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第六章・四神会射殺事件。8

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 そう言いながらPCウォッチを使い画像を出してくれた。芸人のことは、詳しくないが有力な証言だ。俺は、すぐにその写真を赤外線で送ってもらう。

「えっ? どういうこと? 立花君。犯人の情報を何か分かったのかい?」

「うん。犯人は、見た目だと怪しくもない普通の人なんだと思う。でも、それが落とし穴なんだ。赤薔薇会は、普通で犯罪に加担しそうな人物を利用する」

「普通で犯罪に加担しやすそうな人? えっ……どういう意味?」

「俺達は、怪しい犯人ばかりに気を取られていたんだ。まず『怪しい人を見ませんでしたか?』と聞かれたら、普通は怪しい人だけ思い浮かべるだろう? よく周りに居る知っている人は除いて。先入観だけで選んでも裏の性格を知る訳ではないから、人は見落としやすい」

 そう……それが狙いなんだ。
 よほどおかしな行動をしていない限りは、その辺で歩いている通行人を疑ったりしないだろう。記憶力がいいとか特徴がない限り覚えてもいない。
 つまり通行人に紛れてしまえば誰も分からなく犯行がしやすくなる訳だ。
  そうと気づけば俺達は他にも、その男子高校生のことで聞き込みを開始する。

 すると同じ少年を見たことがあるって人が居たり、その中に彼のことをよく知る人物が現れた。しかし彼は、高校生ではないと言われた。
 その人物は、平山巧ひらやまたくみ。まさかの大学生4年生だった。大阪の大学に通うために、こちらに上京したらしい。

 なるほど……その時点で、すでに調査を混乱させている。しかし、あの赤薔薇会の事だ。それも楽しんでいるかもしれない。
彼が、どうやって赤薔薇会と接触したか分からない。しかし少しでも、そういう願望がある人なら、それを勧誘して犯行にさせることは出来たはずだ。
 いざとなったら『華の雫』も使える事だし……。

「まずは、その平山巧の居場所を早く見つけよう」

「うん。そうだね」

 近くから犯行を及んだとしても次のターゲットを狙っているかもしれない。
 四神会は、残り3人も居る一人で終わらすのならいいが、日本を混乱や侵略を狙っているとしたら、新たに狙う可能性が高いはず。
 俺は、慌ててPCウォッチからリカコさんにメールを送った。
 前の時に番号などを交換していた。平山巧の個人情報と居場所を突き止めてほしいと。真相も伝えておいたが。後は、返事を待つだけ……。
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