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7.向
477.序開
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「ひそかちゃん!」
「あ…杏奈ちゃん…」
「どんな漫画読むの?」
まさか声をかけてもらえると思わなくて、キョドってしまう。
好きな少女漫画を言うと、「えー!私も好き!全巻持ってるよ!」と、意外にも話が合ってホッとした。
「てか、ひそかちゃん、なんでこの学校にしたの?」
「え…」
「私はね、第一志望の高校落ちちゃって…第二志望だったここにしたって感じ」
「そうなんだ…。ひそかは、その…知り合いがいて…」
「知り合い?同級生?」
「ううん…。先輩」
「先輩か!!何年生?」
「3年生」
「へー!中学一緒ってこと?」
「ううん。友達の中学の先輩で…」
「友達経由で知り合ったって感じなんだ?」
「うん…!」
思い出すと、つい口元が緩む。
「え~…待って…。もしかして、恋人?」
「え!?ち、ちが……ちが…わない…けど…」
「マジ!?やば!!」
心臓がドクドクと音を鳴らす。
「ま、まだ…!」
「まだ?」
「恋人に…なる…予定…だから…」
ハーッと音を立てて、杏奈ちゃんが大きく口を開けて空気を吸い込んだ。
「マジでひそかちゃんやばい!ウケる!私、応援するわ!」
「ありがと…」
会話をしていると、保護者が教室内に入ってきて、立っていた生徒達が各々席に戻った。
担任から挨拶があって、そのまま全員で食堂に行き、教材や体育館用品の購入をした。
お母さんとお父さんが先生に話したいと言うから、ひそかは暇つぶしに校内を歩くことにした。
「先輩、酷いです」
「ごめんね」
段ボールを持った2年生らしき人と、生徒会長が歩いていた。
「普通は先輩から声をかけてくれるものですよ?私、余計に傷つきました」
「その…私が触れるべき話題じゃないと思って…」
「日住君が先輩を好きだからですか?」
恋話に興味を抱いて、つい出来心で、こっそり2人の後をつけることにした。
生徒会長が気まずそうに頷く。
「でも先輩が相談に乗ってくれていたんだから、先輩には私を慰める義務があるはずです」
「そうかなあ?」
「そうです。先輩は冷たすぎます」
「…ごめんなさい」
「先輩だけ…先輩だけ上手くいっていて、ものすごく八つ当たりしたい気分です」
「八つ当たりはやめてほしいな」
「したいです」
生徒会長が2年生の人から一歩距離を置く。
「具体的にはどんなことをするの…?」
「2人のデートを邪魔します」
2年生の人が生徒会長に近づく。
「だめ」
「邪魔するというのは冗談で、お2人のデートを今後の参考にしたいんです」
「参考か…」
「あと、両角先輩ともっとお話してみたいです」
ゴクリと唾を飲む。
両角先輩…。永那先輩のことだ…。
「昼休みに食堂に来ればいいんじゃない?」
「佐藤先輩とかもいますよね?空井先輩、ふざけてるんですか?3年生に囲まれて話すなんて、私には無理です」
生徒会長が苦笑する。
…昼休みに食堂に行けば、永那先輩に会えるってこと?
「じゃあ…仕方ないから、永那ちゃんに聞いてみるね。金井さんが私達のデートの邪魔をしてもいいか」
「ありがとうございます」
2年生の人がニヤリと口角を上げた。
「で、どうしたんですか?1年生ですよね?」
急に振り向かれて、硬直する。
「え!?あ…もしかして、迷ったのかな?」
生徒会長はひそかに気づいていなかったらしく、心底驚いたような表情を浮かべた。
2人がひそかに近づいてきて、瞬きも忘れるほどの緊張が走る。
「大丈夫?」
生徒会長…。間近で見ると、すごく…大人っぽくて、綺麗な人…。
優しそうで、頭も良さそうで…永那先輩が…デートする相手…?
「保護者の方とはぐれたの?」
全身が冷たくなっていく。
日の当たらない廊下は春でも肌寒い。
「行きたい場所があるなら、案内するけど…」
「…答えませんね」
何か…何か、答えないと…。答えないといけないのに…何も出てこない。
いや…永那先輩のことを…聞きたい。でも、聞けない。聞きたくない。
「えーっと…とりあえず、今教材の購入とかしてるはずだから、食堂に行こっか。金井さんは荷物、生徒会室に置いてきて」
「はい」
金井先輩が歩き出そうとするから、「あ!!」と思わず大声を出した。
…この人と、2人きりになりたくない!
「せ、生徒会に興味があって!!」
「え!?本当に!?」
生徒会長が目を見開いて、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「迷子じゃなかったの…?」
「迷子じゃ、ないです…」
「そっか!じゃあ…生徒会室行ってみる?」
「え!?…あ、はい」
それから中学の時のことを聞かれたり、生徒会の活動について説明されたり、生徒会の人達に紹介されたりと、もう既に入ることが決定されてしまったかのようだった。
永那先輩と同じ部活に入りたかったのに…。
お母さんから鬼のように電話がかかってきて、ひそかは慌てて食堂に戻った。
先輩達はすごく申し訳なさそうにしていたけど、ひそかが“生徒会に興味がある”なんて言ってしまったことが原因だから、なんとも言えない気持ちになった。
「あ…杏奈ちゃん…」
「どんな漫画読むの?」
まさか声をかけてもらえると思わなくて、キョドってしまう。
好きな少女漫画を言うと、「えー!私も好き!全巻持ってるよ!」と、意外にも話が合ってホッとした。
「てか、ひそかちゃん、なんでこの学校にしたの?」
「え…」
「私はね、第一志望の高校落ちちゃって…第二志望だったここにしたって感じ」
「そうなんだ…。ひそかは、その…知り合いがいて…」
「知り合い?同級生?」
「ううん…。先輩」
「先輩か!!何年生?」
「3年生」
「へー!中学一緒ってこと?」
「ううん。友達の中学の先輩で…」
「友達経由で知り合ったって感じなんだ?」
「うん…!」
思い出すと、つい口元が緩む。
「え~…待って…。もしかして、恋人?」
「え!?ち、ちが……ちが…わない…けど…」
「マジ!?やば!!」
心臓がドクドクと音を鳴らす。
「ま、まだ…!」
「まだ?」
「恋人に…なる…予定…だから…」
ハーッと音を立てて、杏奈ちゃんが大きく口を開けて空気を吸い込んだ。
「マジでひそかちゃんやばい!ウケる!私、応援するわ!」
「ありがと…」
会話をしていると、保護者が教室内に入ってきて、立っていた生徒達が各々席に戻った。
担任から挨拶があって、そのまま全員で食堂に行き、教材や体育館用品の購入をした。
お母さんとお父さんが先生に話したいと言うから、ひそかは暇つぶしに校内を歩くことにした。
「先輩、酷いです」
「ごめんね」
段ボールを持った2年生らしき人と、生徒会長が歩いていた。
「普通は先輩から声をかけてくれるものですよ?私、余計に傷つきました」
「その…私が触れるべき話題じゃないと思って…」
「日住君が先輩を好きだからですか?」
恋話に興味を抱いて、つい出来心で、こっそり2人の後をつけることにした。
生徒会長が気まずそうに頷く。
「でも先輩が相談に乗ってくれていたんだから、先輩には私を慰める義務があるはずです」
「そうかなあ?」
「そうです。先輩は冷たすぎます」
「…ごめんなさい」
「先輩だけ…先輩だけ上手くいっていて、ものすごく八つ当たりしたい気分です」
「八つ当たりはやめてほしいな」
「したいです」
生徒会長が2年生の人から一歩距離を置く。
「具体的にはどんなことをするの…?」
「2人のデートを邪魔します」
2年生の人が生徒会長に近づく。
「だめ」
「邪魔するというのは冗談で、お2人のデートを今後の参考にしたいんです」
「参考か…」
「あと、両角先輩ともっとお話してみたいです」
ゴクリと唾を飲む。
両角先輩…。永那先輩のことだ…。
「昼休みに食堂に来ればいいんじゃない?」
「佐藤先輩とかもいますよね?空井先輩、ふざけてるんですか?3年生に囲まれて話すなんて、私には無理です」
生徒会長が苦笑する。
…昼休みに食堂に行けば、永那先輩に会えるってこと?
「じゃあ…仕方ないから、永那ちゃんに聞いてみるね。金井さんが私達のデートの邪魔をしてもいいか」
「ありがとうございます」
2年生の人がニヤリと口角を上げた。
「で、どうしたんですか?1年生ですよね?」
急に振り向かれて、硬直する。
「え!?あ…もしかして、迷ったのかな?」
生徒会長はひそかに気づいていなかったらしく、心底驚いたような表情を浮かべた。
2人がひそかに近づいてきて、瞬きも忘れるほどの緊張が走る。
「大丈夫?」
生徒会長…。間近で見ると、すごく…大人っぽくて、綺麗な人…。
優しそうで、頭も良さそうで…永那先輩が…デートする相手…?
「保護者の方とはぐれたの?」
全身が冷たくなっていく。
日の当たらない廊下は春でも肌寒い。
「行きたい場所があるなら、案内するけど…」
「…答えませんね」
何か…何か、答えないと…。答えないといけないのに…何も出てこない。
いや…永那先輩のことを…聞きたい。でも、聞けない。聞きたくない。
「えーっと…とりあえず、今教材の購入とかしてるはずだから、食堂に行こっか。金井さんは荷物、生徒会室に置いてきて」
「はい」
金井先輩が歩き出そうとするから、「あ!!」と思わず大声を出した。
…この人と、2人きりになりたくない!
「せ、生徒会に興味があって!!」
「え!?本当に!?」
生徒会長が目を見開いて、嬉しそうに笑みを浮かべる。
「迷子じゃなかったの…?」
「迷子じゃ、ないです…」
「そっか!じゃあ…生徒会室行ってみる?」
「え!?…あ、はい」
それから中学の時のことを聞かれたり、生徒会の活動について説明されたり、生徒会の人達に紹介されたりと、もう既に入ることが決定されてしまったかのようだった。
永那先輩と同じ部活に入りたかったのに…。
お母さんから鬼のように電話がかかってきて、ひそかは慌てて食堂に戻った。
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