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第七章・記憶喪失。10

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 時間を見ると丁度昼休みだ。学校に着くと何やら、外の方で揉めている声が校舎裏から聞こえてきた。誰が居るのだろうか?
 覗いてみると堀内瑞穂と岸谷ほのかが揉めていた。

「あの掲示板載せたのあんたでしょ!? 私そんなことしてないし、デマ書いてんじゃねぇ~よ。どーせ、薬とかあんたが売ってんでしょ?」

「違う……私じゃない」

「じゃあ誰があんな書き込みするって言うのよ? そんな陰険なことするのあんたしか居ないじゃん」

 どうやらあの掲示板のことで揉めているらしい。
 堀内瑞穂は、岸谷ほのかが載せたのだろうと思っているようだった。
 確かにあれだけイジメていたら、書きたくもなる。それに自分もやっているのに。
 おっと……いけない。止めないと。

「君達。何を揉めているんだ? やめなさい」

 俺は、慌てて間に入り喧嘩を止めた。
 しかし堀内瑞穂は、それが気に入らなかったのかギロッと俺まで睨まれてしまう。
 そしてプイッとそっぽを向くと行ってしまった。うわぁ~怖ぇ~!!

「えっと……岸谷さんも大丈……」

「あんな奴……絶対に許さない。死ねばいいのよ」

 えっ? すると岸谷ほのかは、そう呟くと行ってしまった。
 俺は唖然とする。今の聞き間違い? いや、しかし確かに死ぬばいいって……。
 どうやら思った以上に揉めていた。
 堀内瑞穂グループの陰険なイジメも気になるが、岸谷ほのかの行動の方が気になった。良くないことが起きそうな気がして胸騒ぎがする。
 しかし、その胸騒ぎは、現実のものになる。
 あの掲示板のことが噂となり、その他にも酷いイジメをしている写真を掲示板に載せられて周りに明るみになる。すると周りからも白い目で見られるように。

 それが原因で生徒指導からも呼び出しがあった。
 堀内瑞穂は、元々イジメっ子のリーダーだったから、周りは何も言わなかったが、それが機に周りも離れていった。自然と孤立していく。
 あの仲良しだった青木梨奈と林舞夏も関わりたくないのか離れて行った。
 あっという間に立場が逆転した。これが人間関係で1番怖いところだ。
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