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第七章・記憶喪失。15

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「じゃあ、またね。 バイバイ……2人共」

 仮面の男は、ニヤリと笑うと岸谷ほのかを人質に取ったまま歩き出し、体育倉庫から出て行った。
 堀内瑞穂は、構わずに俺達に向かって金属バットを振り回してくる。
 神崎って人は、慌てて避ける。
 俺は、どうしたらいいか分からずオロオロしていた。
 早くあの仮面の男を捕まえなくては岸谷さんが。でも……この人が。
どうやらこの神崎って人は、犯人ではなかったようだ。

 何処かで良かったとホッとしている自分に気づき驚く。何で……?
 怖い人のはずなのに、この人の事が気になって仕方がない
 早く追いかけないといけないのに。この気持ちに戸惑い、どうしたらいいか戸惑ってしまう。俺どうしたら……。

「何をやっているんだ!? 早く逃げろ」

「えっ……でも」

「いいから。俺のことは放っておいて逃げろ。お前は、俺が絶対に守ってやるから」

「……かんざき……さん」

 何故だろうか? その言葉に涙が出てきた。
あれ? 前にも似たような光景があったような? 何処だったけ……?
 少しずつだが霧が晴れていく。俺は……。

「立花。早く行け!!」

 俺は立ち上がると、そのまま体育倉庫から出て行く。
 逃げている訳ではない。あの仮面の男を追いかけに。
 どうしてなのかまだ、記憶が曖昧だが。でも、そうしないといけない気がした。だって……俺は。
 廊下を走っていると、あの仮面の男を見つける。すでに外に居ていた。
 岸谷ほのかは気絶させられ、大男に抱きかかえられていた。 

「待て。その子を返せ!!」

 俺は、必死に大声で叫んだ。すると仮面の男は、俺に気付き振り返ってきた。
 余裕の表情をみせながら。

「おや? 君が追いかけてきたか。もしかして記憶でも戻ったかな?」

「違う……でも、そうしないといけない気がして。とにかく、その子を返せ。彼女は俺の生徒だ!」
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