた。
昨日のあの瞬間に戻りたい。
決してやり直したいわけじゃないけど、あの瞬間に戻って、永那があたしを好きでいてくれて、その状態でされてみたい。
穂が戻ってくるのがもっと遅くて、あたしが永那を食べた後に、次は永那があたしを食べるの。
そしたら、どれだけ幸せだろう?
…でも、調子に乗っちゃダメ。
穂がいたから、永那はあたしと向き合ってくれたの。
穂がいなかったら、永那は他の人と同じように、あたしから逃げていた。
あたしは穂のことも大好き。
絶対に忘れてはいけない気持ち。
あの悦びを感じ続けてしまったら、あたしはきっと忘れてしまう。
穂のことを嫌いになるわけじゃない。
でも、好きなことを忘れてしまう。
だから、あの時間に浸り続けなくてよかった…とも思う。
それこそ本当に、バランスが崩れてしまう。
あたし達の、大胆で繊細なバランスが。
オレンジジュースの香りがなくなった頃、首が解放される。
ガラスの奥の薄茶色の瞳が、弧を描く。
「起きた」
「おはよ…」
「おー、おはよー!」
永那が上半身を起こして、ヘッドボードに寄りかかる。
手を引かれて、彼女の膝に座らされた。
「今日は千陽の日だからね」
「…うん」
「お腹鳴っても“ムードない”とか言うなよ?気にしなくていいから」
「うん」
お腹が鳴る可能性があるんだ…。
変な忠告を受けて、頬が緩む。
永那に向き合った状態で穂を探して、あたしは室内を見回す。
「本持って、リビング行ったよ」
囁かれて、唾を飲む。
「永那と…ふたり…?」
「そのうち来るでしょ。それともふたりは嫌?」
首を横に振る。
ニッと彼女が笑って、緩々と唇が重なる。
それは、まるで愛し合うふたりのようで…。
彼女の肩に腕を乗せ、何度も重ねる。
触れ合うたびに、そこから何かが体内に滴り落ちてくる。
子宮がその何かを受け止めるたびにキュッと反応する。
ポタリポタリと、軒に溜まった雫がお皿に落ちていくみたいな、イメージ。
雨が止んだ後の、雫が。
「好き」
「ん」
いつもと同じ反応。
ある意味、安心する。
「昨日、変だった」
「お前が?」
「永那が」
「変じゃないよ」
「変だった」
フッと彼女が笑う。
誤魔化すように、唇を舐められた。
あたしが舌を出すと、チロチロと先端が握手する。
遊ぶように擦れ合って、体の奥の芯に淡い光を灯す。
くびれを擦られ、背を反る。
胸を強調するように。
彼女の手はスルスルと上っていき、乳房に触れた。
「これ、スベスベで気持ちいい」
「でしょ?」
手が何度も上下し、“胸はさわってないよ。生地が気持ちいいから撫でてるだけ”とでも言いたげだ。
何度も撫でられるたびに、突起が浮き出てくる。
彼女はそれを絶対に知っていて、でも気づかないフリをする。
だからあたしも、気づかないフリをする。
あたしが永那を食べたくなっちゃったのがいけないのはわかってるけど、納得いかない。
でも、それを素直に言うと、永那も穂もあたしを受け止めてくれる。
明日が待ち遠しくなった。
“千陽の日”…永那から言ってくれるのが、心の底から嬉しい。
嬉しいまま眠りにつき、朝が来た。
永那が横で寝ている。
ツンツンと指で頬を突く。
ムニャムニャと口を動かすと、口端の涎がキラキラと光った。
可愛い。
あたしもベッドから下りて、洗面台に行く。
歯磨きをしていた穂が場所を譲ってくれたから、顔を洗った。
「9時に朝食だよね?」
「うん」
「今日はどんな予定なんだろう?」
顔を拭いて、化粧品と乳液をつける。
「さあ?」
あたしが知りたいくらい。
穂がうがいをして、あたしも歯磨きをする。
「永那ちゃん、起こしてくるね」
「うん」
歯磨きを終えてベッドルームに戻ると、永那が眼鏡をかけていた。
腰を抜かしそうになる。
壁に手をついて、なんとか平静を装う。
「おはー」
「おはよ…」
左腕を擦りながら、ベッドに行く。
チラリと永那を見ると、目を擦っていた。
大きくあくびをして、ベッドに寝転ぶ。
「永那ちゃん、そのままじゃ、また寝ちゃうよ?」
「ん~…」
どうすればいいかわからず、穂を見た。
穂も困ったように眉をハの字にさせる。
ふぅっと息を吐いて、あたしは立ち上がって、冷蔵庫からオレンジジュースを出した。
歯磨きしたばっかだから本当は口に入れたくないけど…あたしは一口含んで、永那に口づけした。
少しずつオレンジジュースを流し込んでいくと、永那の喉が鳴る。
「うまい」
「起きて…永那…」
「もっとくれ」
もう一口、彼女に注ぎ込む。
注ぎ終えて離れようとすると、首の後ろを掴まれた。
舌が入り込んできて、絡まる。
ジワリと太ももの奥に何かが滲む。
手に持っていたオレンジジュースのペットボトルが、取られる。
穂が蓋を閉めて、サイドテーブルに置くのが視界の端に見えた。
昨日のあの瞬間に戻りたい。
決してやり直したいわけじゃないけど、あの瞬間に戻って、永那があたしを好きでいてくれて、その状態でされてみたい。
穂が戻ってくるのがもっと遅くて、あたしが永那を食べた後に、次は永那があたしを食べるの。
そしたら、どれだけ幸せだろう?
…でも、調子に乗っちゃダメ。
穂がいたから、永那はあたしと向き合ってくれたの。
穂がいなかったら、永那は他の人と同じように、あたしから逃げていた。
あたしは穂のことも大好き。
絶対に忘れてはいけない気持ち。
あの悦びを感じ続けてしまったら、あたしはきっと忘れてしまう。
穂のことを嫌いになるわけじゃない。
でも、好きなことを忘れてしまう。
だから、あの時間に浸り続けなくてよかった…とも思う。
それこそ本当に、バランスが崩れてしまう。
あたし達の、大胆で繊細なバランスが。
オレンジジュースの香りがなくなった頃、首が解放される。
ガラスの奥の薄茶色の瞳が、弧を描く。
「起きた」
「おはよ…」
「おー、おはよー!」
永那が上半身を起こして、ヘッドボードに寄りかかる。
手を引かれて、彼女の膝に座らされた。
「今日は千陽の日だからね」
「…うん」
「お腹鳴っても“ムードない”とか言うなよ?気にしなくていいから」
「うん」
お腹が鳴る可能性があるんだ…。
変な忠告を受けて、頬が緩む。
永那に向き合った状態で穂を探して、あたしは室内を見回す。
「本持って、リビング行ったよ」
囁かれて、唾を飲む。
「永那と…ふたり…?」
「そのうち来るでしょ。それともふたりは嫌?」
首を横に振る。
ニッと彼女が笑って、緩々と唇が重なる。
それは、まるで愛し合うふたりのようで…。
彼女の肩に腕を乗せ、何度も重ねる。
触れ合うたびに、そこから何かが体内に滴り落ちてくる。
子宮がその何かを受け止めるたびにキュッと反応する。
ポタリポタリと、軒に溜まった雫がお皿に落ちていくみたいな、イメージ。
雨が止んだ後の、雫が。
「好き」
「ん」
いつもと同じ反応。
ある意味、安心する。
「昨日、変だった」
「お前が?」
「永那が」
「変じゃないよ」
「変だった」
フッと彼女が笑う。
誤魔化すように、唇を舐められた。
あたしが舌を出すと、チロチロと先端が握手する。
遊ぶように擦れ合って、体の奥の芯に淡い光を灯す。
くびれを擦られ、背を反る。
胸を強調するように。
彼女の手はスルスルと上っていき、乳房に触れた。
「これ、スベスベで気持ちいい」
「でしょ?」
手が何度も上下し、“胸はさわってないよ。生地が気持ちいいから撫でてるだけ”とでも言いたげだ。
何度も撫でられるたびに、突起が浮き出てくる。
彼女はそれを絶対に知っていて、でも気づかないフリをする。
だからあたしも、気づかないフリをする。
あなたにおすすめの小説
小さくなって寝ている先輩にキスをしようとしたら、バレて逆にキスをされてしまった話
穂鈴 えい
恋愛
ある日の放課後、部室に入ったわたしは、普段しっかりとした先輩が無防備な姿で眠っているのに気がついた。ひっそりと片思いを抱いている先輩にキスがしたくて縮小薬を飲んで100分の1サイズで近づくのだが、途中で気づかれてしまったわたしは、逆に先輩に弄ばれてしまい……。
会社のイケメン先輩がなぜか夜な夜な私のアパートにやって来る件について(※付き合っていません)
久留茶
恋愛
地味で陰キャでぽっちゃり体型の小森菜乃(24)は、会社の飲み会で女子一番人気のイケメン社員・五十嵐大和(26)を、ひょんなことから自分のアパートに泊めることに。
しかし五十嵐は表の顔とは別に、腹黒でひと癖もふた癖もある男だった。
「お前は俺の恋愛対象外。ヤル気も全く起きない安全地帯」
――酷い言葉に、菜乃は呆然。二度と関わるまいと決める。
なのに、それを境に彼は夜な夜な菜乃のもとへ現れるようになり……?
溺愛×性格に難ありの執着男子 × 冴えない自分から変身する健気ヒロイン。
王道と刺激が詰まったオフィスラブコメディ!
✽全28話完結
✽辛口で過激な発言あり。苦手な方はご注意ください。
✽他誌にも掲載中です。
✽2026.4/11 エブリスタ用に使用している表紙に変更しました。
→表紙はイラストをGrok タイトルをChatGPTでAI生成しています。
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
ちょっと大人な物語はこちらです
神崎 未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な短編物語集です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではGemini PRO、Pixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
身体だけの関係です‐三崎早月について‐
みのりすい
恋愛
「ボディタッチくらいするよね。女の子同士だもん」
三崎早月、15歳。小佐田未沙、14歳。
クラスメイトの二人は、お互いにタイプが違ったこともあり、ほとんど交流がなかった。
中学三年生の春、そんな二人の関係が、少しだけ、動き出す。
※百合作品として執筆しましたが、男性キャラクターも多数おり、BL要素、NL要素もございます。悪しからずご了承ください。また、軽度ですが性描写を含みます。
12/11 ”原田巴について”投稿開始。→12/13 別作品として投稿しました。ご迷惑をおかけします。
身体だけの関係です 原田巴について
https://www.alphapolis.co.jp/novel/711270795/734700789
作者ツイッター: twitter/minori_sui
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。