夢を持ち込む花言葉

幻中六花

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泣いてないでしっかり、最期を見ろ。

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「ん……」

 その時、死亡確認をされてここに横たえられていた政明が……。

──呼吸を始めた。

「おじいちゃん……?」
 未来は目の前で見ている光景が信じられずに、政明に声をかけた。

「ウメを置いて先に逝くわけにゃいかんな」
 政明ははっきりとした口調で言う。

「おばあちゃん……?」
 未来はウメに話しかけた。
 死んだはずの政明が生きていたのだ。どうしても今、寝ているウメを起こしてでも伝えたかった。
「おばあちゃん!」

 ウメは目を覚さない。
「未来……」
 好美がそっと、座っている未来の肩に両手を乗せた。
「え……? 嘘……さっきまでおばあちゃん歩いてたじゃん!」
「未来、夢でも見てたの? おばあちゃんのことは、もう見守ることしかできないのよ」
 未来の目からは涙が溢れていた。

 その時、目を覚さなかったウメの口元が動いた。
 ウメはニコッとわらって、入れ歯を外された口で言う。

「未来ちゃん、泣いてないで、しっかりばあちゃんの最期を見なさい。今しか見られないんだからねぇ」

 未来はその言葉を聞いて、また泣いた。



 ウメは、未来が頷いたのを確認して、スッと意識を遠くへやった。
 笑っていた口元から力が抜け、ウメの魂は天井を突き抜けて、高く高く空へ昇っていった。

「おばあちゃん」
「ふ……」
 未来がウメのことを呼んだ時、窓側のベッドで横たわっていた政明が小さく笑った。

「おじいちゃん……?」
 ウメの魂がまだウメの身体に宿っていた時、政明は死亡を確認されたはずだ。その政明が生き還ったことをウメに伝えようとしたら、さっきまで元気だったウメが生死の間を彷徨っていたのである。
 未来にとっては、もう意味がわからない。

「ウメ、今、行くよ」
 政明は、未来が見たことのないような優しい顔で、ウメに語りかけていた。
 愛するウメが天国に旅立つのを見送って、政明も再び……。

 ──息をすることをやめた。

「おじいちゃん……!」
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