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最後のチャンス
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どうやらサークルの後輩達を巻いてわざわざ俺の元に来たらしい。
向かってくる大樹先輩の背後から見覚えのサークルの人達が此方を見ていて、視線が気になって居心地が悪いが、もう関係ない人達だと割り切って意識を向けないようにした。
「先輩……卒業おめでとうございます」
まさか先輩から来るとは思わずにいたから、呼ばれて驚いたが、これはチャンスだと思った渉太は、深々と頭を下げてお祝いの言葉を捧げる。
「ありがとう、渉太。て言っても大学院に進学だからたまに会えるけどな、あいつら大袈裟なんだよ」
眉を下げて呆れ顔で「この後、先輩の送別会開きましょうとか言って何かにこじつけて呑みたいようにしか思えないんだよなー」なんて言っては仄かに楽しそうな雰囲気が感じられた。
「やっぱり先輩は凄いです」
「煽ててもなんも出ないぞ」
「…そんなつもりで言ったんじゃないです」
煽てるも何も自然と出た言葉だった。
大学院に進学するなんて、明確な目標があって尚且つ相当な努力家じゃないと進もうと思わない。
決して美化をしている訳じゃなくて、優しくて気が利くだけじゃなくて、自分の弱さも認めて前を向いている。
自分はあと2年で卒業とはいえ卒業後の進路など全く考えていないから、尚更尊敬する。
律だってあんなに頑張って努力の痕跡を残しているのに……。
大樹先輩は「冗談だよ。でも、渉太に言われるとなんか照れるんだよなー」なんて頭を掻いては照れ笑いをしていた。
「そういえば渉太。サークル、辞めたんだろ?なんか、悪かったな。あの一件で渉太来づらくなってたんじゃないかって気掛かりだったんだ」
「大丈夫です。正直、先輩がいたから続けていたようなものだったので、先輩が卒業したら辞めようと思っていたので丁度良かったと言うか……」
「そっか……」
ちょっと残念そうな表情を見せた先輩を目の前に渉太は少し申し訳なくなった。
あんなに自分を輪の中に入れようと誘ってくれていたし、面白い話を沢山聴かせてくれた。そんな先輩がいたサークルを不純な動機で辞めてしまったのだから。
「まぁー別にサークルに居なくても空は何時でも見れるからな。たまには渉太、俺に付き合ってくれよ?」
「是非、先輩の話を聴きながら星見るの好きなんで」
いきなりは無理でもこれからは徐々に広げて行けばいい。決して無理することなく。
折角律仁さんがくれた勇気を無駄にはしたくなかった。
また、もし自分が大切な誰かに出会えた時は今度は自分に嘘をつかないでいきたい。
「そうだ、渉太……あのさ。これ受け取ってくれないか?」
大樹先輩がズボンの後ろポケットから水色の無地の封筒を取り出してくると渉太の前に差し出してきた。
「なんですか、これ」
渉太は訝しげにその封筒を眺めながらもゆっくりと手を伸ばして受け取とる。
外側の封を取り外して中身を開けて、一枚の紙を取り出したとき渉太は目を見開いて、息が止まりそうになった。
向かってくる大樹先輩の背後から見覚えのサークルの人達が此方を見ていて、視線が気になって居心地が悪いが、もう関係ない人達だと割り切って意識を向けないようにした。
「先輩……卒業おめでとうございます」
まさか先輩から来るとは思わずにいたから、呼ばれて驚いたが、これはチャンスだと思った渉太は、深々と頭を下げてお祝いの言葉を捧げる。
「ありがとう、渉太。て言っても大学院に進学だからたまに会えるけどな、あいつら大袈裟なんだよ」
眉を下げて呆れ顔で「この後、先輩の送別会開きましょうとか言って何かにこじつけて呑みたいようにしか思えないんだよなー」なんて言っては仄かに楽しそうな雰囲気が感じられた。
「やっぱり先輩は凄いです」
「煽ててもなんも出ないぞ」
「…そんなつもりで言ったんじゃないです」
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大樹先輩は「冗談だよ。でも、渉太に言われるとなんか照れるんだよなー」なんて頭を掻いては照れ笑いをしていた。
「そういえば渉太。サークル、辞めたんだろ?なんか、悪かったな。あの一件で渉太来づらくなってたんじゃないかって気掛かりだったんだ」
「大丈夫です。正直、先輩がいたから続けていたようなものだったので、先輩が卒業したら辞めようと思っていたので丁度良かったと言うか……」
「そっか……」
ちょっと残念そうな表情を見せた先輩を目の前に渉太は少し申し訳なくなった。
あんなに自分を輪の中に入れようと誘ってくれていたし、面白い話を沢山聴かせてくれた。そんな先輩がいたサークルを不純な動機で辞めてしまったのだから。
「まぁー別にサークルに居なくても空は何時でも見れるからな。たまには渉太、俺に付き合ってくれよ?」
「是非、先輩の話を聴きながら星見るの好きなんで」
いきなりは無理でもこれからは徐々に広げて行けばいい。決して無理することなく。
折角律仁さんがくれた勇気を無駄にはしたくなかった。
また、もし自分が大切な誰かに出会えた時は今度は自分に嘘をつかないでいきたい。
「そうだ、渉太……あのさ。これ受け取ってくれないか?」
大樹先輩がズボンの後ろポケットから水色の無地の封筒を取り出してくると渉太の前に差し出してきた。
「なんですか、これ」
渉太は訝しげにその封筒を眺めながらもゆっくりと手を伸ばして受け取とる。
外側の封を取り外して中身を開けて、一枚の紙を取り出したとき渉太は目を見開いて、息が止まりそうになった。
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