126 / 286
ファンであること
18-9
しおりを挟む
律仁さんが「そうだね…」と言っては思い詰めたように黙り込んだのを見て我に返り、流石に言いすぎてしまったのだと反省した。
渉太は「すみません」と肩を狭めて謝る。
そのタイミングでテーブルに珈琲とホットサンドが運ばれてきては、運んできた店主のおじさんと目が合った。
おじさんに「ごゆっくり」と柔らかい表情で微笑まれては先程の自分を見られていたのだと思うと恥ずかしくなる。
「謝らなくていいよ。渉太の言う通りだから」
おじさんに一礼をして去っていったのを見計らってか、律仁が口を開いた。
真剣な眼差しで此方を見据えてることに、自然と背筋が伸びる。
渉太はそんな律仁さんを直視できる訳もなく、珈琲の水面に目線を向けているしかできなかった。
「最初は渉太に律のことを言うつもりはなかったよ。律がかっこいいのは当たり前だから、あれは理想の俺であって俺自身じゃない。渉太に気づかれて俺として見てくれないと思ったら怖かった…律は俺にとって完璧だから、比べられたりするのが怖くて……でも、どうしても渉太の気を引きたくて、律を使うなんて卑怯だよね……」
よく芸能人の人は表ではキャラを作ってるだとかも聴く。律仁さんの話から律もそうなんだろうと感じる。
一般人ですら誰だって闇の部分っていうのは必ずあるから、表でキラキラと輝いている人は余計に深いものがあるんだろうか。
そうだとしても別にショックではないし、所詮ファンの自分たちは表面上の見たまんまの彼しか見れない。
そんな彼でも努力してる姿だとか、彼を推してることで自分たちの生活に華や夢を与えてくれる。
自分を犠牲にしてまで誰かの笑顔のために全力を注いでいるのは素直に凄いと思うから。
律仁さんは「ファンの渉太にイメージ壊すようなこと言ってごめん」と謝ってきたが、渉太は首を大きく振って否定した。
しかし、すぐに「無理に合わせなくていいよ」と突き返される。
「…本当の俺はテレビに出てる律みたいに、何時も冷静で格好良くはないし。都合のいい様に自分の立場使って卑怯だったりする。渉太のことになると余裕なくて、この間大樹と喧嘩したりもした」
律ももちろん好きだけど……それは憧れとか理想であって同じ人でも比べるもんじゃない。渉太はこうやって目の前で話してくれる律仁さんを嫌いにはなれなれなかった。
卑怯だとか恰好良くないだとか言っているけど俺にとって律仁は時々強引だし、たまにはデリカシーに欠けてるところはあるけど優しくて、意外と情に熱いとことか悩んだり困っていたら助けてくれたりとか人間味が強くて好きな人だから……。
渉太は「すみません」と肩を狭めて謝る。
そのタイミングでテーブルに珈琲とホットサンドが運ばれてきては、運んできた店主のおじさんと目が合った。
おじさんに「ごゆっくり」と柔らかい表情で微笑まれては先程の自分を見られていたのだと思うと恥ずかしくなる。
「謝らなくていいよ。渉太の言う通りだから」
おじさんに一礼をして去っていったのを見計らってか、律仁が口を開いた。
真剣な眼差しで此方を見据えてることに、自然と背筋が伸びる。
渉太はそんな律仁さんを直視できる訳もなく、珈琲の水面に目線を向けているしかできなかった。
「最初は渉太に律のことを言うつもりはなかったよ。律がかっこいいのは当たり前だから、あれは理想の俺であって俺自身じゃない。渉太に気づかれて俺として見てくれないと思ったら怖かった…律は俺にとって完璧だから、比べられたりするのが怖くて……でも、どうしても渉太の気を引きたくて、律を使うなんて卑怯だよね……」
よく芸能人の人は表ではキャラを作ってるだとかも聴く。律仁さんの話から律もそうなんだろうと感じる。
一般人ですら誰だって闇の部分っていうのは必ずあるから、表でキラキラと輝いている人は余計に深いものがあるんだろうか。
そうだとしても別にショックではないし、所詮ファンの自分たちは表面上の見たまんまの彼しか見れない。
そんな彼でも努力してる姿だとか、彼を推してることで自分たちの生活に華や夢を与えてくれる。
自分を犠牲にしてまで誰かの笑顔のために全力を注いでいるのは素直に凄いと思うから。
律仁さんは「ファンの渉太にイメージ壊すようなこと言ってごめん」と謝ってきたが、渉太は首を大きく振って否定した。
しかし、すぐに「無理に合わせなくていいよ」と突き返される。
「…本当の俺はテレビに出てる律みたいに、何時も冷静で格好良くはないし。都合のいい様に自分の立場使って卑怯だったりする。渉太のことになると余裕なくて、この間大樹と喧嘩したりもした」
律ももちろん好きだけど……それは憧れとか理想であって同じ人でも比べるもんじゃない。渉太はこうやって目の前で話してくれる律仁さんを嫌いにはなれなれなかった。
卑怯だとか恰好良くないだとか言っているけど俺にとって律仁は時々強引だし、たまにはデリカシーに欠けてるところはあるけど優しくて、意外と情に熱いとことか悩んだり困っていたら助けてくれたりとか人間味が強くて好きな人だから……。
11
あなたにおすすめの小説
あなたと過ごせた日々は幸せでした
蒸しケーキ
BL
結婚から五年後、幸せな日々を過ごしていたシューン・トアは、突然義父に「息子と別れてやってくれ」と冷酷に告げられる。そんな言葉にシューンは、何一つ言い返せず、飲み込むしかなかった。そして、夫であるアインス・キールに離婚を切り出すが、アインスがそう簡単にシューンを手離す訳もなく......。
愛してやまなかった婚約者は俺に興味がない
了承
BL
卒業パーティー。
皇子は婚約者に破棄を告げ、左腕には新しい恋人を抱いていた。
青年はただ微笑み、一枚の紙を手渡す。
皇子が目を向けた、その瞬間——。
「この瞬間だと思った。」
すべてを愛で終わらせた、沈黙の恋の物語。
IFストーリーあり
誤字あれば報告お願いします!
【完】君に届かない声
未希かずは(Miki)
BL
内気で友達の少ない高校生・花森眞琴は、優しくて完璧な幼なじみの長谷川匠海に密かな恋心を抱いていた。
ある日、匠海が誰かを「そばで守りたい」と話すのを耳にした眞琴。匠海の幸せのために身を引こうと、クラスの人気者・和馬に偽の恋人役を頼むが…。
すれ違う高校生二人の不器用な恋のお話です。
執着囲い込み☓健気。ハピエンです。
上司、快楽に沈むまで
赤林檎
BL
完璧な男――それが、営業部課長・**榊(さかき)**の社内での評判だった。
冷静沈着、部下にも厳しい。私生活の噂すら立たないほどの隙のなさ。
だが、その“完璧”が崩れる日がくるとは、誰も想像していなかった。
入社三年目の篠原は、榊の直属の部下。
真面目だが強気で、どこか挑発的な笑みを浮かべる青年。
ある夜、取引先とのトラブル対応で二人だけが残ったオフィスで、
篠原は上司に向かって、いつもの穏やかな口調を崩した。「……そんな顔、部下には見せないんですね」
疲労で僅かに緩んだ榊の表情。
その弱さを見逃さず、篠原はデスク越しに距離を詰める。
「強がらなくていいですよ。俺の前では、もう」
指先が榊のネクタイを掴む。
引き寄せられた瞬間、榊の理性は音を立てて崩れた。
拒むことも、許すこともできないまま、
彼は“部下”の手によって、ひとつずつ乱されていく。
言葉で支配され、触れられるたびに、自分の知らなかった感情と快楽を知る。それは、上司としての誇りを壊すほどに甘く、逃れられないほどに深い。
だが、篠原の視線の奥に宿るのは、ただの欲望ではなかった。
そこには、ずっと榊だけを見つめ続けてきた、静かな執着がある。
「俺、前から思ってたんです。
あなたが誰かに“支配される”ところ、きっと綺麗だろうなって」
支配する側だったはずの男が、
支配されることで初めて“生きている”と感じてしまう――。
上司と部下、立場も理性も、すべてが絡み合うオフィスの夜。
秘密の扉を開けた榊は、もう戻れない。
快楽に溺れるその瞬間まで、彼を待つのは破滅か、それとも救いか。
――これは、ひとりの上司が“愛”という名の支配に沈んでいく物語。
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
✻本作品(オリジナル)の結末をif(運命の番)ルートに入れ替えて、他サイトでの投稿を始めました。タイトルは「一度目の結婚で愛も希望も失くした僕が、移住先で運命と出逢い、二度目の結婚で愛されるまで」に変えてます。
オリジナルの本編結末は完全なハッピーエンドとはいえないかもしれませんが、「一度目の〜…」は琳が幸せな結婚をするハッピーエンド一択です。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
久々に幼なじみの家に遊びに行ったら、寝ている間に…
しゅうじつ
BL
俺の隣の家に住んでいる有沢は幼なじみだ。
高校に入ってからは、学校で話したり遊んだりするくらいの仲だったが、今日数人の友達と彼の家に遊びに行くことになった。
数年ぶりの幼なじみの家を懐かしんでいる中、いつの間にか友人たちは帰っており、幼なじみと2人きりに。
そこで俺は彼の部屋であるものを見つけてしまい、部屋に来た有沢に咄嗟に寝たフリをするが…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる