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木とぼくだけの秘密
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3年生になったユウトくんは、いつものように砂場で遊んでいました。今日もひとりで遊んでいました。すると、大きな木がユウトくんにだけわかる『木語』で話しかけてきました。
「キミはいつもここで遊んでいるね。いつもひとりで遊んでいるね。キミも、ひとりぼっちなのかい?」
向こうで遊ぶクラスメイトに気持ち悪がられながら、ユウトくんは大きな木を見上げて答えます。
「ぼくはひとりじゃないよ。お友達ならたーっくさんいるよ!」
ユウトくんは嘘をついたわけではありません。ユウトくんには、たくさんお友達がいます。少し、遠いけれど。
──たくさん……遠くに……いるもん。
「そうか。それなら安心だ。でも、どうしていつも、ひとりで遊んでいるんだい?」
大きな木は問いかけました。しばらく黙って俯いたまま、砂場でトンネルを掘っていたユウトくんは、勇気を出して打ち明けます。
「うそ。ここには友達いないよ。ぼくのお父さんね、仕事でいつも引っ越しするんだ。ぼくがお友達を作ったらすぐ引っ越しするんだ。ぼくはみんなとお別れするのが悲しいから、もう友達作らないことにしたんだ」
これは、お母さんにも内緒にしていたことでした。誰にも言わずに決めたことを、ユウトくんは勇気を出して、大きな木にだけ、打ち明けました。
「そういうことだったんだねぇ。悲しい思いをしたんだねぇ。わたしと一緒だ」
大きな木がそう言ったので、ユウトくんは驚きました。
「キミと一緒?」
「そうだよ。わたしもお友達がいない。ずっとここで、ひとりぼっちだよ」
ユウトくんは少し疑問に思いました。
──ぼくは友達を作っても、すぐに引っ越しで離れ離れになっちゃうから友達がいない。けれど、大きな木は引っ越しなんてしない。ずっとここにいて、公園で遊ぶぼくや、他の子供達を見守ってる。それなのに友達がいないだなんて、いったいどういうことだろう?
「どうして? キミは引っ越ししないでしょう?」
「しないよ。でも、ここに木はわたししかいない。わたしはひとりぼっちで、ここに来る子供達を見守っているんだよ」
ユウトくんは、春からずっとこの公園で遊んでいます。だから、知っているのです。この大きな木には、実はたくさんのお友達がいることを。
「いるじゃん。お友達」
ユウトくんは、大きな木に教えてあげることにしました。
「キミはいつもここで遊んでいるね。いつもひとりで遊んでいるね。キミも、ひとりぼっちなのかい?」
向こうで遊ぶクラスメイトに気持ち悪がられながら、ユウトくんは大きな木を見上げて答えます。
「ぼくはひとりじゃないよ。お友達ならたーっくさんいるよ!」
ユウトくんは嘘をついたわけではありません。ユウトくんには、たくさんお友達がいます。少し、遠いけれど。
──たくさん……遠くに……いるもん。
「そうか。それなら安心だ。でも、どうしていつも、ひとりで遊んでいるんだい?」
大きな木は問いかけました。しばらく黙って俯いたまま、砂場でトンネルを掘っていたユウトくんは、勇気を出して打ち明けます。
「うそ。ここには友達いないよ。ぼくのお父さんね、仕事でいつも引っ越しするんだ。ぼくがお友達を作ったらすぐ引っ越しするんだ。ぼくはみんなとお別れするのが悲しいから、もう友達作らないことにしたんだ」
これは、お母さんにも内緒にしていたことでした。誰にも言わずに決めたことを、ユウトくんは勇気を出して、大きな木にだけ、打ち明けました。
「そういうことだったんだねぇ。悲しい思いをしたんだねぇ。わたしと一緒だ」
大きな木がそう言ったので、ユウトくんは驚きました。
「キミと一緒?」
「そうだよ。わたしもお友達がいない。ずっとここで、ひとりぼっちだよ」
ユウトくんは少し疑問に思いました。
──ぼくは友達を作っても、すぐに引っ越しで離れ離れになっちゃうから友達がいない。けれど、大きな木は引っ越しなんてしない。ずっとここにいて、公園で遊ぶぼくや、他の子供達を見守ってる。それなのに友達がいないだなんて、いったいどういうことだろう?
「どうして? キミは引っ越ししないでしょう?」
「しないよ。でも、ここに木はわたししかいない。わたしはひとりぼっちで、ここに来る子供達を見守っているんだよ」
ユウトくんは、春からずっとこの公園で遊んでいます。だから、知っているのです。この大きな木には、実はたくさんのお友達がいることを。
「いるじゃん。お友達」
ユウトくんは、大きな木に教えてあげることにしました。
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