王の愛は血より濃し 吸血鬼のしもべ第2部

時生

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第二章 月ニ鳴ク獣

第三十一話 奇貨を愛でる(1)※

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 月鳴は大股を開いて、浴槽の縁に腰かけた淘乱の上に乗っていた。背中から淘乱とうらんに抱きかかえられ、後背位でがくがくと揺さぶられている。

「あー、あっ、あっ、うぅ……」
「ちゃんと掴まって」

 大きく開いた左足は浴槽の縁に置き、右足は床につま先だけが触れる状態で、ぶらぶらと揺れている。腕を後ろに回して淘乱の首にかけるが、揺さぶられると腕が外れる。大きな陰茎を根元まで挿入された状態で逃げ場もなく、弱いところを突かれるたびに月鳴は前に倒れそうになり、ゆすり上げられる。

 挿入されたままなので、中のものが予想もつかない動きをして、月鳴を翻弄した。ぎゅ、ぎゅ、と月鳴は淘乱を絞る。入り口は痺れてずっと熱い。

「ちょっと中が硬いな。月鳴ちゃんちょっと目を見て」
「これ以上、きついよ……、と、けちゃう」
「溶かしてあげるから、ほら」

 快楽で頭がぼうっとすることを体が酸欠と判断したためか、忙しなく息を吸ってしまう。果ててしまいそうなのを逃すように懸命に息を吐いて、月鳴は背後を見る。一瞬目が合った。それだけなのにずん、と足元の底が抜けたような感覚がする。すぐにふわっと浮き上がった。頭がとろとろに熱い。
 月鳴の芯を持った男根から白い蜜が流れ落ちる。

「あー……」
「あら、射精しちゃってる。んー、でもいいよぉ。とろっとろ。ねぇ月鳴ちゃんぎゅっぎゅってして♡」
「ぎゅ、こう?」
「そう。あ、きた……もっと締めて。もっともっと」
「ぬいたらはいんなくなるよ……」

 締めろと言いながら、淘乱がずるずると陰茎を引き抜く。月鳴の媚肉がきゅうっと絞まる。ぴったりと閉じきる直前、亀頭だけを月鳴に残していた淘乱が一気に腰を進めた。
 淫眼いんがんによってずぶずぶに溶け切っていた媚肉が淘乱の雄にこすり上げられ、強烈な快感に焼き尽くされた。月鳴の背がびん、と硬直したかと思うと、一瞬の間の後全身が小刻みに震えだした。

「……っ、ん……、くっ!」

 長い絶頂の最中も、先を前立腺に当てたまま淘乱が小さく陰茎を振る。直腸の振動に絶頂が収まらず、月鳴は前のめりになって口を開いた。だ液の糸が落ちる。目は潤んで下がり、頬は上気している。至福の表情だった。

 絶頂を貪る月鳴の腿の下に淘乱は手のひらを滑り込ませた。力のない月鳴の体をぐいっと持ち上げる。ゆっくりと夢王の陰茎が抜け出て、月鳴から解放された瞬間びんっと跳ね上がった。排泄の刺激すら、今の月鳴には強烈な媚薬だ。一声叫ぶと、びゅっと精液を噴き出した。

「お漏らししすぎでしょ。前ゆるすぎだよ」

 淘乱が精を吐き、真っ赤に腫れている月鳴の雄を握った。二度放出した精液が淘乱の手つきを滑らかにする。

「や! やめて淘乱、やめてよぉ。イくから、また、だめだってば。だめだってぇ……!」

 全身真っ赤になった月鳴が泣きだすも、淘乱は笑うばかりで手は止まらない。声が上ずり、高くなっていく。
 月鳴は淘乱の腿の上で何度も腰を浮かし、尻がぶるるっと痙攣を繰り返した。やがて、月鳴がぐぐぅっと唸った。

「さ、鳴いてごらん」
「いや、――ぁ、ぁあああぁああぁぁ!!」

 月鳴は透明な潮を吹きながら、高い叫び声をあげた。それはわずかにかすれてはいるが、決してひび割れたものでもなく、耳をつんざくような痛々しさはない。
 月鳴が限界まで快感に浸った時に放つこの声を、囀りさえず、と称する者がいた。どこか甘えを帯びた囀りを放つ月鳴についたあだ名は「月に鳴く鳥」だった。

「あぁ、あ、で、ちゃった」
「はー、かわいかった。さーてお潮流して寝台に行くよぉ♡」
「しんじゃう」

 淘乱の腕を離れ、洗い場に這いつくばりながら月鳴は震え声を出す。無理だと繰り返す口とは裏腹に、ぎゅうぎゅうと後孔が欲しがっているのが分かる。浅く指を差し入れるだけで、ちゅうっと吸い付いてくるのだ。ぽろりと、月鳴の目じりから理由の分からぬ涙が落ちる。

「も、きもちいいの限界……」
「だってこっちはまだイってないから、だめぇ。さて体流して」

 淘乱が尻にゆっくりと湯をかける。じわぁっと広い範囲を愛撫されているように感じ、腰が砕けた。

「イきそ……」
「はまっちゃったねぇ。いっぱい鳴こうね」

 ぐったりと淘乱に身を預けながら、月鳴は黙り込む。くちづけられ、観念したように「やさしくして」とつぶやいた。
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