君のために僕は歌う

なめめ

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路上の天使

路上の天使⑦

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自分の部屋に帰ると電気も付けず、倒れるようにしてベッドに飛び乗り、枕に顔を伏せた。思い出したくもない母親のことを思い出してしまい、腹立たしさのあまり食堂を出てきたが、体は正直なのかお腹の虫がグウグウと鳴る。
せめて煮込みハンバーグだけでも食べてくれば良かったと後悔した。

あれもこれも全て粘着質な吉澤のせいだ……。

空腹とやり場のない気持ちを当たり散らかすように枕をひたすら両拳で殴る。暫く枕に八つ当たりをしてみるものの、殴り続けることに疲れた律仁は顔を横に向けて深く溜息を吐いた。

そもそも今日がなんでこんなに気持ちが落ちる日になったのかと思えば、あの女に出会ったからだった。天使のような歌声の女に感動した心を踏みにじられた。思い出したくもない出来事。

このまま眠ってしまえば、今日一日の腹立たしさも明日になれば忘れてしまえるだろうか……。

そう思って瞼を閉じてみるものの浮かんでくるのはあの公園で歌っていた女の姿だった。

自分は講師にダメ出しをされて嫌気がさした歌をあの女は楽しそうに公の場で歌っていた。誰の目にも止まっていないかったのに……。
この表舞台の業界で賛否の関心も勿論であるが無関心の苦痛があることを知っている。なのに彼女は歌い続け、しまいには客のいないギャラリーにお辞儀をしていた。

心が折れたりとかしないんだろうか……。
気づけばもう会うこともないであろう彼女のことを永遠と考えてしまっていた。





翌日も律仁は学校終わりのレッスンをどうやってやり過ごそうかと一日中考えていた。
一般生徒は持ち込み禁止の携帯を仮にも芸能人である律仁だけ特例で持ち込みが許可されている。朝から『今日も17時から特別にボイトレ入れてもらったから絶対にサボるなよ』と釘をさすように吉澤からの連絡が入っていた。

この分だとアトリエに一歩でも足を踏み入れたら待ち伏せされていそうな気がする。
やつに見つかったら一環の終わりだ。

ゲームセンターも遊び尽くしたし、コンビニに行ったところでお金など大して持ち合わせていない。じゃあやっぱり昨日の公園か……?なんて考えてみたがあの女の顔が頭に過ぎって直ぐに却下した。

「律仁ー。お前今日の放課後予定ある?」

考えているうちに終業のHRが終わってしまい、クラスメイトの奴らは各々鞄を手に教室を飛び出していく。律仁も半ば気だるげにスクールバックを手にして座席から立ち上がろうとしたところで、小学生の頃からの悪友である大滝廉介おおたきれんすけに話しかけられた。


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感想 1

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