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◆ 第二章 異邦への旅路
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馬車は、私たちを乗せてゆっくりと進んでいた。
まだ旅は始まったばかりだというのに、随分と色々なことを経験したように思う。外の世界には、私の知らないことが数多存在していた。どれほど小さい世界で生きていたのかを、思い知らされた。
これから向かう黄原は清玄の北に位置する地域の中では、比較的大きい街だった。黄玄県の中心であり、国王より使命された県令が県政を行う場所でもあった。
黄玄県の県都が黄原だなんて、同じ音で混同してしまいそうだと戸惑ったが、どうやら、元からの地名が黄原であり、のちに県名として黄玄という名がついたのだそうだ。
玄、という字はこの国では特別な字だった。尊い黒を、直接名指さず、それでいてその色を示す言葉。諱の概念に近い。玄という字は、よく重要な地名に用いられる。王都である清玄然り、だ。
陽も落ち始め、暗くなっていく世界の中にあって、黄原は光を有していた。清玄の城下町に近い空気がある。活気に満ちているのだ。清玄と黄玄の狭間に位置する草霧を通過して、景色は徐々に変わり、ついにはここまで変わり果てた。
一定間隔で配置された提灯が街中を煌々と照らす。灯りと灯りの間の道を、馬車が通り抜けていた。左右を囲う人々は、嬉々とした目でこちらを見ており、どうやら私の来訪は知れ渡っているらしかった。
右を見ても左を見ても、立ち並ぶのは溌剌とした雰囲気の店ばかりだ。飲食の店であったり、宿であったりは様々だが、陽が落ちてもその賑わいが消えることはなく、むしろその勢いは増すようだった。
「凄い賑わいだな」
その感想は、口からぽとりと落ちて行った。
「ずっと口を開けて外を見てたぞ」
清玖が笑いながらそんなことを言うので、私は少しばかりむっとしながら口を真一文字に閉じた。
「県都だし、人が集まり易いんだろうな」
「前に蛍星に連れて行ってもらった清玄の城下町に、負けずとも劣らない賑わいだ」
「宮様。この道は、朝は市が立ち、夜はこのように別の賑わいを有する、二つの顔を持つ道となっております。黄原は、作物の流通で街が興り、今では多種多様な品々がこの場所を行き交うのです。この道をまっすぐに進んだ先に、県令の居城があり、そこが本日の宿となります」
御者台から淡月が黄原の説明をしてくれた。この賑やかな道は、朝になってもその賑わいを保ち、市場となるという。つまり、この道は一日中この活気を有しているということだった。思わず嘆息が漏れる。人々の活力に驚いてしまったのだ。
硝子が嵌め込まれた窓から、そっと外覗く。何もかもがきらきらと輝いていた。人々は程よく酩酊しており、皆楽しそうに笑っている。私たちに気付いて手を振ってくる者もいるが、大抵は歯牙にもかけず杯を呷っていた。
馬車は進み、大通りを抜ける。少しずつ空気が落ち着いて、静かな通りに出た。道は舗装されており、石造りになっている。車輪ががたがたと音を立てて揺れ、それに合せて私の体も揺れた。
辿り着いた先には、黒烈殿に良く似た建物が立っていた。それだけで、ここが県政の場である城だと察することが出来る。馬車は止まり、先に清玖が降りた。そして、彼が差し出す手に手を置いて私も降りる。
「ずっと馬車の移動で、体は辛くないか?」
「少し臀部が痛いだけで、辛くはない。清玖は?」
「大丈夫だよ、馬での移動は慣れてる」
重ねたままの手と手が、互いに握り合う。大きな手の感触に、思わず笑みが毀れた。私はこうして清玖と触れ合うのが、とても好きなのだ。
「宮様と夫君殿は、大変仲睦まじくいらっしゃるのですね」
闇の中から現われたのは、一人の男とその従者と思しき者たち。男は、紫蘭兄上よりも十ほど年上であろうかという容貌をしていた。若々しい訳ではないが、かといって老齢でもない。自信に満ちた出で立ちで、凛然とそこに佇んでいた。
「宮様、この者が黄玄の県令である季鞍です」
「身を弁えず、こちらからお声掛け致しまして、大変申し訳ありませんでした」
季鞍という名のその県令は、礼節を持ちつつもどこか茶目っ気のある、憎めない人物だった。いかにも、紫蘭兄上が好きそうな好漢である。
若草色の髪が縁取るその面貌には、花紋はない。恐らくは、服の下なのだろう。抱拳礼を取る季鞍に私は首を左右に振って、礼を解くよう促す。
「気にしないでほしい。これからも、気軽に声をかけてくれて構わない」
「宮様のご厚情、有難く頂戴させて頂きます。さて、長旅でお疲れのことでしょう。どうぞ、中へ」
石造りの道を進み、木造の建築物へ。数段の階段を登り、回廊を歩く。構造といい、構成といい、本当によく黒烈殿に似ていた。恐らくは、黒烈殿を模して造られたものなのだろう。どこかからひょっこり、二人の兄上が現われそうなくらいに似ている。
道を先導するのは季鞍だった。私と清玖は並んでそのあとを追う。私たちの後には、淡月をはじめとした侍従が数人、葉桜をはじめとした近衛が数人追従していた。その他の侍従や近衛の姿はない。それぞれが担う仕事を果たしているのだろう。
周りを伺っていると、先頭を歩く季鞍が顔を反面こちらに向け口を開いた。
「私は、宮様を何度か王城にてお見かけしたことがあるのですが、この距離で御尊顔を拝する機会を賜るとは思いもしませんでした」
「私たちは顔を合わせたことがあるのか?」
「宮中行事の折や、陛下の即位式の時などに。私が一方的にお見かけしたという程度のことですよ」
行事などで県令が招かれることも多い。それに、県令としての務めの中で清玄に訪れ、王城ですれ違うこともあったかもしれない。だが私にとって、季鞍は初対面の相手だった。
初対面であるというのに、すっと心の中に入ってきて気を許してしまう。そんな不思議な魅力を、季鞍は持っている。
「陛下はいつも、宮様の美しさを称賛されておりますが、まさに陛下の御言葉は正しいものですね」
「兄上が私のことを……? 季鞍は兄上と親しいのか?」
「親しいなどと、畏れ多いことです。しかし、陛下が黄玄にお越しの際には、色々と夜遊びなどを共にさせて頂いている仲ではありますね」
「兄上が夜遊びをなさるのか」
「それはもう。存分に」
兄上たちが、城下町へお忍びで遊びに出たりしていた過去があるというのは知っていたが、まさか他の県でも同様に羽を伸ばされていたとは驚きだった。
もしかすると、兄上にとって季鞍は気軽に接することの出来る友のような存在なのかもしれない。
そんな季鞍を、何故清玄に呼び、王城で重用しないのかと疑問を感じたが、友のように思い、信頼しているからこそ、清玄から離れた地を任せられるのかもしれないと思った。兄上の目が届きにくい地方都市を、兄上の代わりに管理しているのだろう。
「酒が入るたびに陛下は、宮様を幸せにしてやりたいがどうにも難題が山積していると嘆いておられました」
私の知らない兄上の顔を知る季鞍が、そっと囁くように言った。そのおもては、懐かしさを抱いているようで、どこか寂しげでもあって。複雑な感情が入り混じっているようだった。
「しかしながら、どうやら、宮様は陛下の望む通りにお幸せになられたようですね」
季鞍の目が、繋がれた私たちの手に向かう。その瞳は柔和な弧を描いた。私は一度頷く。私は、清玖と出会って幸せになった。
「夫君殿。貴方はこの世で一番の果報者だ」
「俺も、そう思います」
清玖の同意を得て、胸を撫で下ろす。私だけが幸せになっているのでは意味がないのだ。私は、清玖と共に幸せになりたいのだから。
長く続いた一本道の行き止まり、道は二手に分かれていた。その分岐点で季鞍が足を止める。それに呼応して、今度は淡月が一歩踏み出し、私のすぐ近くへとやって来た。
「宮様、すぐにでも食事の準備を整えることも可能ですが、如何なさいますか。少しお休みになられますか?」
どうやら、その選択次第によって、右に進むか左に進むかが決まるらしい。食事か、休息か。普段の生活であれば、すでに食事と湯浴みを済ませ、のんびりと月を眺めたり書を読んだり、清玖の帰りを待っていたりする時刻だった。
まだ旅は始まったばかりだというのに、随分と色々なことを経験したように思う。外の世界には、私の知らないことが数多存在していた。どれほど小さい世界で生きていたのかを、思い知らされた。
これから向かう黄原は清玄の北に位置する地域の中では、比較的大きい街だった。黄玄県の中心であり、国王より使命された県令が県政を行う場所でもあった。
黄玄県の県都が黄原だなんて、同じ音で混同してしまいそうだと戸惑ったが、どうやら、元からの地名が黄原であり、のちに県名として黄玄という名がついたのだそうだ。
玄、という字はこの国では特別な字だった。尊い黒を、直接名指さず、それでいてその色を示す言葉。諱の概念に近い。玄という字は、よく重要な地名に用いられる。王都である清玄然り、だ。
陽も落ち始め、暗くなっていく世界の中にあって、黄原は光を有していた。清玄の城下町に近い空気がある。活気に満ちているのだ。清玄と黄玄の狭間に位置する草霧を通過して、景色は徐々に変わり、ついにはここまで変わり果てた。
一定間隔で配置された提灯が街中を煌々と照らす。灯りと灯りの間の道を、馬車が通り抜けていた。左右を囲う人々は、嬉々とした目でこちらを見ており、どうやら私の来訪は知れ渡っているらしかった。
右を見ても左を見ても、立ち並ぶのは溌剌とした雰囲気の店ばかりだ。飲食の店であったり、宿であったりは様々だが、陽が落ちてもその賑わいが消えることはなく、むしろその勢いは増すようだった。
「凄い賑わいだな」
その感想は、口からぽとりと落ちて行った。
「ずっと口を開けて外を見てたぞ」
清玖が笑いながらそんなことを言うので、私は少しばかりむっとしながら口を真一文字に閉じた。
「県都だし、人が集まり易いんだろうな」
「前に蛍星に連れて行ってもらった清玄の城下町に、負けずとも劣らない賑わいだ」
「宮様。この道は、朝は市が立ち、夜はこのように別の賑わいを有する、二つの顔を持つ道となっております。黄原は、作物の流通で街が興り、今では多種多様な品々がこの場所を行き交うのです。この道をまっすぐに進んだ先に、県令の居城があり、そこが本日の宿となります」
御者台から淡月が黄原の説明をしてくれた。この賑やかな道は、朝になってもその賑わいを保ち、市場となるという。つまり、この道は一日中この活気を有しているということだった。思わず嘆息が漏れる。人々の活力に驚いてしまったのだ。
硝子が嵌め込まれた窓から、そっと外覗く。何もかもがきらきらと輝いていた。人々は程よく酩酊しており、皆楽しそうに笑っている。私たちに気付いて手を振ってくる者もいるが、大抵は歯牙にもかけず杯を呷っていた。
馬車は進み、大通りを抜ける。少しずつ空気が落ち着いて、静かな通りに出た。道は舗装されており、石造りになっている。車輪ががたがたと音を立てて揺れ、それに合せて私の体も揺れた。
辿り着いた先には、黒烈殿に良く似た建物が立っていた。それだけで、ここが県政の場である城だと察することが出来る。馬車は止まり、先に清玖が降りた。そして、彼が差し出す手に手を置いて私も降りる。
「ずっと馬車の移動で、体は辛くないか?」
「少し臀部が痛いだけで、辛くはない。清玖は?」
「大丈夫だよ、馬での移動は慣れてる」
重ねたままの手と手が、互いに握り合う。大きな手の感触に、思わず笑みが毀れた。私はこうして清玖と触れ合うのが、とても好きなのだ。
「宮様と夫君殿は、大変仲睦まじくいらっしゃるのですね」
闇の中から現われたのは、一人の男とその従者と思しき者たち。男は、紫蘭兄上よりも十ほど年上であろうかという容貌をしていた。若々しい訳ではないが、かといって老齢でもない。自信に満ちた出で立ちで、凛然とそこに佇んでいた。
「宮様、この者が黄玄の県令である季鞍です」
「身を弁えず、こちらからお声掛け致しまして、大変申し訳ありませんでした」
季鞍という名のその県令は、礼節を持ちつつもどこか茶目っ気のある、憎めない人物だった。いかにも、紫蘭兄上が好きそうな好漢である。
若草色の髪が縁取るその面貌には、花紋はない。恐らくは、服の下なのだろう。抱拳礼を取る季鞍に私は首を左右に振って、礼を解くよう促す。
「気にしないでほしい。これからも、気軽に声をかけてくれて構わない」
「宮様のご厚情、有難く頂戴させて頂きます。さて、長旅でお疲れのことでしょう。どうぞ、中へ」
石造りの道を進み、木造の建築物へ。数段の階段を登り、回廊を歩く。構造といい、構成といい、本当によく黒烈殿に似ていた。恐らくは、黒烈殿を模して造られたものなのだろう。どこかからひょっこり、二人の兄上が現われそうなくらいに似ている。
道を先導するのは季鞍だった。私と清玖は並んでそのあとを追う。私たちの後には、淡月をはじめとした侍従が数人、葉桜をはじめとした近衛が数人追従していた。その他の侍従や近衛の姿はない。それぞれが担う仕事を果たしているのだろう。
周りを伺っていると、先頭を歩く季鞍が顔を反面こちらに向け口を開いた。
「私は、宮様を何度か王城にてお見かけしたことがあるのですが、この距離で御尊顔を拝する機会を賜るとは思いもしませんでした」
「私たちは顔を合わせたことがあるのか?」
「宮中行事の折や、陛下の即位式の時などに。私が一方的にお見かけしたという程度のことですよ」
行事などで県令が招かれることも多い。それに、県令としての務めの中で清玄に訪れ、王城ですれ違うこともあったかもしれない。だが私にとって、季鞍は初対面の相手だった。
初対面であるというのに、すっと心の中に入ってきて気を許してしまう。そんな不思議な魅力を、季鞍は持っている。
「陛下はいつも、宮様の美しさを称賛されておりますが、まさに陛下の御言葉は正しいものですね」
「兄上が私のことを……? 季鞍は兄上と親しいのか?」
「親しいなどと、畏れ多いことです。しかし、陛下が黄玄にお越しの際には、色々と夜遊びなどを共にさせて頂いている仲ではありますね」
「兄上が夜遊びをなさるのか」
「それはもう。存分に」
兄上たちが、城下町へお忍びで遊びに出たりしていた過去があるというのは知っていたが、まさか他の県でも同様に羽を伸ばされていたとは驚きだった。
もしかすると、兄上にとって季鞍は気軽に接することの出来る友のような存在なのかもしれない。
そんな季鞍を、何故清玄に呼び、王城で重用しないのかと疑問を感じたが、友のように思い、信頼しているからこそ、清玄から離れた地を任せられるのかもしれないと思った。兄上の目が届きにくい地方都市を、兄上の代わりに管理しているのだろう。
「酒が入るたびに陛下は、宮様を幸せにしてやりたいがどうにも難題が山積していると嘆いておられました」
私の知らない兄上の顔を知る季鞍が、そっと囁くように言った。そのおもては、懐かしさを抱いているようで、どこか寂しげでもあって。複雑な感情が入り混じっているようだった。
「しかしながら、どうやら、宮様は陛下の望む通りにお幸せになられたようですね」
季鞍の目が、繋がれた私たちの手に向かう。その瞳は柔和な弧を描いた。私は一度頷く。私は、清玖と出会って幸せになった。
「夫君殿。貴方はこの世で一番の果報者だ」
「俺も、そう思います」
清玖の同意を得て、胸を撫で下ろす。私だけが幸せになっているのでは意味がないのだ。私は、清玖と共に幸せになりたいのだから。
長く続いた一本道の行き止まり、道は二手に分かれていた。その分岐点で季鞍が足を止める。それに呼応して、今度は淡月が一歩踏み出し、私のすぐ近くへとやって来た。
「宮様、すぐにでも食事の準備を整えることも可能ですが、如何なさいますか。少しお休みになられますか?」
どうやら、その選択次第によって、右に進むか左に進むかが決まるらしい。食事か、休息か。普段の生活であれば、すでに食事と湯浴みを済ませ、のんびりと月を眺めたり書を読んだり、清玖の帰りを待っていたりする時刻だった。
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