憧れはすぐ側に

なめめ

文字の大きさ
112 / 286
☆止まらない衝動

17-7

しおりを挟む
しばらくして、自宅の高層マンション前で車が止まる。明日の予定を確認されては吉澤から解放されたのは21時を過ぎていた。

今からだったら渉太のバイト先には確実に間に合わない。下手にタクシーも使えない今、自分の車は事務所に置きっぱなしだから自宅にも行けなかった。
どうしても今日中に話しておきたい……。

一先ずマンションのエントランスを抜けてエレベーターで自室まで上がる。部屋に帰ると律仁は透かさず大樹に連絡をとった。

何かしていないと落ち着かない。
今のこの状況で、渉太と繋がっていると言ったら大樹くらいしか思い浮かばなかった。

仲島のことでお互いに連絡を取らずの音信不通ぎみになっていただけに律仁は電話をする事に躊躇していたが、今はそんな場合じゃない。
電話をかけ、2コール程で出た大樹は多少のぎこちなさを感じたが怒りは感じない声音だった。

律仁は安堵した後で初っ端から「大樹、渉太の連絡先知ってる?」と切り出す。
一秒でも早く返事が聞きたい律仁に対して
大樹が空けた数秒の間が焦れったく感じたが、結果は「知らない」と言われて、律仁は落胆した。

渉太は人付き合いが苦手で漸く最近になって
克服しつつあると言っていた。
大樹とならと思ったけど、今だに大樹ですら連絡先を知らないとは思わなかった。

あの時、吉澤を強行突破してでも自分の車で渉太の元に向かえば良かったと悔やまれる。

それだけのやり取りをして大樹とは「じゃあ……」と終わるわけにもいかず、「急にどうしたんだよ?」と問いかけの意図が酷く気になっているようだった。

今回の週刊誌の出来事については大樹も知っている。それをきっかけに大樹と距離ができたきっかけになったようなもんだし、ただ雑誌に載ることまでは想定外だった。

決して無関係者じゃない大樹にも事情を説明してやらなければいけない。
電話で話すにしても長くなりそうで律仁は大樹に「会って話しがしたい」と告げる。 
すると、 大樹は遅い時間にも関わらず、「いいよ」とあっさり承諾してくれた。

決して夜遅くでも呼べない距離じゃない。
自宅マンションから自転車で十分圏内の中層マンションに住んでいる親友に感謝をする。

外で堂々とできる話でもなくて、部屋まで来てもらい、電話を切ってからきっちり十分後に大樹が到着した。
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

売れ残りオメガの従僕なる日々

灰鷹
BL
王弟騎士α(23才)× 地方貴族庶子Ω(18才) ※ 第12回BL大賞では、たくさんの応援をありがとうございました!  ユリウスが暮らすシャマラーン帝国では、平民のオメガは18才になると、宮廷で開かれる選定の儀に参加することが義務付けられている。王族の妾となるオメガを選ぶためのその儀式に参加し、誰にも選ばれずに売れ残ったユリウスは、国王陛下から「第3王弟に謀反の疑いがあるため、身辺を探るように」という密命を受け、オメガ嫌いと噂される第3王弟ラインハルトの従僕になった。  無口で無愛想な彼の優しい一面を知り、任務とは裏腹にラインハルトに惹かれていくユリウスであったが、働き始めて3カ月が過ぎたところで第3王弟殿下が辺境伯令嬢の婿養子になるという噂を聞き、従僕も解雇される。

吊るされた少年は惨めな絶頂を繰り返す

五月雨時雨
BL
ブログに掲載した短編です。

【完結】愛されたかった僕の人生

Kanade
BL
✯オメガバース 〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜 お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。 今日も《夫》は帰らない。 《夫》には僕以外の『番』がいる。 ねぇ、どうしてなの? 一目惚れだって言ったじゃない。 愛してるって言ってくれたじゃないか。 ねぇ、僕はもう要らないの…? 独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー ✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。 オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。

【完】君に届かない声

未希かずは(Miki)
BL
 内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。  ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。 すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。 執着囲い込み☓健気。ハピエンです。

愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない

了承
BL
卒業パーティー。 皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。 青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。 皇子が目を向けた、その瞬間——。 「この瞬間だと思った。」 すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。   IFストーリーあり 誤字あれば報告お願いします!

  【完結】 男達の性宴

蔵屋
BL
  僕が通う高校の学校医望月先生に  今夜8時に来るよう、青山のホテルに  誘われた。  ホテルに来れば会場に案内すると  言われ、会場案内図を渡された。  高三最後の夏休み。家業を継ぐ僕を  早くも社会人扱いする両親。  僕は嬉しくて夕食後、バイクに乗り、  東京へ飛ばして行った。

魔王に飼われる勇者

たみしげ
BL
BLすけべ小説です。 敵の屋敷に攻め込んだ勇者が逆に捕まって淫紋を刻まれて飼われる話です。

やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。

毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。 そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。 彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。 「これでやっと安心して退場できる」 これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。 目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。 「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」 その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。 「あなた……Ωになっていますよ」 「へ?」 そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て―― オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。

処理中です...