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第七章・記憶喪失。11

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 いつ誰がどうなるか分からない。
 廊下で暗い表情で歩いている彼女を見て可哀想になっていく。
 俺がどうにか出来ないだろうか?
 せめて犯人じゃないと分かれば一部の誤解は解けるのに。
 そう思っていると近くでクスクスと笑う声が聞こえてきた。

 誰が? と思い振り向くと岸谷ほのかだった。
 いい気味だと言わんばかりに不敵な笑みを溢していた。それを見た瞬間、背筋がゾッと凍るような感覚がした。
 あのイジメの写真を掲示板に載せたのは間違いなく、彼女だろう。
 早く彼女を止めないと、もっと酷い復讐をするかもしれない。
そう思えるほどの恐怖を感じた。
 とにかく説得しよう。俺は、放課後になると慌てて岸谷ほのかを捜した。
おかしいなぁ……居ない?

 放課後の校舎には誰も居なくなっていたが机にカバンは、まだ置いてあった。
 周りが暗くなり体育倉庫の電気がついた。もしかしてそこに居るのか?
慌てて向かうと堀内瑞穂が居た。しかし何だか様子が変だ。
 それに岸谷ほのかともう一人。誰だ…アイツは!?
 半分のキツネのお面をつけた怪しい男と一緒に居た。すると仮面の男は、クスッと笑う。

「さぁ堀内瑞穂を『華の雫』でトランス状態にしておいた。後は、君が彼女に指示を出して自殺させろ。そして掲示板の罪を全て彼女のせいに。実に復讐に相応しい末路だろう?」と言ってきた。

 えっ!? じゃあ……犯人は、あの仮面の男と岸谷ほのかだったのか? 薬も?
 すると岸谷ほのかは、ニヤリと笑うと堀内瑞穂に向かっていく。

「さぁ『アロマ』よ……堀内瑞穂。自害しなさい!」

 そう彼女に命令する。そうしたらどういうことだろうか。
 堀内瑞穂は、ボーとしながらも銃口を自分の頭に向けてきた。
 えっ……これって、どういうことだよ!?
 そして引き金を引こうとする。あ、ダメだ!!
 俺は、無我夢中で飛び込んでいく。必死に堀内瑞穂の右腕を掴み拳銃を取り上げようとする。彼女は、驚きながらも抵抗してきた。

「ちょっと、勝手に計画の邪魔しないでよ!?」
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