最愛はすぐ側に

なめめ

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双子とデート

双子とデート⑤

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渉太はどう返答するべきかと俯きがちに返答に困っていると唐突に星杏さんが顔を覗き込んできて視界に入ってきたので思わず声をあげて驚いてしまう。

「うわっ」
「渉太先輩。今、申し訳ないなーとか。可哀相だなーって哀れんでいたでしょ?」
「そ、そんなことは……」

 ないわけではない。何でもかんでも哀れむのは良くないと分かっていても、両親や身寄りがない子供たちの行く先だと頭で理解しているので那月くんと星杏さんに対して哀れみの目で見てしまったことは確かであった。

「ごめん……。正直、どう返していいか分からなかった」

下手に嘘を吐いたところで見透かされているような気がして正直に頭を下げて謝ると、隣でクスクスと笑い声が聞こえて頭を上げる。

「ふふふ。やっぱ渉太先輩は真面目でいい人ですね。勿論、両親が居ない事実は悲しいですけど、此処で沢山の人から愛情をもらって立派に育ったので私たちの大切な思い出の場所なんですよ。きっと先輩も今日一日過ごしたらわかると思います」


キラキラとした笑顔の彼女から、強がりだとかは感じられない。心底から彼女にとって此処が我が家なのだと分かる表情であった。

「おい、お前ら何してんだよ。早く来いよ。時間なくなるだろ」

 先を行く那月くんが後ろに着いて来ていない渉太達に気づいたのか、数メートル先で立ち止まって振り返ってくると声を掛けてくる。 

世間一般的な家庭で育った渉太にとっては初めて踏み入れる場所。今までメディアで取り上げられているものは同情を誘うための負の感情を抱いたものが多かった。

 勿論それらの感情が個人個人に全くない訳ではないと思うが、もしかしたら悲しいだとか寂しいだけじゃない、その中で見出した楽しみや希望もあるのかもしれない。

 現に那月だって有名アイドルにまで上り詰めた人間だ。渉太は、星杏さんの言動から純粋に今日という日を楽しみたいとそう思えた。

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