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第一章・ホステス麻薬事件。10

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 そんなはずはない。やっぱり怪しいぞ……これは。
 俺は、警戒をしながらも頭を下げると言われた通りにドンペリを持って行く。

 その後もつまみや別の酒もじゃんじゃん頼む始末。どう考えても不自然な盛り上がり方だった。その内に酔っぱい機嫌が良くなる篠田。
 この隙に何か情報が手に入らないかな?
 俺は、様子を伺っていると入り口の方で何やら女性の方が騒いでいた。誰か来たのだろうか?
 不思議に思って見ていたら……えっ? 何と神崎さんが現れた。えぇっ? 何で?

 どうやら客として来たようだった。イケメンの神崎さんの登場に周りのキャバ壌の人達は、キャアキャアと大騒ぎ。まぁ、そうなるのも当然だろう。
 普段は、ワイシャツにズボンと腰までのエプロンしか見たことがなかったが、高級そうな黒いスーツ姿を着ていた。高身長にモデルのようにスタイルがいい。後ろ髪もほどいていた。驚くほどキマッている。
 席に案内されて座るが、丁度篠田と席が近い。もしかして近くで監視するために来たのだろうか?
 俺が居るのに……。と思ったが頼りないと思ったのかもしれない。
 すると俺と目が合うとニヤリと笑う。そして俺を手招きしてきた。えっ?
来いって? 意味が分からなかったが呼ばれたから向かう。

「何でしょうか?」

「ボーイ。ここで一番高い酒を持ってきて。そうだなぁ……指名は、ナンバー1がいい」

「えっ? あ、はい。かしこまりました」

 まさかの注文に驚いてしまう。ドンペリ!?
 しかも指名がナンバー1って……大丈夫だろうか?
 言って悪いがあのお店は、そんなに儲からないのでは? いくら探偵事務所を副業でやったとしても。
 俺は、不安になりながらも神崎さんを見るとクスッと笑っていた。
 まるで見透かされている気分だ。うっ……と思ったが我慢して頭を下げて戻る。
 しばらくしてドンペリを持って行くとすでにナンバー1であるミキさんが席に着いていた。何やら盛り上がっている。他のキャバ嬢達も集まってきた。
 するとそれを見て気に入らなくなった篠田が「俺にもドンペリ追加だ!」と豪語してきた。周りは、それを聞いてざわつく。
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