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第六章・四神会射殺事件。6

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 何故、大阪なのかは事件が遭った白虎組を訪れて、調査をすることにしたからだ。 
 まず、どのように射殺されたのか調べないといけない。
 俺達だけだと警察の情報を貰えないから独自で調べるしかない。それに神崎さんと一緒だったとしても、俺を連れて大阪に来ていただろう。
 支度を終わらせると東京駅に向かい新幹線に乗り込んだ。何時間もかけて大阪に向かう。

 しばらくして着くと、近くのホテルで一泊をして次の日には百城組の自宅周辺に向かった。広い屋敷の出入り口の周辺には、多くの取材陣。
 俺は、辺りを見渡した。離れた所にマンションやビルが建っていて、近くには、住宅が何軒かある。

「住宅もあるし、警備も厳重にしていたら近くでは狙えないだろうね」

 伊波君の言葉に納得する。確かに、この厳重なところでは狙いにくいか。
 それにライフル銃だと言われてたし、そういうのは本来遠くから獲物を狙うものだ。うん? だとしたらビルやマンションの屋上では!?
 俺は、慌ててビルやマンションを見渡した。こちらから見える建物だけでもいくつもある。大阪は都会だし、それを探すのはかなり骨が折れそうだ。

「犯人は、ビルかマンションの屋上から組長を狙ったんじゃないかな?」

「屋上? あっ……確かにそうかも知れないね。それなら遠くから狙えるし。でも高いマンションやビルは多いね」

「仕方がない。一つ一つ見て行こう。それに聞き込み。もしかしたら近くで怪しい人物を見た人が居るかもしれない」

 あーだこーだと言っていても仕方がない。
 まずは、俺の出来ることから始めよう。そうすれば、いい情報が手に入るかもせない……。
 とりあえず狙いやすそうな高さのビルやマンションを一つ一つ見に行くことに。周辺にも聞き込みをするのだが、すでにその辺は警察の人も聞いて回っていた。

 しかし、どの声も同じだった。怪しい人は、見ていないと……。
 ビルやマンションも立ち入り禁止が多く、こじ開けて入ったとしても痕跡で分かるだろう。うーん。何かがおかしい。
 俺は、何か大事なことを見落としているような気がしていた。
 大阪は、人口も多いし観光客も多い。その中に知らない人が紛れ込んでも分かりにくい。すると二人のおばさんが俺達に声をかけてきた。
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