生けるかたかた

幻中六花

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僕は見ててもいい?

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 僕は、外の世界を知らない。真っ暗で、狭い場所にいる。もう長いこと、閉じ込められている。
 僕は自分がどんな容姿をしているのか、知らない。きっと知ることはできない。

 ──だって、僕はずっと灯りもないこの場所に引きこもっているから。

 キミは、どんな性格なんだろう。
 僕の家はどんな色なんだろう。

 それを知る時はくるだろうか。

 僕はまだ、世の中というものを知らない。だから、人は僕のことを『世間知らず』と言う。けれど、それでもいいんだ。僕はキミのそばにいられたら、それでもいいんだ。

「最近太った?」

 誰かが言った。僕に? わからない。
 僕はもともと太っているから、最近太ったわけではないと思う。

 そんな、考えても仕方のないことを考える時間が、僕にはたくさんある。僕はずっと家に閉じ込められているから、時間はたくさんある。

「外に出たいと思わないの?」

 誰かが言った。僕に? わからない。
 僕は、外に出たいと思ったことがないと言ったら嘘になる。けれど、それは半分本当で、半分嘘だ。
 外の世界は気になるけれど、今の僕にはまだ早い。

 考えても仕方のないことを考えていたら、キミが帰ってきた音がした。僕は真っ暗闇で生活しているから景色を見ることができないけれど、その分、耳はいい。

 ──ガチャ。

「おはよう! 今日もお出かけ? 僕も連れてってくれる?」

 キミは何も言わずに微笑んでくれた。キミはクールビューティーだから、僕の方を見て笑ったり、ぶりっ子したりすることがない。キミがこっちを見てくれなくても、僕は見ててもいいでしょ?
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